B2CからB2Bに舵を取る日本企業
昨今、B2C(消費者向け)からB2B(企業向け)に舵を取る日本企業が増えています。
以前は消費者向けに製品を頻繁にリリースしていた企業が、最近は何しているんだろうというふうになっていませんでしょうか。
NECや富士通はパソコンや携帯電話(特にガラケー)では一時期トップシェアでしたが最近は資本を一部売却したりして本業と切り離そうとしています。消費者向けと言われる分野は年々なくなっています。
パナソニックも今は燃料電池等、企業向けの取引が盛んです。
日本のお家芸と言われた家電も、外資メーカーが元気になってきていて、例えば掃除機ならダイソン、テレビも中国や韓国メーカーの躍進があります。気がつけば、日本の製品は鳴りを潜め、小売りは外資の商品であふれているように見えます。
Made in Japanは一つのブランドだったのですが、最近はむしろ日本人自身が日本製品を遠ざけ外国製品を好んで買う気配すらあります。
グローバル経済を考えると当たり前の変化
シンプルに考えます。
モノを売るなら、たくさんの国で売った方がたくさん売れます。
グローバルに販売網を持っている企業ということになるのですが、たくさん売るということはたくさん作れます。
たくさん作れるということは、安く作れるということです。
安く作れれば、競争力のある製品が作れます。
B2Cが得意な企業は、グローバルマーケットで販売網を持っているということがわかります。
一方で、日本企業はどうでしょう。日本人は英語すらしゃべれません。グローバルにものを売るのが下手な民族です。
ですから、日本企業はB2Cの分野で、外国から入ってきたグローバル企業の製品と勝負しても勝てないのです。同じ性能のはずなのに外国の製品のほうが安いのです。
これを続けているとだんだん日本企業も体力が落ちていき、その先はもはや外国の製品のほうが性能までよくなってしまう。これがスマートフォンの市場だと思います。残念ながら同じAndroid製品でも日本のメーカーより中国のもののほうが出来がいいです。
さて、では日本企業はどうするか。外資の日本支社に対して部品を売るのです。基礎技術を持っている日本企業は、グローバルマーケットに部品を売るような交渉力もパイプはありません。しかし、日本〇〇株式会社とか、〇〇〇ジャパン、みたいなグローバル企業の日本の窓口と話して部品を売る契約を結ぶのです。そんな関係が日本ではたくさんあります。
ただし、例えばシャープはそのような企業の一社だったのですが、鴻海精密工業という台湾の会社に買われ、かつ生産の一部を日本から中国に移すというように、技術そのものを会社と一緒に買われてしまい日本から無くなってしまう例もあります。
不振に陥った日本企業を技術ごと買われ、技術を吸収され日本から蒸発するような事例が今後も増えそうな気がしています。
日本の防衛のために
グローバル経済の流れから言って、アメリカや中国のような大国がB2Cのシェアをおさえてしまい、そこにB2Bで日本企業が技術を届けるのは自然極まりないと思います。したがって、最終的には小売りで並ぶものは、工業製品などは特に外国企業のものか、もしくは「名前だけ日本企業で」資本は外資というパターンの物ばかりになるのではないかと思います。
最終的に技術を全部吸い取られてしまえば、B2Bさえも成り立たなくなってしまいますから、国家防衛を考えると、地産地消、つまり日本で日本人が作り日本人が買うということをもっと意識して産業育成を進めていく必要があります。
日本自体の特性とすると、他国の新しい技術を取り込み、ガラパゴス的に進化させ高い技術を作り上げることが得意です。日本人が日本の物を買うことを自国防衛の文化とすることで、まずは日本企業が日本のマーケットで安定的な地位を得ることができますので、そこでグローバル企業とB2B分野で今後もやりあっていけるのではないかと思います。
アメリカでは自国防衛のために関税を中国製品にかけ始めていますが、日本も日本企業が日本で作った純日本製品にアドバンテージを与えるような政策を取る必要があるのではないかと思います。そうしないと、結局のところグローバル経済の論理が進捗し、B2Bすら立ちいかなくなるのではないか、そう思います。