orangeitems’s diary

40代ITエンジニアが毎日何か書くブログ

初心者が無料で勉強できる良教材いろいろまとめ

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はじめに

インターネット、Webの世界には大変有用な資料がたくさんあるのですが、情報がたくさんあってたどりつくのがいよいよ大変になってきた印象です。

読みごたえがあって、わかりやすく、一通りマスターすれば業務でも使えそうなのに、無料で読める。そんな良教材のリンクを集めてみました。

私も時間を見つけてトライする予定です。

ジャンルは様々ですので、ご興味に合わせてご利用ください。

 

教材集

 

色と配色

baigie.me

このエントリーでは、デザイナー以外の方が読むことを想定し、最低限知っておくといい色と配色の基本をまとめました。基本なので、細かいことは端折って簡単にまとめています。しかし、駆け出しのデザイナーでも十分参考にできる骨太な内容ではないかとも思います。

 

プレゼンテーション

liginc.co.jp

・なるべく時間をかけず、スライド作成よりも内容に時間を割きたい
・見栄えはできるだけ綺麗にしたい
・伝えたいことが分かりやすく伝わるものにしたい
・内容に応じて柔軟にアレンジできるものにしたい
・プロジェクター、Web、印刷などの多くの用途で遜色なく使えるようにしたい

今回は、こういった課題を解決できるスライド資料の作り方をご紹介します。

 

AWS 10分間チュートリアル

aws.amazon.com

シンプルな「Hello World」チュートリアルで使用を開始し、AWS 製品を実際に使ってみる

 

Azure 初めてのソリューションを 10 分以内にデプロイ

azure.microsoft.com

Azure の使用方法に関するこれらの短いチュートリアルを使用して、今すぐプロジェクトの開発に着手しましょう。

 

UiPathアカデミー

www.uipath.com

UiPathアカデミーは、「一人でも多くの方に気軽にRPAに親しんでいただきたい」という想いから生まれた完全無料のRPAオンライン学習サービスです。「トレーニングコース」と「資格制度」にて構成されます。「トレーニングコース」には、技術者向けと推進者向けそれぞれコースを用意しています。また、開発・プログラミングの経験がない方でも、RPAの使い方・開発方法の基礎から学べるプログラムをご用意しておりますのでRPA初心者から上級者まで、時間と場所を選ばず、学習を進めることができます。また、「資格制度」では、トレーニングによるRPA開発の習熟度を測ることができます。

 

Python

www.javadrive.jp

Pythonを使ってプログラミングの学習を開始される方を対象としたPython入門です。Pythonの開発環境をローカル環境に構築する手順や、Pythonを使ったプログラムの記述方法や実行までをサンプルを使いながら順に学習していきます。

 

機械学習

news.mynavi.jp

本連載では、プログラミング言語Pythonを用いて実際に手を動かしながら機械学習に触れ、機械学習でどんなことができるのかを紹介していきます。専門性を問わず機械学習の世界に触れて頂けるよう、数式などは極力用いずに、実践的な部分を中心に説明するように心がけます。

 

ディープラーニング

tutorials.chainer.org

数学の基礎、プログラミング言語 Python の基礎から、機械学習・ディープラーニングの理論の基礎とコーディングまでを幅広く解説

 

PostgreSQL入門

lets.postgresql.jp

この記事は、PostgreSQL とは何か、リレーショナルデータベースとは何かをわかりやすく説明するためのものです。
もしあなたがデータベースについて聞いたことがない、あるいは、言葉くらいしか知らないのであれば、そして、これからデータベースに関わっていくのであれば、ぜひこの記事を注意深くお読みいただきたいと思います。

 

デジタルマーケティングとは?

www.dentsudigital.co.jp

みなさんは「デジタルマーケティング」という言葉を知っていますか?

「マーケティング」と聞くとなんとなく何をするのか想像つくかもしれませんが、そこに「デジタル」という言葉が入ると、実際のところよく分からない…、という方が多いのではないでしょうか。

このコンテンツでは、就職活動でデジタルマーケティングという仕事を初めて知った人に向けて、この業界について分かりやすく紹介していきます。第一回では「デジタルマーケティング」ずばりそのものについてお話します。

 

SAP

www.jsug.org

ジャパンSAPユーザーグループ(事務局:東京都新宿区、会長:数見 篤、以下 JSUG)とSAPジャパン株式会社(本社:東京都千代田区、代表取締役社長:福田 譲、以下 SAPジャパン)は、2018年7月から2019年3月にわたって、有識者による「ニッポンのERP再定義委員会」を組織し、このたび、日本企業のERP導入に向けた提言『日本企業のためのERP導入の羅針盤~ニッポンのERPを再定義する~』を取りまとめ、公開を開始しました。

 

GIT/GITHUB

qiita.com

なぜ今更 Git/GitHub という感がありますが、まとめてみました。何故かというと、ググると確かに初心者向けのGitの使い方や設定方法などが掲載されたサイトは多くありますが、個人的に体系立ってイメージを掴める内容が少なく、探すのに苦労したため、その中から特に役立ったと感じたコンテンツをかなり厳選し、まとめてみました。下記の良質なコンテンツは、Git/GitHub習得に大いに役立つでしょう。

 

まとめ

私は最近AI自体に興味を持ち出していて、そのあたりから進めていこうかと思っています。勉強は楽しいものからやっていって、もっと深くやってみたいと思ったら本を買うなり有料講習を受けるなり・・。そんな風にスキルアップする機会がインターネットにはたくさんあります。

無料ですべてをコンプリートするのは難しいですが、とっかかりはほぼ無料公開されている時代です。ぜひ、利用してみましょう。

 

追記

機械学習・ディープラーニング周辺については、入門と言いつつかなり歯ごたえがあったので別途記事を書きました。ぜひどうぞ。

 

www.orangeitems.com

 

 

AIは近い将来、間違いなくあなたの職場に登場する

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できることが格段に増えたAI

最近、AI(人工知能)に興味を持って情報収集しています。AIの基礎技術というより、AIに何ができるかということに注目しています。

以前はチャットボットぐらいしか使い道がないと言われていたAIなのですが、ここ最近の成果物を見ると一線を越えたのではないかと思っています。

現在できている、もしくは近々できるようになることをご紹介します。

 

事例

 

オセロAI

www.gamespark.jp

人気MOBAタイトル『Dota 2』のAIチームがプロプレイヤーを破るなどゲーム業界でたびたび話題になる「AI」。凄まじい処理速度で圧倒的な力を見せることもある存在ですが、日本のAI会社AVILENは、『オセロ』で逆に負けることが難しい「最弱AI」を開発しました。

この記事では、同社CTOの吉田拓真氏が本AIを開発するに至った経緯などをメールインタビュー。本当に負けることが難しいのかも含め、ご紹介します。

Web上で公開されている「最弱オセロ」は、スマホだけでなくPCでも遊べるオセロゲーム。記事執筆時点のAI戦績は、21勝5609敗6引分ということでハンパない負けっぷりです。で

 私もがんばりましたが勝ってしまいました。すごく弱いです・・。

 

安全運転AIアシスタント

robotstart.info

Pyrenee Driveは、本体に搭載されているAIが物体認識と危険予測を行い、事故の可能性を感知した場合には素早く音声とポップアップでドライバーに危険が迫っている事を知らせて事故の回避するAIドライバーアシスタント。ドライバー側に搭載されているカメラでドライバーの眠気や、よそ見がないかも認識する。ドライバーのよそ見が続いたり、あくびをしたりするとアシスタントが声をかけ、居眠り運転などの危険を感知すると、大きな音でドライバーを起こしたり、家族や職場に緊急連絡を行う。

 まだ未発売の製品ですが全ての自動車に取り付けてほしいと思う一品です。特に画像認識はここ最近でかなり進化した領域だと思います。

 

古典をAIが読む

www.nikkei.com

歴史学や文学など人文学の分野で研究手法の変革が起きている。文字や絵など様々な情報をデジタル化し、ビッグデータや人工知能(AI)などの最新技術を活用する動きが広がってきた。統計的な解析手法で緻密な分析ができるようになり、経験豊富な専門家に迫ろうとしている。定説を覆したり思わぬ発見が生まれたりすると期待が寄せられている。

 デジタル化した後は現代語への翻訳、さらには英語にまでしてくれそうです。

 

サーバー障害の予測を行う

japan.zdnet.com

 同社は、これまでストレージ製品群でHPE InfoSightの実装を進めてきた。効果としては運用コストで79%の削減、トラブルチケットの対応時間で85%の短縮、発生前トラブルの86%の自動予測や解決を実現したと説明する。

 サーバー製品群に展開するHPE InfoSightでは、システムの稼働状態などの監視機能とサーバー管理機能の「HPE iLO」と連携し、異常の兆候やパターンに基づく性能改善の推奨策を管理者に提供するほか、予想される問題の発生前に保守作業に備えられるようにし、システムのダウンタイムを削減できるとしている。

 警告ランプがついてたり、システム影響が起こったりした後では手遅れで、そうなる前に予防保守ができるぞと。すごい。他社サーバーとの差別化となりそうです。

 

補聴器の代わりに

pc.watch.impress.co.jp

Sound Amplifier(音声増幅)は、スマートフォン上のマイクなどから入力された音声をアプリ上で聞き取りやすいように調整し、イヤフォンから出力するアプリ。Androidのアクセシビリティ機能ではなくアプリとして提供されるため、ホーム画面から直接呼び出せて使いやすい。

 何を増幅するべきかをAIが判断しているのがすごい。Androidではもう使えます。

 

監視カメラから交通状況を通知

www.asahi.com

本システムはAIのディープラーニング技術により映像解析の精度を高めることで、天候や昼夜などの外部環境に左右されずに車両の停止や混雑など異常事象を自動検知し、道路監視員に通知することができます。これにより、早期初動を支援し事故の低減につなげます。

今後、当社は「AI検知システム」によって蓄積された異常事象の映像ライブラリから事象発生の予測や、河川の監視業務支援への活用など、適用範囲の拡充を図っていきます。

 画像認識の分野が一番最近進んでますね・・。

 

マイクラでAIアシスタントが動く

www.atmarkit.co.jp

 Facebookは2019年7月18日(米国時間)、「Minecraft」内で人間のプレイヤーと協力して動くAIアシスタントを実装するためのオープンソースプラットフォーム「CraftAssist」を公開した。Minecraftは、広大な世界でブロックを置いて冒険を続けるサンドボックスゲーム。

 CraftAssistで実装されるAIアシスタントは、人間のプレイヤーとテキストベースのチャットでコミュニケーションを取りながらブロックを置いたり壊したり、モブ(動物などのキャラクター)を生み出したりできる。このAIアシスタントは言語や知覚、記憶、物理的アクションを組み合わせて、家造りのような複雑なタスクを実行できる。

 仲良くなったりもするんですかね・・。

 

勝手に機密文書を見つけ出し整理する

news.mynavi.jp

当面は、複合機の利用状況を可視化する同社の統合ログ取得ソリューション「Logキャプチャ NX Plus」で収集する画像ログを対象に販売パートナーの大塚商会とともに無償で提供。将来的には、社内文書全体を検知対象に秘密文書管理台帳作成機能、秘密レベル分類機能、ファイル名変換機能などサービス内容を拡充させるとしている。

 まだフル機能は実装されていないようですが、将来に向けてかなり需要がありそうなソリューションです。企業がアウトプットする文書の数は相当多いので、AIが勝手に機密文書を見つけ出し整理し、統制をかけてくれるのはありがたい・・。

 

職場でもう働き始めているAI

www.nikkei.com

総務省によるとAIを使う国内企業は20年に44%。18年の2倍だ。この先、AIがデータ収集と分析の能力を高めていくと、働き方はどう変わるのだろう。

「誰も思いつかない選択肢を示し、経営者を支える」。日立製作所の柳井孝介(40)は「アドバイザーAI」を開発中だ。工場に再生可能エネルギーを導入すべきか。そんなテーマに賛成、反対の立場から複数の根拠を示す。記事やリポートを分析し、リスクがないか問う。経営層もAIに刺激される時代が来る。

そろそろ、AIが何か、ではなくAI製品を選び自分の職場に取り入れる時代がやってきたようです。

 

AI製品に注目しよう

AIはバズワードであり、良く調べるとAIじゃなく単なる分析だ、チャットボットくらいしか使い道がない、まだRPAの方がわかりやすい。そんな否定はもう時代遅れです。機械学習をバックグラウンドにすでに各社が製品化に向けて続々動いています。

これまでの技術進化の経緯を考えると、どこかでキラーソフトが現れて市場を席捲しつつ、オープン化が進んで誰でも使えるAIが登場するといったことが起こるのではないかと思います。

まだ、AIを本格開発するには高度な技術者と、コストが必要です。ソフトバンクの新ファンドが12兆円という膨大な投資を行うのもこのためです。しかし、投資の結果AIにさらなる革新が生まれるのは確実な状況で、その結果我々の仕事も劇的に変わらざるを得ないんだろうなと覚悟しています。すでに最近でた製品を見ていると一線を超え、さまざまなソリューションが世の中に出てくるのは確実です。より安価なAIが登場し誰にでも活用できる状況がそこまできています。

今はRPAによる定型作業の自動化が先行していますが、この次はおそらくAIしかできないことが業務プロセス自体をガラリと変えていきます。その変化を恐れることなくむしろ利用して、面白い仕事を作っていけないか未来に期待したいと思います。

 

備考

自分の身の回りであったら便利なAIを考えてみました。

・プレゼン文書(パワーポイント)に文面から解析して適切な絵やアニメーションを瞬時に挿入してくれるAI。

・誰かとの日程調整を自動で行ってくれるAI。スケジューラーから3つほどの候補を絞って相手と自動でメールやチャットで会話し、スケジューラーに登録してくれる。

・障害対応の履歴ログから、顧客向けの障害報告書を自動で作成してくれるAI。

・パソコンの作業を録画し、勝手に手順書を作成してくれるAI。

・AIから、スマートスピーカーでヒアリングを受け、資料を勝手に作ってくれる。

・AIが各種申請を代行してくれる。

いわゆる調整ごとや、お約束の文書などは、全部AIがやってくれるようになりそうです。事務系の仕事はどんどんAIがやるようになりそうな気がしています。

 

キャッシュレス業界のポイント還元赤字は本当に許容できるのか

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はじめに

私はほぼ現金で、キャッシュレス決済は使ってもクレジットカードまでなので、ここ最近の「ポイント還元〇〇%」という広告が乱れ飛んでいるのを横目で見てすごいなあ、本当なのかなあと思っているうちに一年が経ちそう、という状況です。

さて、そろそそ運営会社の決算も出てくるのですがかなり攻めた状況になっているようなのでこれをまとめてみます。

またその上で、現在の市場の状況を俯瞰し、今後の動向について考えます。

 

決算状況

キャッシュレス決済で強い、LINE、PayPay、楽天、メルカリの決算状況です。 

 

LINE(2019/7/24)

www.nikkei.com

LINEが24日発表した2019年1~6月期の連結決算(国際会計基準)は最終損益が266億円の赤字(前年同期は29億円の黒字)だった。スマートフォン決済で大規模なキャンペーンを行い、先行投資が膨らんだ。稼ぎ頭の広告事業では新たに導入した商品が下期から本格的に収益に貢献する見通し。決済への先行投資をどこまで補えるかが焦点となる。

 

PayPay(2019/6/28)

kigyolog.com

売上収益595百万円に対して販売費及び一般管理費が37,157百万円です。
そのため当期利益はマイナス36,787百万円(367億円)となり、とんでもない決算状況になっています。

 

楽天ペイメント(2019/5/10)

tech.nikkeibp.co.jp

楽天も決済サービス「楽天ペイ」を含む「楽天ペイメント」事業は売上高64億円、営業損失12億円と赤字だった。楽天ペイメント担当の中村晃一常務執行役員は「楽天ペイはきちんと加盟店から手数料をいただき、64億円を売り上げた。システム開発などの費用が先行するためまだ赤字だが、少額に抑えられた」と話し、他社との違いを強調した。

 

メルカリ(2019/7/25)

www.nikkei.com

フリーマーケットアプリ大手メルカリは25日、2019年6月期の連結最終損益が137億円の赤字(前の期は70億円の赤字)となったようだと発表した。これまで売上高以外の業績予想は開示していなかった。スマートフォン決済「メルペイ」への先行投資や、従業員の積極採用による人件費の増加で前の期より赤字幅が拡大した。

 

分析記事

いくつか現状を分析した記事を集めます。

 

BUSINESS INSIDER JAPAN(2019/7/11)

www.businessinsider.jp

肝心のQRコード決済別サービスの「認知状況」は、なかなか興味深い。100億円還元を2回も実施したPayPayはさすがに認知度が高く、対象1万6994人に対して、認知度70.4%とトップ。

2番手は、同じく大規模なCMや還元キャンペーンを打ち出している競合かと思いがちだが、この調査では「楽天ペイ」だった。

楽天ペイは、PayPayやLINE Payなどに比べるとプロモーションは派手ではないが、楽天カードユーザー向けに実質5%還元のキャンペーンを実施したり、楽天の店舗向け営業力を生かした対応店舗数など、地道で着実な営業を続けていることで業界では知られている。

「300億円祭」で話題になったLINE Payはこの調査では認知度3位の59.7%にとどまった。実質的に「国内3強」と呼べるのは、PayPay、楽天ペイ、LINE Payだということになる。

 

日刊SPA!(2019/6/10)

nikkan-spa.jp

 さて、ここでみなさんがもっとも気になるのは、やはりどのキャッシュレス手段をメインで使うべきかではないでしょうか。企業の財務諸表や事業計画を読み解くリサーチャーとして、今回はその答えを用意しました。

 ずばり、生き残るのは「メルペイ」です。

 LINEやソフトバンクなど、日本を代表するIT企業がすでに存在するのに、なぜメルカリ?

 その理由を今から3分ほどで簡単に説明していきましょう。

 

BCN+R(2019/7/19)

www.bcnretail.com

ドコモLINEメルカリ・au楽天連合・ソフトバンクの構図に

 

APPBANK(2019/6/3)

www.appbank.net

スマホで使えるキャッシュレス決済の「何とかPay」、どれがお得なのか主要サービスを解説します。

 

大還元ブーム、リスクも

プラットフォーム事業を考えると、どの業界をみても3~4社で寡占となります。例えば私の本業のクラウド業界(IaaS)においては、AWS・マイクロソフト・Google、グローバルではIBMやORACLEなどで引っ張っています。キャリアはNTTドコモ・AU・ソフトバンクの3社寡占なのは言うまでもありません。コンソールゲームだとソニー、任天堂、マイクロソフト。一度寡占の状態となるとなかなかそのバランスをひっくり返すのは難しく、プラットフォーム業界というのは初期段階でのシェア獲得こそが王道と言えると思います。

キャッシュレスもまさにその段階であり、認知度で言えばPayPay、楽天ペイ、LINE PAYが3強で、メルペイがそのあとに続いているという状況がわかります。ここ最近はもはや寡占状態はほぼ完成し、これらの業者が横に組んで参入障壁を作るという段階に来ているように思います。

 

news.livedoor.com

PayPayおよびLINE Pay、メルペイは23日、各社のスマートフォン(スマホ)など向け決済サービス「PayPay」および「LINE Pay」、「メルペイ」がコンビニエンスストア「セブン-イレブン」の全国2万973店舗(2019年6月末時点)にて3社合同の第2弾キャンペーン「毎週最大300円相当お得な5週間」を実施すると発表しています。

 

楽天ペイは他の3社と比べて還元戦略も含め距離を置いているように見え、面白いところです。楽天経済圏と言う言葉の通り独自色を出したいということでしょうか。

なお、リスクポイントとして、気になる記事を見つけたので最後に指摘しておきます。

 

tamakino.hatenablog.com

大量のスマートフォンを用意して、大量のポイント還元をむしり取るグレービジネス「羊毛党」が下火にならない。それどころか、IT企業は新規顧客獲得のために、ポイント優遇を大型化しているため、ますます羊毛党が暗躍することになっていると電商馬小雲が報じた。

 

ここ最近思うのが、昔はアメリカで流行したものを日本に持ち込めば成功するという話。今は実は中国が日本の未来を行っているのではないかという事実です。ITに関しては中央集権国家らしく、民衆の抵抗が弱くどんどん新しい技術が適用されているのが中国です。従って問題も日本の先に起こる。

7Payの事件でも中国が不正利用に関わっていたように、企業の意図と違う使い方をする技術(?)も中国が先に行っていると思います。今、先行投資ということで様々な会社がポイント還元赤字を大盤振る舞いしていますけれども、ボンヤリしていると羊毛党のような組織が日本でも暗躍するのではないかと思います。

本当にポイント還元赤字は許容できるのか、これは先行投資による赤字がきちんと回収できて始めて許されたことになると思います。上記のような案件が中国で実際に起こっている以上、不正利用を監視し食い止めるような機構を業界全体で運用しないと日本でも負の影響が出るような気がしてなりません。

 

NEC「顔認証ソリューション for オフィス」がとても良いので欲しくなった

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顔認証が日本を変える

NECが顔認証の分野で伸びていることは既報の通りですが、実際のソリューションをみてさらに興味を持ちました。

 

cloud.watch.impress.co.jp

 日本電気株式会社(NEC)は23日、顔認証AIエンジン「NeoFace」を利用した「顔認証ソリューション for オフィス」を強化すると発表した。同日より販売を開始する。

 「顔認証ソリューション for オフィス」は、NeoFaceを利用したさまざまな製品・サービスを利用し、オフィス向けに特化したソリューションとして提供するもの。その中で、複数の用途、および地点にまたがる顔認証システム間で顔情報の共通利用を可能にする「NeoFace 顔情報マネジメントサービス」を提供しているが、今回は新たにポータル管理画面を追加した。これにより、共有している顔情報や登録内容の一覧、顔認証システムごとの共有状況を管理画面上で確認できるようになったため、運用管理者の負担を軽減するという。

 

かなり導入費用もリーズナブルなので、これはいい!と思い、NECのページまで製品案内のページを拝見しにいきました。

 

jpn.nec.com

「顔認証ソリューション for オフィス」とは

「顔認証ソリューション for オフィス」は、オフィスにおける認証手段を顔認証で統一することで、オフィス内のセキュリティを担保しつつ、働き方の効率化や利便性の向上を図るソリューションです。

 

動画を用意しているし、個々の説明やソリューションもわかりやすい。

そのメリットをまとめます。

 

大きいメリット

最近のオフィスには入退室のためのIDカードが導入されていますよね。このIDカードは個人のカバンなどに入れて個人管理しなければいけないのですが、紛失の恐れがあります。紛失したらまず管理部門に届け出をして、そのカードを無効にし新しく発行し・・ということで、まず物理的に管理が大変です。またオフィスが全国にあったりするとまた、それぞれの事業所でIDカード管理が必要になります。

ゲートを抜けて自席に座り、パソコンを開くと今度は企業Active DirectoryのIDやパスワードを入力しなければいけません。企業によると思いますが定期的なパスワードの変更が必須です。個人も覚えて管理するのはまた大変です。忘れるリスクもあり管理側も大変。また、アカウントやパスワードが漏れ、かつ企業外からリモートアクセスできるようになっているとその重要度も跳ね上がります。

このようにオフィス内の認証にはさまざまな面倒くささがあり生産性を落とす一つの原因となっていますが、この顔認証が多くのことを解決してくれます。

顔自体はユニークなIDとして取り扱われます。必ず持ち歩くIDとして顔認証を利用することで個人に紛失しないIDを付与することができるようになります。これによりIDカードが不要になります。紛失もありませんし盗難もありません。管理面でもコスト面でもIDカードより大変優秀です。

しかも、顔認証を読み取る装置は普通のカメラです。IDカードの磁気読み取り装置も不要ですし、指紋認証や静脈認証のように特殊な機械も不要です。これで導入費用が大変安くなります。スマートフォンでの顔登録すらサポートしています。

顔認証はパスワードすら不要です。顔は個人を証明してくれますから、顔を提示するだけでよいのです。

顔認証自体の情報(キー)は電子的な情報です。したがってこれを保管する顔認証データベースはその認証を利用するロケーションに存在する必要がありません。したがってクラウド上にデータベースを利用し、異なるロケーションからアクセスすれば全国、いや、世界で同じ認証情報を利用できます。

クラウドの顔認証管理サーバーではAPIを用意しています。このAPIを利用していろんな認証、例えばビル・機密エリアへの入退室、会社PCへのログイン、そして企業内の自動販売機や食堂の決済等にも使えます。シングルサインオンです。企業内で活動する人の顔情報をデータベースに一度登録すればID化され、いろんなシステムで認証を統一化できるのです。その読み取りにはパソコンであればソフトウェアをインストールするだけで実現できますし、物理的なゲートには安価な端末をセットすればよいのです。

 

安い

上記NECのランディングページからいろいろとソリューションを見ているんですが、リストプライス(定価)でも随分安いんですよね。これだけ安ければ今の認証システムのリプレースで対応できるでしょう。

導入事例もかなりあります。

そのうち、かなりのオフィスにNECの顔認証が入っていくのではないかな・・・と感じています。

ちょっと怖いことを言いますが、何とかペイなども、顔認証の情報とリンクさせればスマホすらいらないんですよね。キャッシュレスの最終形というか・・。

そこまで一足飛びに進化しなくとも、とりあえずオフィスには顔認証がどんどん導入されていき強固なセキュリティーを実装してほしいです。オフィスが安心して働ける場所であり続けるために。

 

会社でGitHubを使うとなぜ危ないのか

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はじめに

7PayにおけるGitHubソースコード漏洩(の可能性)の件、できるだけわかりやすく、何が起こったかを説明してみたいと思います。一般の人にはなかなかわかりにくいと思いますので。

 

この件そのものの顛末は、下記の記事をごらんください。

www.businessinsider.jp

7payにも関連する、ECアプリ「オムニ7」の設計図にあたるソースコードが漏洩していた可能性がある。オムニ7アプリはセブン-イレブンアプリとは別アプリだが、ログインまわりの設計は非常に似通っているとみる専門家もいる。

事実であれば、アプリ開発の管理体制、アプリ自体やサービスのセキュリティーに関するリスクの有無についても、一層の警戒が必要になる可能性がある。

 

説明してみる

GitHubっていうのはインターネット上のWEBサービスです。

GitHubには、ファイルをアップロードできます。GitHubはバージョン管理してくれるので昔の状態を覚えていて、戻してくれたりします。バージョン管理システムと呼び開発者にはおなじみです。GitHub上のファイルは自分のパソコンに複製できます。基本的にはソースコードというプログラムが書かれているファイルを管理するためのシステムですが、最近はそれ以外のファイル(ワードやエクセルファイルなど)を管理するために使う方もいらっしゃるようです。

会社のパソコンでプログラム開発をしたとしてその内容をGitHubに複製。家に帰ったらGitHub上から自宅のパソコンに同期して、作業を続けられる。

便利ですね!

フリーランスなどで企業のシステム開発を手伝っている人は、企業でも自宅でもGitHubのデータ(データを入れる箱をリポジトリと呼びます)を同期すれば複数の場所で作業が続けられます。

このGitHubというサービスが提供するリポジトリですが、2つの種類があります。1つはパブリックリポジトリと言われるもの。しかし誰からでも見えるようになっています。それでは困るのでもう1つ、プライベートリポジトリと言うものがあります。これは限られたユーザーしか見えないものです。

去年まではプライベートリポジトリは有料版のユーザーしか使えなかったのですが、今年になって無料版のユーザーも使えるようになりました。プライベートリポジトリには共同作業者を招待できますが、無料版は3人のみしか招待できません。その制限に目をつぶれば最近は無料でも使い倒せるようになりました。

ということで便利なGitHubですが、何にも考えずに自分のパブリックリポジトリに公開しようものなら、大事な情報を公共にさらしているのと同じことになります。もしくは、プライベートにアップロードしていたと思っていたら、実はパブリックだった。これでも同じことです。今回のオムニ7アプリかもしれないソースコードはそのようにして第三者に読み取られただろうということになります。またその中身は機密情報も含まれていて、企業自体の管理体制不備を指摘されています。

そもそも、何某かのプログラマーが、企業の成果物を勝手にインターネットのWEBサービスにアップロードすることからして微妙な話です。また、WEBサービスの運営がまずくて、プライベートリポジトリの内容が実は読み取られるかもしれません。

GitHubには、このように他人の著作物を勝手にアップロードされ公開された場合に、著作権者が公開の停止を申請することができます。DMCAテイクダウンと呼ばれていますが、今回のリポジトリに対してとある企業がこれを行っています。

以上が今回の問題の顛末となります。

 

企業でのGitHub運用に最適解はあるか

このようにどんなに便利とは言え、企業内でGitHubを無制限に使うのは危険と言えます。GitHubにおいては、エディションによって企業でアクセス管理をするプランもありますから使うとすれば、その運用方法を考える必要があります。

ただ、企業にて自分のパソコンにGitHubからソースコードを手に入れた人が、個人的な無料のGitHubリポジトリにアップロードするかもしれませんから、企業のネットワーク内においてGitHubにはつながせない企業も出てきているということも付け加えておきます。

 

it.srad.jp

 

企業においては有料版を契約し、GitHubのプライベートリポジトリ上に成果物を保管。オフィスでも自宅でも同じリポジトリを使えるのでリモートワークに最適。WEB系のベンチャーなどスタートアップはこういうスタイルも増えてきていると思います。

そんなメリットを享受されている企業がいる一方で、いやオフィスのLANでは全部禁止だ、というのも一つの考え方だと思います。

本件は、システム開発会社がGitHubをどう捉えるか、分かれ目となる事件になるのではないかと思います。なんとなく、だいたいのSIerはガチガチに閉じてきそうな気がしております。

また、GitHubをいくら禁止しても、インターネットの他のサイトに接続可能であれば別のGitを提供するWEBサービスはありますし、それこそ自分でクラウドサービスを借りてアップロードすればよいだけですから、GitHubを悪者扱いするよりアップロードを試行する技術者自身のコンプライアンス自体に問題があると思います。やる人はどんなに制限かけてもやるだろう・・という論理です。

もしネットワークの仕組み的にアップロードを防ぐなら、それこそインターネットにつながせないぐらいの強硬手段を取らないと最適解とならない、と思います。そして企業のLANの中にローカルGitサーバーを立てる。ガチガチの金融案件でしかお目にかかれないようなプログラム開発環境をどうしても取らないとこういう問題は起こってしまうのかな・・とクラウド時代に多少途方に暮れてしまった本件でした。

 

追記

日経 xTECHより報道がありました。

 

tech.nikkeibp.co.jp

 セブン&アイ・ホールディングスが提供するスマートフォンアプリ「オムニ7アプリ」のものとみられるソースコードが2019年7月中旬までGitHubで公開状態にあったことが分かった。誰でも見られる状態で事実上の流出と言える。現在は公開を停止している。

 

記事を確認する限り、上記以上の事実は分からないと思われます。 

 

Pythonが商標登録されてしまった件のまとめ(1)

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はじめに

昨今のAIブームで脚光を浴びているプログラム言語Pythonですが、株式会社アークによって「Python」について商標登録申請が2017年5月25日に特許庁に出願され、2018年5月11日には登録されてしまっているということを聞きつけました。

本記事に情報をまとめておきます。

 

関連記事

2019/7/22

 

2019/7/23

tech.nikkeibp.co.jp

 「Python」が商標登録されていると分かった。プログラミング言語Pythonの人気が高まるなか、2019年7月23日現在、IT関係者の間で話題になりつつある。

 Ruby開発者のまつもとゆきひろ氏は7月22日午後9時過ぎにTwitterで、Pythonを商標登録した企業の研修コースを紹介するWebサイトを引用して、「登録商標取られちゃったんだ。無効申請すべき?」とツイート。7月23日午後2時30分時点で1500件を超えるリツイートがなされている。

 

tech.nikkeibp.co.jp

商標登録したアーク(東京・文京)の荒川幸式社長は2019年7月23日午後、日経 xTECHの取材に応じ、商標登録の目的を明らかにした。「Pythonのセミナー業務を開始した際、知人の弁理士に相談した」のがきっかけという。

 

developers.srad.jp

2013年、英企業がPythonの商標権を主張して騒動となったが(過去記事)、日本ではアークという企業が電子的コンテンツや教材・刊行物、コンサルティング、デザインなどの分野で「Python」の商標を2017年に出願し認められていたとのこと(Ruby開発者・まつもとゆきひろ氏のTweet、Pythonに関する執筆やコミュニティ活動などを行っている石本敦夫氏のTweet)。

 

資料

問題となっている商標登録

商標出願・登録情報 - 登録6042638

 

株式会社アーク(商標を登録した企業)

www.gigamall.ne.jp

 

西尾泰和のScrapbox(経緯)

scrapbox.io

ちょっと別件で忙しいので書きなぐりですが「けしからん」的な感情論ではなく事実を整理したい

 

特許庁(商標登録とは?)

www.jpo.go.jp

商標とは、事業者が、自己(自社)の取り扱う商品・サービスを他人(他社)のものと区別するために使用するマーク(識別標識)です。

私たちは、商品を購入したりサービスを利用したりするとき、企業のマークや商品・サービスのネーミングである「商標」を一つの目印として選んでいます。そして、事業者が営業努力によって商品やサービスに対する消費者の信用を積み重ねることにより、商標に「信頼がおける」「安心して買える」といったブランドイメージがついていきます。商標は、「もの言わぬセールスマン」と表現されることもあり、商品やサービスの顔として重要な役割を担っています。

このような、商品やサービスに付ける「マーク」や「ネーミング」を財産として守るのが「商標権」という知的財産権です。

 

商標登録NOW(商標権とは?)

www.jazy-ip.com

商標権の効力(専用権と禁止権)
商標登録が認められると、権利を取得した商品やサービスについて、その商標を独占して使用することができるようになります(商標法第25条/専用権)。

商標権者以外は、勝手に使用できなくなるわけですね。

また、他人は登録商標と同一の商標だけでなく、類似している商標も勝手に使用することができません。

これは、商標権の効力が登録商標と似ている範囲にまで及ぶからです(商標法第37条/禁止権)。

 

ライトハウス国際特許事務所(無効審判とは?)

www.lhpat-tm.com

商標登録の無効審判は、本来、商標登録されるべきでない商標が商標登録されているような場合に、特許庁へ審判を請求することにより、商標登録を無効にすることができる制度です。

 無効審判は、指定商品・指定役務ごとに行うことができます。

 ですから、複数の指定商品・指定役務について商標登録されている場合に、一部の指定商品・指定役務についての商標権のみを無効にすることもできます。

 

備考

状況的には、昨日(2019/7/23)に本件に関してIT業界がざわつきはじめたため、一旦は関連資料を集めたのみです。

西尾泰和氏の整理の通り、

 

・対象にソフトウェアは入っていない

・そのため、プログラミング言語としてのPythonをPythonと呼ぶことができなくなったりはしない

・対象の41群の「教育訓練研修」が、Pythonを教える勉強会などに影響を与えるのではないかという懸念がある

・勉強会をやろうとしている人を萎縮させるのは社会のために好ましくないのでここを整理したいのが僕のモチベーション

・他の群で定期刊行物・電子定期刊行物が含まれてるのも嫌なところ

 

今後のIT業界にとって課題となる案件となりそうですので、一旦情報の整理として本記事を作成いたしました。

状況の推移に注目していきます。

 

追記(2019/9/17)

続報です。

 

tech.nikkeibp.co.jp

 プログラミング言語Pythonの開発を支援する米Pythonソフトウエア財団(Python Software Foundation、以下PSF)は2019年9月17日、日本国内で「Python」が商標登録されている事象に対し、行動を取る予定があると明らかにした。Pythonの「本家」とも言えるPSFで商標委員会(Trademark Commitee)の議長を務めるマーク・アンドレ・レンブルグ氏が、国内最大のPythonカンファレンス「PyCon JP 2019」のクロージングセッションに登壇して表明した。

 

 

選挙開票になぜAI OCRを導入しないのか理解できない

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人力による開票はもう限界だ

もう、人力による開票はお金がかかるうえに人間独特の誤りを排除できず、限界ではないでしょうか。

 

www.jiji.com

静岡県富士宮市選挙管理委員会は23日、参院選比例代表で自民党の山田太郎氏が同市内で得た515票の全てを、れいわ新選組の山本太郎代表の票として扱うミスがあったと発表した。市民からの指摘で発覚した。当落への影響はないという。

 

人間が行う以上、見間違いや思い込みによる誤検知があるということをまざまざと教えてくれた事例となりました。

電子投票についてはまだ準備が整っていないことはわかりますが、開票自体はもはや機械化すべきではないでしょうか。

今、特にRPAの世界でAI OCRという技術が発達しているのをご存知でしょうか。手書き文字を自動認識し読み取ることができるのです。

今回は、そのAI OCR技術を特集します。

 

AI OCR事例

 

2019/7/4 ITmedia

japan.zdnet.com

 特に注目されているのがAI-OCRによる紙帳票のデータ化と入力業務の自動化である。OCR(光文字認識)にAI技術を取り入れることで、従来型と異なり、文字枠(ピッチ)のない、自由記入方式の手書き文字を読み取れるようになる。漢字やカタカナ、数字、英字などの混在や印影の重なりなどにも対応できるほか、帳票レイアウトを事前に設定しなくても、AIが読み取り箇所を自動で抽出するといったことも可能になる。

 NTTデータは、LGWAN(行政専用閉域ネットワーク)を活用したAI-OCRサービスを地方公共団体向けに提供している。手書きの各種申請書類をスキャンした画像ファイルをLGWAN経由でAI-OCRサービスにアップロードするだけで、自動変換されたテキストデータをCSV形式で取得できるものだ。これにRPAツールを組み合わせることにより、基幹システムへのデータ入力までを自動化する。

 

2019/7/19 Ledge.ai

ledge.ai

しかし株式会社Cogent Labsの手書き文字認識AI OCR『Tegaki』の導入で、採寸データの入力作業が溜まることは一切なくなったという。

Tegakiとは手書き書類をスキャンして取り込むだけで簡単にデータ化して保存ができる手書きAI OCRサービス。自動認識が難しかった手書き文字を高速・高精度に読み取ることができる。各種申込書類やアンケートをはじめ、医療機関での問診票など様々な手書き書類の読み取りに対応可能。手書き文字の認識率99.22%を達成した研究結果を元に、データ入力業務の効率化とコスト削減を実現する。

 

2019/6/27 BD

bitdays.jp

■LINE BRAIN OCR
国際会議で世界最高水準の認識精度を誇る「画像内の文字や文章をテキストデータへ変換する技術」です。写真やスキャンした印刷文字、スクリーンショット内の文字を精度高く認識します。「LINE BRAIN OCR」は、ICDARでAI競合他社を抑え4分野で世界No.1を獲得しています(2019.03.29時点)。例えば、申込書・注文書・請求書などの登録、領収書の日付・品目・金額などの読み取り、免許証などの身分証の登録(eKYC)などに活用が期待できます。

 

2019/7/6 ニュースイッチ

newswitch.jp

さらに、AI―光学式文字読み取り装置(OCR)とRPAの連携は、実用化が目前に迫る。NTTデータではLGWAN(行政専用閉域ネットワーク)を活用し、自治体が保有する大量の紙帳票を基幹システムに登録する「AI―OCRソリューション」を10月に発売する予定だ。

 

2019/1/28 IT Leaders

it.impressbm.co.jp

Smart Data Entryは、手書き帳票からのデータ入力をAIを用いて支援するクラウドサービスである。クラウド上でAI-OCRを動作させ、複合機から入力した手書き帳票をテキスト化する。手書き帳票の受付からテキスト化処理、人による確認と訂正からデータ出力まで、手書き帳票の一連の処理を支援する。電子化した紙文書を一元管理するソフト「DocuWorks」と組み合わせて動作する。

 

考察

その他、ここに紹介しきれない事例もたくさんあり、AI OCRはすでに日本社会に導入され実用レベルに達している技術です。

もちろん100%の識字率はできないものの、判断できないものだけを人間が処理するだけで明らかに開票の正確性が向上すると思います。

特に、山田と山本を間違えるなんてことは、AI OCRは絶対に起こりえないのです。

選挙の結果について、私は大変疑問を持ちました。人間のミスで票数が変わるのならば、そのエラー率はどれぐらいあるのでしょうか。またそれを利用して恣意的に結果が捻じ曲げられた可能性はないのでしょうか。

今回も、市民の指摘が無ければ気が付けなかったのです。

なぜすでにある技術を使わないのでしょうか。電子投票にハードルがあるのなら、せめて開票の大部分を自動化すべきではないでしょうか。

人間がやるから正確、もうすでに、思い込みの領域に入っていませんか?

 

ARはスマホの次か? 5Gで変わる情報端末の形

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スマホが置き換わる?

Softbank World 2019には都合が悪く行けなかったのですが、日経xTECHで関連記事を複数チェックしました。

最も気になったのは下記の記事ですね。

 

tech.nikkeibp.co.jp

「もうスマホの画面では情報が収まらない、ARなら現実世界を全て画面にできる」――(SB C&S ICT事業本部MD本部AR/VR/MRソリューション担当の遠藤文昭氏)。2019年7月18日、ソフトバンクの法人向けイベント「SoftBank World 2019」で登壇した遠藤氏は、業務資本提携を結ぶホロラボの代表取締役CEO中村薫氏とともに、AR(Augmented Reality)と5G(第5世代移動通信システム)が切り開く未来について講演した。

 

3Gより4Gが速くて、5Gはそれよりも速い。そういう理解はもったいないです。5Gというものはこれまでの通信の常識を大きく変える技術です。

5Gになってもスマホからインターネットに接続するだけでは、単に速いだけじゃんということになりそのポテンシャルを活かせません。

特に、スマホの画面。もうこれ以上は大きくなれませんよね。折り畳み式が出ていますがあれは全然未来っぽくない。しかしなぜあの折り畳み式が出るかと言うと、処理したい情報量がどんどん大きくなっているからです。Xperia 1もかなり縦長。つまり、今後今のスマホの形自体がボトルネックとなっていくのです。

だから・・ARが必要、と言う文脈です。5Gではスマホの画面では限界がある。

ガラケーがスマホに主役を奪われたように、またタブレットがスマホの市場を奪えなかったように、そしてPCが生き残ったように、デバイス側はその時の環境に合わせ変化すべきものなのです。

・・で、ARとは何でしょうか。

 

ARの記事

 

2019/7/21 静岡新聞

www.at-s.com

森町の体験型施設アクティ森で20日、AR(拡張現実)を使った新ゲーム「ロールプレイングトリップ」が始まった。初日は親子連れなどが施設を訪れ、ゲームを楽しみながら自然散策した。

 

こちらは、スマホのカメラで見た映像に、画像を加えるパターン。

今ARと言うと、このスマホを視覚として使うパターンばかりです。でも、あの小さい長方形の中だけでしか表現できないのならば、表現に限界がありそうです。

 

2019/7/18 engaget

japanese.engadget.com

マイクロソフトが、マインクラフトの完全新作スマホARゲーム『Minecraft Earth』(マインクラフト アース)の限定ベータテストを開始しました。

位置情報ゲームでもあるマイクラアースのベータテストはまずは世界の限られた地域から、登録して招待されたプレーヤー限定で始まります。

この最初のベータ開催地である世界の四都市に、マイクロソフトの地元でありマイクラアースの開発スタジオがあるシアトル、英ロンドン、マインクラフトの故郷であり開発元Mojangのお膝元ストックホルムと並んで、東京も選ばれました。

 

これもスマホで見るタイプ。

結構流行しそうですが、スマホ見ながらっていうのはどうかなあ・。

 

2019/7/12 ITmedia

www.itmedia.co.jp

米Boseが開発したサングラスとして話題になった「Bose Frames」(199.95ドル)は「Bose AR」と呼ばれる「音のAR」(拡張現実)を始めて実装したウェアラブルデバイスだ。第2弾として、今年5月には米国などでBose AR対応のノイズキャンセリングヘッドフォン「Bose Noise Cancelling Headphones 700」(399.95ドル)が発表されている。今回はこのBose ARを日本で試した。

 

音のAR・・。ヘッドフォンをかぶってiPhoneを持って歩くと、GPSで場所によって音を追加してくれるらしいです。

カーナビに近い感じですが、オーディオメーカーのBoseらしく、環境音まで再現してくれる。ピアノや海の音・・・など。

ちょっと興味を持ちました。次のアマゾンのセールで探してみるか・・。

 

2019/3/19 ITmedia

www.itmedia.co.jp

2月末、スペイン・バルセロナで開かれた「MWC19 Barcelona」は、5Gを軸にしたモバイル関連の一大イベントだった。ただ、AR・VR業界的にはMicrosoftがついに「HoloLens 2」を発表したのが最も大きなトピックである。

 

結局のところARのことを考えると、このHoloLens2に行きつきます。

ただまだ売られていないし、公式ページには3500ドル(日本円で40万ほど)。高価すぎて手が出ない。

 

考察

私はOculus RIft Sユーザーで、最近はデバイス自体の形状に慣れてきてメガネありでも使えています。画質も素晴らしくなんとなくVR自体は技術的にこなれてきた感があります。

ただVRだとやはり移動が難しい。目隠しされているようなものですので、コントローラで疑似的に疑似空間を歩く、というような雰囲気です。

これがARになると、まずは現実の景色がありきで、そこにオブジェクトが移りこみますから現実に溶け込むことができます。

現実全体がディスプレイになりますから、スマホの小さな画面を飛び出して、大きな情報を見える世界に散りばめられるようになる、という仕掛けです。

スマホはスマホでテキストリーダーとしては生き残ると思いますが、ビジュアルな情報はARが随分表現できるだろうなあという予想です。

スマホの制限を飛び出したAR(HoloLens2のような)が、普及する時期を楽しみに待っているところです。

 

日本の基幹システムがこんなことになってしまった理由を知るために全員が読むべき小冊子(無料)

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全員が読むべき資料

SI企業、ユーザー企業どちらにとっても読むべき小冊子が公開されています。

無料公開です。134ページもあります。

 

www.jsug.org

ジャパンSAPユーザーグループ(事務局:東京都新宿区、会長:数見 篤、以下 JSUG)とSAPジャパン株式会社(本社:東京都千代田区、代表取締役社長:福田 譲、以下 SAPジャパン)は、2018年7月から2019年3月にわたって、有識者による「ニッポンのERP再定義委員会」を組織し、このたび、日本企業のERP導入に向けた提言『日本企業のためのERP導入の羅針盤~ニッポンのERPを再定義する~』を取りまとめ、公開を開始しました。

 

この小冊子をまとめた有識者には、そうそうたるメンバー(ユーザー・SIerの幹部)が並んでいます。

西暦2000年前後に基幹システムとしてSAP R/3が日本でも大流行し大いに導入されたとき、企業の中で何が起こり結局どうなったのか。そして今何を抱えているのか詳細にまとめられています。

SAP側の反省点も含まれていて、ずいぶん赤裸々な資料だなと驚いたのですが全部目を通しました。以下、感想をまとめます。

 

感想

全てお読みいただくとわかると思いますが、読めば読むほど息が詰まってきます。2000年前後のERPブームのときにも、経営者はこれを機にBPR(Business Process Re-engineering、業務プロセス自体の見直し)に取り組みたいと思っていた節があります。

しかし、結局のところ「現場の業務がまわらない」を盾にERP側がどんどん妥協していきました。アドオンと言われる追加プログラムをどんどん作っていって、業務プロセスを見直すことなく巨大なカスタマイズシステムが出来上がってしまった。こんなことが日本のどの会社でも起こったそうです。

本当はERP標準に合わせたいのだけれども、日本独特の商習慣に対して機能がなく、じゃあお客様にビジネスプロセスを変えてもらうかといっても無理です。システムを変えるから取引条件も変えてほしいなんて今の日本でもなかなか難しいのではないでしょうか。20年前ならもっとそうです。

では、その日本独特の商習慣をどうするか。海外の場合はユーザー会の発言が活発でどんどんSAP本社に意見を伝えて標準機能に加えて行ってもらったそうです。ところが日本はSAP本社への要望は行わず、どんどんカスタマイズを作っていった。時間が進んでいくとそのカスタマイズを集めたテンプレートが出回るようになったものの、テンプレート自身がアドオンを含んでいるために中途半端な成果になってしまったそうです。またテンプレート自身が他の会社のビジネスプロセスであるために、自社の差分をどうするか。これもアドオン対応するということで、日本で基幹システムの保守にこれだけお金がかかるようになってしまった、ということです。

また、SAPの構築から保守に至る流れも問題を抱えています。構築時に業務と合わない部分が大量に発生するため想定外に費用も掛かり、人員も疲弊。どうにかリリースまでこぎつけると、もうこんなにコストも人も使ったのだからもういいですよね業務に戻りますね・・、SIerも保守要員だけにしますね・・ということで、どう活用するかという観点がなく、せっかく導入したのにただただこれまでの業務を廻すだけ。と言うことになってしまった模様です。

この今でもたくさんのユーザーを持つSAP R/3ですが、2025年にサポート切れを迎えます。じゃあ次バージョンのSAP S/4HANAにアップグレードすればいいということですが、中身が大きく変わっています。移行しなければいけないのですが既報でもお伝えした通りシステムエンジニア自体が不足しています。過去に導入に携わったユーザーやシステムエンジニアももはや20年前の出来事ですし、また当時の導入が非常に大変だったためにSAP自体から離れてしまった人もいます。2025年までに本当に乗り換えられるのか?。そして今が2019年、ここから準備しないと手遅れになるぞという話になっています。

この状況で、「業務を変革してパッケージに合わせるべきだ」と言ってもなかなか難しいのではないかということを率直に感じています。もちろんSAP側の機能もどんどん拡充していますから、20年前よりは標準機能だけで納められるようになっている範囲は増えていると思います。ただ業務側の哲学で、取引先にプロセス自体の変更を求められるかという難題があります。それならもうおたくと取引しないから、と言われるのが非常に怖いのではないでしょうか。

またアドオンをもう作らないのならばSAPの外で作るべき、という提案も本文書ではされていますけれども、SAPの外で作ったとしてもそれはアドオンと何ら意味は変わらないのではないか。

結局のところ日本企業の独自な商習慣をSAP本社に認めさせ標準機能に取り込ませる、ということができない限り結局は日本側でカスタマイズの山を作るしかないのではないか、という思いにかられたのが閉塞感の正体です。本当に日本ぽい。

業務を深く理解し、しかもSAP S/4HANAの機能も深く理解し、それでは業務側を安全にプロセス変更しできるだけSAP S/4HANAの標準機能に合わせる形でプロジェクト全体を計画。とりあえず素早く導入し、差分については追加開発しながらアジャイル的に進めていく。・・・これってめちゃくちゃ大変じゃないですか?。まずは業務とSAP S/4HANAの両方を知る人間がどれだけいるのかどうか。

さて、2025年までにどうすればいいのでしょうか。

1つは、SAP R/3自体を捨て、日本独自のERPに乗り換えてしまう方法です。どうせ業務側の再教育が必要ならばもっとわかりやすくて日本に優しいパッケージに乗り換えること。このあたりの思想から、ワークスアプリケーションズのCOMPANYが出てきて大いに売れた時期もあったと思うのですがこれもなかなか厳しいことになっていてここでは触れません。

もう1つは、SAPジャパンがSAPができるシステムエンジニアを増やそうとしています。SAPジャパンと協力していかにSAP S/4HANAにアップグレードできるかを今から画策し進めていくことです。SAP技術者さえ確保できれば、他のERPに鞍替えするよりはアップグレードするのが無難なことはわかります。この点において、SIerやIT部門はシステムエンジニアの確保に終始すればいいのですが、問題は業務側です。SAP S/4HANAが何者で、アップグレードのためにはどうマインドチェンジするかもふくめて企画しなければいけません。先行してアップグレードした企業がこの小冊子にTo Doをまとめてくれていますので大いに参考になると思います。

 

DXははるか遠くに

メディアも経産省も、2025年の崖でユーザー企業を煽るのはわかるのですが、業務部門は厳しいビジネスの場ですし、SIerも人材すら用意できない状況です。

DXが・・、というよりもっと現実に目を向けて、SAP R/3ユーザー全体をどうすれば救えるのか最適解を考える必要あり、です。アドオンの山は次に引き継げません。ではアドオンを一つ一つアウトソースし外部システム化していく・・といくらお金があっても足りない。これはホストシステムからSAP R/3に起こったことと全く同じことのようですね。当時はアドオンの山・・でした。

今後は「業務もSAP S/4HANAもわかっている人材」という縦割りでは説明できない職域の人が必要になるということになります。今からなすべきはこの人材の確保だと思われます。業務に詳しい人がITを勉強するのか。それともITに詳しい人が業務を勉強するのか。もはやこの議論が不毛になっているということになると思います。中小企業ならばもはや両方やれ、ということでかえって進めやすいのかもしれません。しかし、大企業となると、各業務で仕事のやり方は全然違うでしょうから、業務ごとにITを決めていくと全社で統合が取れない、ユニークなシステムが乱立するということにもなりかねません。

偉い人はDXと言うけれども・・・現実は・・・。その苦しみがこめられたこの小冊子を読んで、一度経産省やメディアに焚き付けられたDX脳を一度冷ましてみるのも良いかもしれません。本当の闘いはそこからだと思います。20年前に起こったERP大戦が・・再度SAP S/4HANAを舞台にして巻き起こる・・。ぜひ、良い資料ですので読んでください。またこれを機にSAPに参戦しようと思っている方はなぜ人材が必要なのか痛感できるはずです。

 

追記

誤字修正しました(SAP HANA/4 → SAP S/4HANA)。@yynhrさんよりご指摘。助かりました。

 

派遣社員に交通費/賞与/退職金を正社員と同等に支給せよ(2020年4月から)

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時給が上がる・・だけではない今回の内容

昨日速報で記事を書き、本日の日経新聞一面をも飾った派遣社員時給3年で3割アップの件です。その根拠となっている厚生労働省職業安定局長通達は非常に画期的な内容なので、より多くの人々が理解を深める必要があると思います。

具体的には、時給アップだけのお話ではありません。

 

・交通費を正社員と同じだけ支給せよ
・賞与を正社員と同じだけ支給せよ
・退職金を正社員と同じだけ支給せよ

 

これまで、時給だけではなく、交通費・賞与・退職金について正規社員との格差に問題意識を持っていらっしゃた方は多かったのではないかと思います。

この部分に対するドラスティックな改革と言えると思います。

なお、本件、今から議論する段階ではなく実行段階であり、2020年4月1日には実行されていなければいけない内容です。

派遣契約に関わっている派遣元、派遣先、また派遣労働者はいち早く理解が必要です。またこれから関わろうとする企業や個人にも理解が必要です。

 

通達の内容を理解するために

厚生労働省が公開している「派遣労働者の同一労働同一賃金について」文書が極めて重要です。

 

www.mhlw.go.jp

派遣労働者の同一労働同一賃金の実現に向けてページを開設しました。

今後、随時リーフレット等を掲載していきます。

 

この中でも、「労使協定方式(労働者派遣法第30条の4)「同種の業務に従事する一般労働者の賃金水準」について」という章がポイントとなります。この中の概要と言う文書にご注目頂きたいのです。

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この表がすべてを示しています。

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左が、正規社員。右が派遣労働者です。

時給換算した上で同等以上にしなさい、ということです。しかも右側には「賞与」「諸手当」が明記されていますよね。

 

正規社員の賃金水準(左側)に関しても厚生労働省が出す統計を使って計算することが求められています。勝手に派遣元が給与テーブルを作るのではなく、職種によって客観的に給与が決まることになります。

「賃金構造基本統計調査」か、「職業安定業務統計」のどちらかを使え、とあります。

ただし、このテーブル。高いか安いかについてはいろいろと議論がありそうですね。ただし、時給がこの金額より高ければよいので、技術力の高い人はこの金額より高く契約すればよい。したがって労働者側に問題はなさそうです。

この給与計算は就労した経験年数によって割り出すこととあります。したがって、同一派遣元に何年いたかではなく、その職種で何年の経験を積んだかで計算しなければいけないように読み取れます。この点は非常に重要です。雇い止めされ、次の現場からまた0年目に・・というようになると同一労働同一賃金の法則に外れるからです。

派遣元は、職場が変わるときにその派遣労働者のこれまでの実績を踏まえて時給計算をしなければならず、かつその最低額は公的に定められることになったということです。

 

交通費についても結構厳しいことが書いてあります。

所定労働時間が8時間×週5日の場合、各月の上限額が12,480円(※)未満であれば、協定対象労働者の通勤手当を12,480円と同等以上とする ことが必要。 ※ 72円×8時間×5日×52週÷12月 = 12,480円

フルタイムであれば、12,480円以上交通費として支払いなさいということです。もしくは上記を時給に反映しなければいけないとあります。

 

また、退職金も同等に正規社員の水準を厚生労働省が示した値に基づいて支払うか、その分を時給換算して支払わなければいけないとあります。

 

まとめると・・

今回の通達、抜け道がことごとくつぶしてあって大好きなのですが、特にわかりやすい表が下記です。

 

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正規社員が受け取る基本給や賞与・手当・退職金等々は、全て厚生労働省が基準を示すので、その総額を必ず超える形で派遣社員に支給しなさい、ということです。

繰り返しますが、同一派遣元に何年いたかではなく、その職種で何年の経験を積んだかで計算しなければいけないということは強調しておきたいと思います。

契約を打ち切って、すぐ再雇用するようなごまかしをしても、経験は変わらないのですから待遇は変わらないということになります。

 

IT業界の影響

いわゆる人材派遣会社からの派遣社員については、そのまま上記基準が反映され給与が上がっていくと思います。

ただ気になるのは、労働者派遣事業登録を行っている企業が、派遣社員候補を正社員として雇用し、その人を派遣契約で派遣先に送り込んでいる場合です。

IT企業ではよーくある形態です。

その場合は、派遣契約を結ぶときの値段は高くなりますが、一方で正社員雇用された方の給与が上がるかといえばまた別の問題です。

正社員だから生活が安定しますが、一方で今回の通達によって引き上げられた給与がそのままストンと労働者に振り分けられるのかというと謎です。

この通達後は、「正社員だけど給料が安すぎる・・」と思っていて、かつ派遣契約で退社に常駐しているITエンジニアは、一度厚生労働省が出している数字と自分の給与を見比べるべきと思います。通達にある給与より明らかに安ければ、人材派遣会社経由で派遣契約した方が良い、ということになります。

また、派遣先の方も、通達に沿った以上の費用がこれからかかることを前提とした場合、派遣契約の利用そのものも考え直さなければいけないかもしれません。経験と実力が見合っていないことに対して下限の調整がしずらくなります。

全体として影響は不可避です。

今後の変化に注目していきますが、派遣社員に「交通費が出ない」「賞与が出ない」「退職金が出ない」「時給が何年働いても上がらない」は来年4月には過去の話になりますことをご留意ください。