orangeitems’s diary

40代ITエンジニアが毎日何か書くブログ

Pythonが商標登録されてしまった件のまとめ(1)

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はじめに

昨今のAIブームで脚光を浴びているプログラム言語Pythonですが、株式会社アークによって「Python」について商標登録申請が2017年5月25日に特許庁に出願され、2018年5月11日には登録されてしまっているということを聞きつけました。

本記事に情報をまとめておきます。

 

関連記事

2019/7/22

 

2019/7/23

tech.nikkeibp.co.jp

 「Python」が商標登録されていると分かった。プログラミング言語Pythonの人気が高まるなか、2019年7月23日現在、IT関係者の間で話題になりつつある。

 Ruby開発者のまつもとゆきひろ氏は7月22日午後9時過ぎにTwitterで、Pythonを商標登録した企業の研修コースを紹介するWebサイトを引用して、「登録商標取られちゃったんだ。無効申請すべき?」とツイート。7月23日午後2時30分時点で1500件を超えるリツイートがなされている。

 

tech.nikkeibp.co.jp

商標登録したアーク(東京・文京)の荒川幸式社長は2019年7月23日午後、日経 xTECHの取材に応じ、商標登録の目的を明らかにした。「Pythonのセミナー業務を開始した際、知人の弁理士に相談した」のがきっかけという。

 

developers.srad.jp

2013年、英企業がPythonの商標権を主張して騒動となったが(過去記事)、日本ではアークという企業が電子的コンテンツや教材・刊行物、コンサルティング、デザインなどの分野で「Python」の商標を2017年に出願し認められていたとのこと(Ruby開発者・まつもとゆきひろ氏のTweet、Pythonに関する執筆やコミュニティ活動などを行っている石本敦夫氏のTweet)。

 

資料

問題となっている商標登録

商標出願・登録情報 - 登録6042638

 

株式会社アーク(商標を登録した企業)

www.gigamall.ne.jp

 

西尾泰和のScrapbox(経緯)

scrapbox.io

ちょっと別件で忙しいので書きなぐりですが「けしからん」的な感情論ではなく事実を整理したい

 

特許庁(商標登録とは?)

www.jpo.go.jp

商標とは、事業者が、自己(自社)の取り扱う商品・サービスを他人(他社)のものと区別するために使用するマーク(識別標識)です。

私たちは、商品を購入したりサービスを利用したりするとき、企業のマークや商品・サービスのネーミングである「商標」を一つの目印として選んでいます。そして、事業者が営業努力によって商品やサービスに対する消費者の信用を積み重ねることにより、商標に「信頼がおける」「安心して買える」といったブランドイメージがついていきます。商標は、「もの言わぬセールスマン」と表現されることもあり、商品やサービスの顔として重要な役割を担っています。

このような、商品やサービスに付ける「マーク」や「ネーミング」を財産として守るのが「商標権」という知的財産権です。

 

商標登録NOW(商標権とは?)

www.jazy-ip.com

商標権の効力(専用権と禁止権)
商標登録が認められると、権利を取得した商品やサービスについて、その商標を独占して使用することができるようになります(商標法第25条/専用権)。

商標権者以外は、勝手に使用できなくなるわけですね。

また、他人は登録商標と同一の商標だけでなく、類似している商標も勝手に使用することができません。

これは、商標権の効力が登録商標と似ている範囲にまで及ぶからです(商標法第37条/禁止権)。

 

ライトハウス国際特許事務所(無効審判とは?)

www.lhpat-tm.com

商標登録の無効審判は、本来、商標登録されるべきでない商標が商標登録されているような場合に、特許庁へ審判を請求することにより、商標登録を無効にすることができる制度です。

 無効審判は、指定商品・指定役務ごとに行うことができます。

 ですから、複数の指定商品・指定役務について商標登録されている場合に、一部の指定商品・指定役務についての商標権のみを無効にすることもできます。

 

備考

状況的には、昨日(2019/7/23)に本件に関してIT業界がざわつきはじめたため、一旦は関連資料を集めたのみです。

西尾泰和氏の整理の通り、

 

・対象にソフトウェアは入っていない

・そのため、プログラミング言語としてのPythonをPythonと呼ぶことができなくなったりはしない

・対象の41群の「教育訓練研修」が、Pythonを教える勉強会などに影響を与えるのではないかという懸念がある

・勉強会をやろうとしている人を萎縮させるのは社会のために好ましくないのでここを整理したいのが僕のモチベーション

・他の群で定期刊行物・電子定期刊行物が含まれてるのも嫌なところ

 

今後のIT業界にとって課題となる案件となりそうですので、一旦情報の整理として本記事を作成いたしました。

状況の推移に注目していきます。

 

追記(2019/9/17)

続報です。

 

tech.nikkeibp.co.jp

 プログラミング言語Pythonの開発を支援する米Pythonソフトウエア財団(Python Software Foundation、以下PSF)は2019年9月17日、日本国内で「Python」が商標登録されている事象に対し、行動を取る予定があると明らかにした。Pythonの「本家」とも言えるPSFで商標委員会(Trademark Commitee)の議長を務めるマーク・アンドレ・レンブルグ氏が、国内最大のPythonカンファレンス「PyCon JP 2019」のクロージングセッションに登壇して表明した。