orangeitems’s diary

40代ITエンジニアが毎日何か書くブログ

原価削減中心から、高付加価値創造の経済活動へ舵を切るべきとき

f:id:orangeitems:20211212162040j:plain

 

最近は、転職・教育・待遇ネタが盛り上がっていたので少し小休止。

日曜日なので、話題の方向を変えて見たいと思います。

今回は「基礎研究」です。

株式会社の目標は、「利益の創出」と「社会への健全な貢献」です。利益の方はよく知られていると思いますが、後者の方も実は大事です。社会に貢献しないで利益を創出していると、いずれ世論から叩かれるからです。むしろ法律の方が縛ってきて、社会に大した貢献もしていないのに、利益を国民から貪っていて、脱法的な行為で富を築いている、と。ここ最近だと携帯電話キャリアの締め付けは激しかったですが、利益と社会貢献の度合いが釣り合わなければ、株式会社の成長は臨めないという仕組みです。

社会貢献に対して今一つ微妙な企業、例えば金貸し業やたばこ産業、酒造業などは、思いっきりイメージCMを流したり、スポーツなどにお金を出し社会貢献をアピールしますが、その辺のカラクリも知っておくと社会が見えやすくなってきます。

さて、話は少し戻り、「利益の創出」という面から見ていくと、日本の企業や投資家は赤字を出すことに非常に敏感で、投資のために赤字を出しても許してくれないことも多いです。利益を少しでも出すことに腐心するので、何をやるかというと、売上が上がることに一生懸命になり、そして原価や経費を抑えようとするのです。人件費はできるだけ少なく。社員数はできるだけ少なく。商品開発のための研究コストもできるだけ抑える。バブル崩壊後大量の赤字を出した日本企業は、二度と赤字を出すまいと、経費削減に集中しました。

その結果起こったのが、デフレの減少です。例えばメガネ。私がメガネを始めて作ったときは中学生のときで今からもう三十数年前でしたが、レンズ込みで35,000円くらいしてました。今は5,000円ちょっと出せば買えますよね。これは、過去、原価削減の中で製造コストを下げていった結果、価格競争力が手に入り、その結果市場自体が価格競争に巻き込まれ、結果として値段が下がっていくという現象です。

このプロセスが生み出したのは、商品そのものの価値を上げるより何しろ製造コストを下げること。日本はこの罠にずぶずぶとハマり、高付加価値的なものづくりより、デフレマインド的な、「ええ、こんなに使えるのに、こんなに安いの!?」という商品を生み出すことのみに没頭することになります。

これが、失われた・・年、みたいな表現の源流だと思います。

一方で海外はそんな日本の動きを尻目に、高付加価値であることを追い求めていましたから、日本発のプロダクトと、海外のそれとは差がついていきます。日本のものは何となく安っぽい。海外のものがいろいろと洗練されている。そんなトレンドが今や常識となりつつあります。バブル当時は「メイドインジャパン」って世界に通じるブランドだったのですから。

今後、現在の状況を脱するためには、「基礎研究」が大事になってくると思います。新しい事実を発見してもすぐに商品化するには至らないもの。これを企業内で投資し、商品につなげられる新事実を突き止めること。ですからむしろ、原価や経費はまず上がるのです。今までの数十年の常識をひっくり返さないといけないのです。

大学などでも、よりビジネスに近い研究をしないとどんどん研究費が減らされ、基礎研究がしにくい制度になっていったことを聞いています。これも全く逆で、特に大学のような場所は基礎研究にこそ時間を使うべきです。すぐに利益につながらないかもしれないようなところに、次世代の高付加価値のヒントがあるものですから。

インフレが徐々にかつ確実に進みゆく世の中で、今後は原価削減ではなく、基礎研究などの投資に貯めこんだ積極的に使い、高付加価値を競っていく戦略に、日本全体で転換しないといけません。このまま付加価値の低い製品を作り続け、一方で原価は輸入価格の上昇により利益は減少。全体としてはジリ貧まっしぐらというわけです。

もう、そろそろ原価削減のために何かやるのは、やめませんか。高付加価値を生み出すための努力を各社始めましょう。