orangeitems’s diary

40代ITエンジニアが毎日何か書くブログ

自動化すれば生産性が上がると思っている人へ

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今日はこの話です。生産性の話。

 

 

このところ、デジタル分野、特に自動化の話が盛り上がっていますよね。デジタル化したら自動化できる部分が増え、それでこれまで必要だった○○万時間が削減!、みたいな話ですね。

少し前はRPAが主役でした。雑多なデジタル人力作業がRPAの導入で消えるという話はなかなか刺激的でしたがその後、日本企業は生産性が向上して経済力は伸びましたか?。

今はロボティクスとかAIやらを使って、無人コンビニなどにチャレンジしていますね。とにかく自動化すればそのぶん人件費が要らなくなるというところがわかりやすいポイントだと思います。

でもですね。これ、間違っているかもしれません。

例えば今の日本、時代劇に出てくるような江戸時代のような状況かもしれませんよ。

地方は参勤交代制度で毎年、江戸に向かわなければいけないから、だんだん財政が厳しくなっていきましたよね。パソコンどころか計算機もなかったので全部そろばんで計算していました。電話もないので全部手紙だったし、今から考えるとどうやって暮らしていたんだろうとは思いますが、それはそれでその時の仕事場には情報があったし、メディアがあったし、統制がありました。

江戸時代の状況で、世界にモノやサービスを提供するのはとても無理ですから、何か作ってもなかなか外貨を獲得するのは厳しかったでしょうね。今はまだ日本が何らかのプロダクトを持っているから輸出でご飯を食べていくことができるのです。

で、江戸時代で「自動化」にこだわったとして、日本は発展できたでしょうか。

参勤交代を自動化するとか、紙の処理をシステム化するとか、まあいろんなことは取り組まれたでしょうが、残念ながらそれだけでは江戸時代の暮らしは何も変わらなかったでしょう。

明治のころに外国からたくさんの文化を取り入れ、いろんな古いしきたりをどんどんやめていて、日本ならではの価値を作り上げようとしていきました。

そう、やるべきは自動化より前に、無駄なことを延々とやってないか。新しいものを外国から取り入れられないか。むしろ日本発で何かできないか。この新しい価値を作っていくことについて今の日本はあまりにも無関心過ぎます。

アメリカから次々でる新サービスを日本は享受する、消費国のような態度になっているような気がしてなりません。そして、日本のあらゆる無駄な行動について、自動化することで生産性が上がる!と言う宗教にのめり込んでいるように思います。

当のアメリカは、新しい何かを作って外国に売ろう売ろうとしています。価値を自ら作り出しているので、価値にお金がついてきます。お金が倍増すればかかっていたコストが変わらないのであればそれだけで生産性が上がってしまいます。

最近、ですから私は、自動化であったり手数を減らすだけのソリューションって、全く見なくなったんですよね。だって新しい価値を生み出すことは全くしていません。しかも自動化にかかるコストを考えたら、本当に意味のある活動なのか疑問なのです。それより、社員に教育コストを投入してもっと価値を生み出すことに注力したほうが、結果として生産性が上がるのではないか。

自動化を積み重ね、人間が余ると仮定します。でもその人間ってまだ日本国内で生きていくわけで、その人たちが有意義な経済活動ができないのであれば、日本全体の生産性って結局さっぱり上がらない。当の自動化技術はアメリカから買っているからお金は出ていくばかりとなるわけです。

自動化、効率化って、もうやめませんか。もっと日本人全員が賢くなる方向に向かったほうが、意義があるし楽しいしで、いいことばかりだと思うのですが。