orangeitems’s diary

クラウドで働くインフラエンジニアの日々の感想です(ほぼ毎日更新)。


そんなにクラウドを使って大丈夫かという議論

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加速するクラウド利用

週末の日経を見てもクラウドは話題の中心になると感じます。

 

www.nikkei.com

政府は全省庁のシステムを2020年秋から順次、データを集中管理してインターネット経由で使うクラウドに切り替える。12月にもクラウド企業の採用基準を決め、海外の企業に日本国内へのデータセンター設置などを求める。安全保障に配慮し、基準を満たした企業を公開して民間にも活用を呼びかける。データ管理を国内に制限している中国企業は採用されない公算が大きい。

 

何だかんだ理由を付けて中国企業のクラウドは使わないと言うのはわかりますが、もはや日本企業のクラウドの存在感はどんどん低下し、アメリカ企業のクラウドを、クラウドと言う場合が多いです。日本国内においては、AWS、Azure、GCP、その他世界シェアから言えばIBM CloudやOracle Cloudと、どこまで掘ってもアメリカ企業です。

昨日の記事ですが、

 

tech.nikkeibp.co.jp

インターネット専業銀行が勘定系システムの新規構築や刷新に動き始めた。パブリッククラウドや最新のアーキテクチャーを採用し、軽量なシステムを志向しているのが特徴だ。各行の新システムがトラブル無く稼働し、安定運用が軌道に乗れば、地方銀行などにも同様の動きが広がる可能性がある。

 

こちらも、基盤はAWSであったりGCPです。一方で、金融機関ではAzureを使い始める企業が増えているというニュースも知っています。

 

cloud.watch.impress.co.jp

金融機関のMicrosoft Azure採用は、「ロゴ許諾企業数だけでも1ページにおさまらないくらいの数になっている。大手はなんらかの個所でMicrosoft Azureを採用しているが、最近は大手に加え地銀でもクラウド採用が活発に行われるようになってきている」(綱田氏)と、さらに増加する傾向にあると説明している。

 

重要な日本のシステムの基盤を、非日本企業に任せていいのか?。金融機関どころか政府や地方自治体まで取り込まれている。

この命題について考察します。

 

考察

まず、クラウドを使わない場合を考えます。

コンピュータの中心であるCPUはどの企業が作っているでしょうか。サーバー製品であれば間違いなくINTELが独占的なシェアを誇っています。ライバル企業のAMDですらアメリカ企業。日本企業が一部素材や精密機器を提供しているとしても、パッケージとしてはアメリカ製品です。

OSはRedHat LinuxやWindowsが中心。これももちろんアメリカ企業のもの。

ミドルウェア・・ファイアウォール・・ロードバランサー・・、ネットワークスイッチ・・・・どこまで行っても日本企業ネイティブなものは一つもありません。

インフラエンジニアを長年経験するとわかることは、日本のシステムはアメリカ企業の製品を輸入して、組み上げているという事実です。

いくら、日本人が作ったオンプレミスのシステムを眺めても、日本人の成果物だけでシステムを組み上げることは絶対に無理です。

ですから、結局はこれをクラウド化したところで、クラウドを動かすための機器はアメリカのものなので、物理的には意味合いは全く変わらないということを言っておきたいのです。アメリカが日本の首を絞めたいとき、IT関連に法外な関税をかけたら必ず経済は立ちいかなくなります。

 

一方で、では全部をパブリッククラウド化することを推奨しているかというとそれは極端すぎます。データの所在です。

いくらIT関連の部品はアメリカ勢のもので占められているとはいえ、データの置き場所をクラウドにするということは、そのデータは人質になってしまいます。日本国内のデータセンターに保管していると言いつつ、裏ではレプリケーションをされ海外に流出する可能性は否定できません。

法規上はそんなことをしないと言っても、パブリッククラウドである時点で物理的な所在から管理方法までブラックボックスですから、これは信じ込んではいけません。

ですから、本当にクリティカルなデータについては、パブリッククラウドを用いるべきではありません。日本企業のデータセンターで、日本企業が運用し、データの機密性を担保しなければいけません。

これを旧来からハイブリッドクラウドと呼んでいますが、昨今のコンテナの動きや、プライベートクラウドも取り込もうとするAWS OutpostsやAzure Stackなどの提案もとても自然なものです。すべてがパブリッククラウドには行くべきではないというのが、私の感覚です。

 

調査に現れるプライベートクラウドの伸長

下記、これからのクラウドの成長についての記載です。

 

www.m2ri.jp

 

パブリッククラウドの成長率より、プライベートクラウドの成長率の方が著しいことがわかります。このプライベートクラウドが、より今のパブリッククラウドの機能を取り込むことになると思います。

そこはコンテナやKubernetes、マイクロサービスが中心となるマルチクラウド、または場所を選ばないCI/CDがキーワードとなってきます。

このように、日経に記事が出るときはもうすでに進行中であり、一歩先はもっと違う世界が待っているということを頭に入れ、ニュース記事を読むと面白いと思います。

「そんなにクラウドを使って大丈夫か?」と問われたら、こんなふうに私は考えています。