orangeitems’s diary

クラウドで働くインフラエンジニアの日々の感想です(ほぼ毎日更新)。

コンテナを誰が動かすか 覇権争いがはじまっている

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コンテナを誰が動かすか

自分のパソコンでコンテナを動かす限りはDockerで十分ですが、チーム開発を行なったり商用利用を考えたりすると話が変わってきます。Kubernetesで動かすんでしょ!と私は思っていましたが、素のKubernetesはそもそもインフラ基盤の構築が難しいことがわかってきました。パブリッククラウドではマネージドKubernetesの実用化が始まっていますが、要件によってはプライベートクラウドやオンプレミス、またはエッジと呼ばれる事務所や工場などローカルで動かしたいケースもあるかもしれません。そうなってくると、パブリッククラウドだけでしかコンテナが動かせないのはおかしな話です。コンテナは「どこでも」動かせるべきです。

仮想マシンにおいては、ハイパーバイザーが乱立したため、例えばAWS、Azure、GCP、そしてVMwareやKVMなど、簡単に移行できない状況が作られてしまい現在に至ります。コンテナはすでにコンテナエンジンの規格が策定されていますのでその懸念が払しょくされています。いろんなベンダーがコンテナエンジン+Kubernetes+コンテナ管理ソフトウェアをリリースしてきます。競争の始まりです。

だんだんとプレーヤーが増えてきたのでまとめておきます。

 

プレーヤーまとめ

 

Red Hat OpenShift

IBMはこのためにRed Hatを買収したと言っても過言ではない、Kubernetesを内包したOpenShiftです。

 

codezine.jp

OpenShiftは、Red Hat社が提供するLinuxとKubernetes、CI/CDに必要なOSSをエンタープライズで利用するためのコンテナアプリ開発・実行プラットフォームです。
 OpenShiftを利用することで、アプリケーションのアーキテクチャに関係なく、あらゆるインフラストラクチャで、オンプレミス、仮想化、プライベートクラウド、パブリッククラウドなど任意の環境でのクラスター構築・アプリケーション開発とデプロイができます。

 

導入に難があったのですが、最新版での4.2では導入がかなり簡単になりました。ローカルへの開発環境も進化しています。

AWSやAzure、GCPなどの主要クラウドでも動かせますから、市場では現在リーダーです。

 

HPE Container Platform

昨日のニュースです。HPEが参入しました。

 

japan.zdnet.com

Hewlett Packard Enterprise(HPE)が、クラウドアプリケーションもオンプレミスアプリケーションも実行できる「Kubernetes」ベースのコンテナプラットフォーム「HPE Container Platform」を発表した。HPE Container Platformによって、顧客はどのパブリッククラウドでも、エッジでも、ベアメタルあるいは仮想化されたインフラで動く新規、既存のアプリ向けのアプリケーションの開発を加速させることができる。

 

HPEはハードウェアを持っていますから、ハイパーコンバージドインフラストラクチャ(HCI)の形でKubernetesを含めてコンテナ実行環境をパッケージングし、ビジネスにするのはかなり自然な戦略であると言えます。

企業側も仮想サーバーのときのような、VMwareを選ぶとKVMでは動かせない、のようなリスクがないので、導入しやすいと思います。懸念といえば、一度同じプラットフォームに慣れてしまうと、別のプラットフォームに移るのに手間になってくるぐらいでしょうか。

また、HPE Container Platformが、どのようにパブリッククラウド(ECSやAKS、GKEなど)と共存するかも未知数です。まさかパブリッククラウド上でHPE Container Platformを動かせるわけはないと思いませんが・・。

Openshiftは、AWS/Azure/GCPなどのパブリッククラウドでそのまま動くような仕掛けを用意しています。

記事のGUIは結構デザインがきれいですね。

 

CTC、「Volterra Edge Cloud」

エッジに特化したプラットフォーム。

 

cloud.watch.impress.co.jp

伊藤忠テクノソリューションズ株式会社(以下、CTC)は19日、端末側でデータ処理を行うエッジコンピューティングのベンチャー企業である米Volterraが提供する、エッジクラウドサービス「Volterra Edge Cloud」の取り扱いを開始した。
 Volterra Edge Cloudは、エッジコンピューティングの実現に必要な、仮想環境(コンテナ)の配備や機器間の通信セキュリティなどのトータルな機能を備えたクラウドプラットフォーム。

 

まだベンチャーが入れるぐらい、市場が固まっていない状況と言えます。

VMwareだって昔はベンチャーだったので、競争ははじまったばかりです。

 

VMware Tanzu

おそらくRed Hatの一番のライバルと思われるVMware社。

 

cloud.watch.impress.co.jp

VMware TanzuはVMworld 2019でテクノロジープレビューとして発表されたネイティブKubernetes環境をエンタープライズに提供するポートフォリオで、以下の3つのコンポーネントによって構成されている。

 

開発環境(Build)
Bitnami、Pivotal、SpringなどVMwareが買収した企業のオープンソース技術を中心に構成されたモダンアプリケーションのサプライチェーン

 

実行環境(Run)
vSphere上にネイティブKubernetesを統合し、ストレージやネットワークの連携も含む「Project Pacific」

 

管理環境(Manage)
あらゆる場所にあるKubernetes実行環境を単一のコントロールポイントから一元管理できる「VMware Tanzu Mission Control」

 

オンプレミスの仮想環境におけるシェアは断トツのトップですから、コンテナも取るぞ、と言ったところだと思います。

 

ネットワールド、業界初のKubernetes HCI

オンプレでは、こういう買ってすぐ使える系のプラットフォームが増えていきそうな気はしています。

 

www.weeklybcn.com

 ネットワールド(森田晶一社長)は11月15日、Kubernetes HCIを開発する米Diamantiと国内初のディストリビューター契約を結び、企業やデータセンターでのDockerコンテナ環境の導入を根本的に簡素化することを目的として開発された業界初のKubernetes HCIである「D20アプライアンス」の販売を2020年1月上旬に開始すると発表した D20アプライアンスは、

Dockerコンテナを利用したアプリケーションの本番運用で必要とされる高いパフォーマンスや信頼性、シンプルさをソフトウェア開発者やIT運用者に提供するだけでなく、15分でKubernetesのインフラ環境を展開でき、すぐにDockerコンテナのアプリケーションを実行できるターンキーソリューション。

 

セットアップが簡単なのが魅力。VMwareのHCIは人気ですが、こちらはKubernetesベースでのHCIです。

 

ネットアップ「NKS with HCI」

 管理ソフトウェアが必要だとしても、HCIとは確かに相性は良さそうだな、ほかにあるかなと探してみたらやはりザクザク出てきます。

 

japan.techrepublic.com

ネットアップは、コンテナの制御管理ツール「Kubernetes」を自社製ハイパーコンバージドインフラに対応させた「NKS with HCI」のプレビュー版の提供を開始。クラウドとオンプレのデータを自由に制御できるようにすることを目的にしている。

 

ネットアップはストレージ主体の会社なので、データ主体でコンテナを動かしたいときは選択肢の一つになりそうですね。

 

DELL、「Dell Technologies Cloudプラットフォーム」でKubernetesのサポート

japan.zdnet.com

デル テクノロジーズは、「Dell Technologies Cloud」に対する機能強化と新しいオプションを発表した。「Dell Technologies Cloudプラットフォーム」でKubernetesのサポートを開始し、新しい「Dell Techologies Cloud Validated Designs」において、ハイブリッドクラウド環境を構築している企業向けにさらなるインフラストラクチャー オプションを提供する。
 Kubernetesのサポートでは、既存の仮想化アプリケーションを実行しながらクラウドネイティブアプリケーションの開発を加速させている企業に対し、「Dell Technologies Cloud」上で、「VMware PKS on Dell EMC VxRail」の自動デプロイを実現するとともに、Kubernetesとコンテナの統合サポートを提供する。

 

DELLはVMwareの親会社なだけに、VMwareでのHCIを押し出していますが、VMware PKSにてKubernetesをサポートしたばかりでした。ただその後Tanzuが出てしまったので、おそらくTanzuサポートを行ってくると思います。

 

Nutanix 「Karbon」

www.weeklybcn.com

プライベートクラウド領域では、DB管理をシンプル化する「Era」、非構造化データ対応で、ファイルサービスをワンクリックでスケールアウトできる「Files」、S3互換のオブジェクトストレージ「Objects」、Kubernetesの展開と運用・管理をシンプル化する「Karbon」、ワンクリック操作対応のセカンダリストレージ「Mine」を紹介。Filesに搭載された分析ツール「File Analytics」と「Mine」のデモも行った。

 

ニュータニックスの戦略はほかのHCIとは一線を画していて、コンテナだけ使えても困るよね、と。ストレージもネットワークも運用管理もすべてまとめて提供している中にKubernetesのサポートを入れ込んでいます。

使い込むのであれば、完全にロックインしてしまうのもアリなのかなと思います。

 

誰が勝つか、ではなく、どこでも動くへ

このように、コンテナ基盤をめぐる覇権争いはすでに本格化していますが、企業のほうはまだまだまだまだ、コンテナ?という状況だと思います。

でもコンテナを使うことそのものはもう、既定路線です。

じゃあ、どう使うか。ここがまだあやふやです。

各社競争をしながら、よりよいソリューションが出てきますし、また、仮想マシンのときとは違うのが、コンテナはどんなコンテナランタイムでも動くという点です。

 

qiita.com

 

昔のベータ/VHS論争のように、競争に負けたらハードウェア・ソフトウェアごと使えなくなる・・ということは無さそうです。

ですから、基盤が変わってもコンテナは動くね、となります。インフラ観点から言えば、基盤の何種類かは押さえておく必要が出てくるでしょう。

あとは、どれだけ使いやすいか、どれだけ開発や運用の生産性を上げられるか。そしてクラウドやオンプレを必要に応じて使い分けられ、スマートにリソースを使えるか。

コンテナは軽量ですが、データはTB、PBレベルでは動かせません。またネットワークも既存の基盤上で動かします。インフラエンジニアの職域は今後、確実に存在しますから、まずはDockerの初級者レベルから始めて、コンテナのことを理解していくのが良いと思います。