orangeitems’s diary

クラウドで働くインフラエンジニアの日々の感想です(ほぼ毎日更新)。

SIerが手配師を脱却できない理由

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SIerが変われない理由がある

日経xTECHで木村氏がいくら「SIerは人月ビジネスを脱却しないといけない」と言っても状況は変わらないと思う理由があるので残しておきます。

 

tech.nikkeibp.co.jp

さて、いかがだろうか。人月商売のITベンダーの経営者はIT産業への復帰、あるいはIT産業へのレベルアップに少しは取り組む気になっただろうか。おそらく特にSIerにはSI、従来の人月商売に固執する経営幹部もまだ多数いると思う。だが、考え直したほうがよいぞ。顧客企業がIT産業化して新たなITベンダーとなれば、SIerは下請けにすぎなくなる。つまり、人売り業や手配師業に転落する未来が待っている。

 

考察

アメリカにおいては、業務パッケージの標準仕様をそのまま企業のビジネスルールに適用し、極力カスタマイズしないと聞いています。企業トップが変わると業務パッケージ自体も変わるので仕事の仕方もガラッと変わる。同じ業界内でトップが入れ替わることは日常茶飯事で、例えば最近日本マイクロソフトの社長に就任された方は、ちょっと前まで日本HPの社長でした。

 

www.itmedia.co.jp

 日本マイクロソフトの新社長に、日本ヒューレット・パッカードの吉田仁志社長が就任する方向で最終調整が進んでいる──と、日経 xTECHが9月27日付で報じた。

 

同じ業界から横滑りで経営者を変えることによって、競合のより良い点を取り込み企業が変化していくというアメリカの考え方は、日本の内資企業ではありえないことだと思います。むしろ競合他社への転職は機密情報を渡してしまうのではないか。これは日本企業自体のワークスタイルであったり文化がより属人的であり秘密主義であり、かつカスタマイズ主義であることに由来すると思います。その会社にはその会社のやり方があって、それ自体が会社自身の強さの秘密となっている、と言うことです。

アメリカ企業の強さは、あまり方法にはこだわらず、マーケティングを重要視することにあると思います。良い商材があれば今までのビジネスを180度変えることを恐れませんし、それを行うために競合他社から経営者を招き入れます。そして基幹システムもそっくり入れ替えてしまいます。

 

では、なぜこんな差が生まれるのか。これは個人的な意見ですが、国土の在り方が強く影響しているのではないかと思います。日本の国土は狭い。そして大都市圏に人口を集中させています。つまり人が同じ場所に寄せ集まっています。そうすると、企業がITを欲しいときに人を呼び寄せます。そしてその人に、ああしたい、こうしたいと相談します。いわゆる御用聞きです。そして願いをかなえるためにその人は常駐し、仕事をします。これが日本の企業とSIの在り方です。人と企業が狭い場所に寄せ集まっているので、人の関係が重要視されがちです。

一方で、アメリカの場合は国土が広い。そして都市が分散しています。こんなに広いと、人が企業にお邪魔して御用聞きをすることが難しくなってきます。移動すると生産性が著しく低いのです。結果的にSIのようなカスタマイズをするよりも、もうお仕着せのソフトウェアをそのまま導入して、働き方そのものを変えてしまった方が都合がいいという文化が生まれたのではないでしょうか。また、内製するにしても人の流動が激しいので、あまりカスタマイズしたくない。属人化したくない。であれば、パッケージそのものに従えば、よそからそのパッケージに詳しい人をリクルーティングすればいいだけです。

日本のビジネスルールもかなり独特で、商談を決定する要素も「担当者が良くしてくれるから」「古くからのつきあいだから」というような、ムラ的要素が多いような気がします。ビジネスが変化したときに取引先を変えるのではなく、同じ取引先に変化を求めようとします。また、取引先を変えるときも「担当者が良くしてくれなくなった」的な話も多いです。これは、人の付き合いが前提である日本の文化が底辺にあるのではないかと思っています。

 

SIer=手配師の構造は変わるとき

経産省然り、「2025年の壁」が主張されていて、これは人口減時代に「人のつながり」が限界をむかえることと同義だと思います。

古い担当者が、ゴリゴリにカスタマイズされた古いシステムのお守りをやってくれていた。でも、人口構成的にそれを支える人がいなくなっていき、そのシステムに依存していた会社たちが存続の危機となってしまう。

では、アメリカ型に日本企業が移行できるかというと、きっとならないのではないかと思っています。結局は地方から人口を吸い取り、大都市集中型の、人依存型ビジネススタイルを日本は辞める気はないのではないかと。

辞める気があるのであれば、もっと地方は経済的に独立しなければいけません。そして各会社は自立し、仕事の在り方そのものも変えなくてはいけませんが、結局目の前に見えている東京なりの大都市圏は人で溢れかえっていて、昨日の即位パレードの映像を見ていただければわかるのですがこの図が日本そのものだと感じています。

もし地方から人が吸収できないなら、外国から移民を連れてきてでも継続させる。そして地方には交付税を配って維持してもらう。こんな大きなイメージをすると、まぁ、SIerも手配師を脱却できるはずはないよな、と思います。