orangeitems’s diary

40代ITエンジニアが毎日何か書くブログ

いくら技術があっても待遇が上がらない人のロジック

 

冷淡というか、会社の同僚にも上司にも親身な対応をしてこなかったある社員がいた。特定の技術についてかなり詳しい人で、スペシャリストと呼んでも差し支えなかったが、とにかく冷淡で、顧客に対してもそうなので、上司はとても社外に出せなかった。お客様対応って、心の中でどんなに「理不尽!」と思っても出してはいけない暗黙のルールみたいなものがあると思うが、彼は全然暗黙じゃなかった。とにかく揉めるので、社内の仕事だけやらせておこうということになり、かつあんまり他人とコラボレーションしなくても済む一人担当みたいな配置をされた。技術はもったいないが、仕事は他人とやって価値を出すものなので、他人と揉める性質のある人は、どうにか仕組みで対応するしかない。なお、本人は、技術があるのに会社によって不遇なポジションに置かれていると思っていると思う。一方、不遇なのに転職しない。きっと、自己肯定感の低さがあり、他社に移るエネルギーもなく、仕事は義務で、生活するために不快な気分はやり過ごそうと思っているのだろうか。

さて、これは、架空の話であるが、どこの会社でもこういうことは起こり得るんじゃないだろうか。

どんなに資格を取ろうが、技術に詳しかろうが、ビジネスに関わる以上はお金を頂く人のためへのホスピタリティーが必要となる。この部分の素養は案外数値化されておらず、かつ就職面接のときは、演技をする。ああ、この人なら大丈夫か、と思う。面接で攻撃的な人はいないでしょう?。いるとしたらお互い時間の無駄だ。でも数十分で人の本性が見抜けることは絶対にない。失敗した、と思うのは採用し、数ヶ月から1年経った頃である。

本人の攻撃性を、SPIなどのテストであぶりだす試みはあるし、そこで異常な数値がでたらもちろんお断りはするけれど、どうやっても、すり抜けると思う。SPI対策みたいな本もあるぐらいだから。何しろ、どんな人間かということはお付き合いしないとなかなかわからないものである。

私には理解ができない。目の前の人々、具体的には、同僚・部下・上司・そして顧客。プライベートも含めれば、家族も入る。自分の視界に入る人々には誠意を尽くさなければいけない。自分は周りが評価する。評価によって自分の立ち位置が決まる。評価が低ければ内的に技術を積み上げても全く持って信頼されない。評価が上がれば、責任ある仕事を任せてくれる。シンプルなルールだ。

それなのに、勉強してます。技術あります。仕事させてください。と言うロジックで会社で活躍しようとしたって、信頼されていなければ誰も仕事を与えてくれない。その結果、「あなたにできるのはここまで」と勝手に限界を示され、その見えない箱の中であがき、いつも不機嫌でいるしかなくなるということである。

もし、いくら勉強を重ねても社内で待遇が改善しない。転職しようとしても、何故か技術相当の待遇で採用されない。そうだとしたら、まずは低い待遇、低い要求水準でいいから転職し環境を変えて、そこで信頼を積み重ねたらどうか。一度失った信頼を取り戻すのは、1から作るより難しいから。

ともかく、信頼と技術はマッチしてこそ、待遇につながるのである。