orangeitems’s diary

40代ITエンジニアが毎日何か書くブログ

メンバーはどうして自分の問題をシェアしてくれないのか

 

私は四十代後半のマネージャー、というプロパティーだが、二十代の若手のメンバーから見たら「随分上の人」という扱いになる。

こうなると、若手はなかなか、自分の不安を吐露しにくい。あまりにも経験豊かな人から見ると自分の悩みなんてちっぽけに見えるだろう、と思ってしまうからだ。

むしろ、弱みを見せると、弱い奴だと思われるんじゃないか。だから、むしろいつもいつでも「大丈夫です」と言い切ってしまった方が得に働くだろう。

ごもっともである。

若手が、気軽に問題をシェアできる上司をつけてやらないと、潜在的な問題が表面化しない。未来において、その問題に手を付けなかったことで、組織は痛い目に遭うかもしれない。組織が痛いとマネージャーは痛い。

私は最近、そう言う見方をする、私とは別のマネージャーの意見を興味深く聴いている。確かにそうかもしれない。

誰も問題を言わない。シェアしない。そういう状態の組織はあたかも、全く問題が無いように見える。

視界には問題一つない。だから未来も安泰だ。そうなのか。

ところがこれは、問題が無いのではなく、問題が見えないだけだ。

ある日問題が水面から顔を出し、水面下には巨大な問題があった、みたいなことを、たくさんの人が経験しているんだろう。そろそろ私も、そのロジックには気が付いている。ただ「言わない奴が悪いよ」と冷ややかに思っていたのだけど、それはそれとして問題の被害はある日表面化する。そしてその責任はマネージャーが取らされるという理不尽も事実だ。

・若手が、問題を口にしても、若手に害がないような組織風土を作る。
・問題を口にしやすい上司を置く。

大企業の不祥事報告書でも、対策としてよく出てくるフレーズ。

そもそもの私は、問題が表面に出るとすぐに頭を回転させて、解決に向けようとするので、きっと周りの人は問題を口にしにくいだろうな。ただただ愚痴を吐き出したいだけなのに、「その問題の原因はこれ。考察するとすぐできる対策はこうで、長期的にはこうしていけばいいよ」みたいな話をされると、きっと辟易してしまうんだろう。いやいや解決してほしいんじゃなくて、問題をシェアしたいだけだったのに。

1on1ミーティングって、この辺りの問題に切り込んだ手法なんだと思う。個々人が抱える問題を組織にシェアしやすくして、マネージャーが水面下に潜むいくつもの問題を把握し、将来の困難を防止する。クローズドな空間で、マネージャーが信頼に足る人物なら、メンバーも問題を開示しやすいだろうという試み。

だいたい1on1がうまく行かないのは、マネージャーが独演会を始めちゃうからだ。ちょっとメンバーが問題を言ったら、説教しちゃう人もいて。説教ってぶっちゃげ快楽、なんだっけ。これでメンバーの問題をひとつ解決した!みたいな、いい気持ちになっちゃって、そしてメンバーは閉口する。閉口っていい言葉だね。言わなくなるんだよ。で、次の1on1、話すことも無くなって5分で終わっちゃうようになるというね。

だから大事なのは1on1するかどうかじゃなく、問題を口にしやすくする風土づくり。そのためには、どうしてもメンバーがシェアしやすい、身近な上司的ポジションがどうしても必要になるんだな、と思っている。

フラットな組織体系にして、課長や係長みたいなポジションを無くした会社は、きっとこの点ですごく悩むと思うよ。いきなり上が部長レベルだから、シェアしにくくなるんだ。恐れ多い、ってね。ある程度、階層的な組織って機能するんだと思う。言いやすい上司って重要だね。