orangeitems’s diary

40代ITエンジニアが毎日何か書くブログ

日本のIT人材が足りないと言われてしまうワケ

 

日本はIT人材が足りない、という記事が出ていた。

ITの会社で働いていても、できる人の数は足りないと感じるが・・。

 

toyokeizai.net

日本はデジタル分野の専門人材不足が深刻化する「2025年デジタルの崖」に直面する。経済産業省によると、2020年には30万人、2030年にはデジタルサービスの需要次第で45万人から80万人にまで不足が拡大するとされている。後者の場合、日本が必要とする190万人の専門人材を4割も下回ることになる。

 

原因分析をいろいろ見ているんだけど、長らくITを見てきた立場から考えると、焦点がぼやけてると思うことが多い。

日本は他国に比べIT人材への給料が安い。それが事実として、1つかみしめなければいけない事実は、日本人が、ITのお仕事に対して生産性が他国より低い、という帰結である。

平たく言えば、IT分野に対して、他国人より日本人のほうが仕事ができない。だから給料が低い。とてもわかりやすいのではないか。

他国のIT人材は生産性が高いので、経営者も高い給料を払うのだと。

だから、「日本はもっとIT人材に給与を支払い優秀な人材を獲得しなさい」というけれど、それに見合う能力の人がいないわけである。

無理に給料を引き上げたとしても、その人がその給料分働いてくれるわけではないのだ。結局は働き分の給料ということで、ある程度の水準に落ち着いてしまうということになる。

では、日本人は他国に比べてITの才能が低いのか。

そうじゃない。

デジタルのことは、全てアメリカで物事が決まるのである。つまり英語圏で、アメリカ時間に事が全て決まる。全て決まった後に、リリースされて情報が降ろされるのが日本だ。

昨今のデータに対するセキュリティー意識向上で、どんどん日本に情報が来るのは遅れている。英語の情報は自動翻訳で日本語化されるのも早くなった。英語しかなくても翻訳ツールがあれば困りはしない。けれど、日本人は基本、英語をネイティブのように自由に使えない。一度日本語に置き換えないといけない思考なので、そもそも生産性が低いのだ。

しかも、決定する前の議論段階、英語圏でのディスカッションに加われないので、デジタルのソフトウェアの実装対象は基本、英語圏を中心にイメージされる。仕様が日本ローカルになじまない。おかげで、グローバルなデジタルソフトウェアを日本にローカライズする、コンサルやSIerが闊歩する日本なのであるが、英語ネイティブな国に比べて、無駄に手を動かす部分がやたら多いのである。できあがったものも、ソフトウェア本体が想定していなかったことを、カスタマイズしだすのが日本だ。

ここで、外国人は言うのだ。「ソフトウェアはグローバル標準なのだから、日本の業務時代をソフトウェアに合わせよ。カスタマイズするのが悪い。」と。しかし、私はこの指摘もおかしいと思う。アメリカで作ったんだからアメリカの業務にフィットしやすいのは当たり前だよね、と。日本はギャップが多すぎるのに、日本の業務をアメリカに合わせたらそりゃ、もっと生産性はもっと下がるでしょと。

つまり、日本は、ITに、デジタルに向いていない国で、生産性が下がって当たり前の地域性があるということを知っておかなければいけない。それを、IT人材の給料が安いから、みたいな雑な結論にするしかできないから、給料が上がらないのである。

日本のIT企業の中にも、日本企業に完全にフィットさせたソフトウェアを出して、高収益を稼いでいるケースもある。生産性が高ければ給料は上がる。それだけだ。ガラパゴス恐怖症から早く抜け出し、ローカルの独自性を重視した生産性の高いデジタルのあり方を、日本でも導入することこそが重要なのである。

ガラパゴスを恐れるな。日本。