orangeitems’s diary

40代ITエンジニアが毎日何か書くブログ

オフィスに集うことにはどんなデジタルツールも勝てない

 

リモートワークでの働き方は本当に定着したなと思います。この前、フルリモートで働いていた方が転職して、次もフルリモートの会社だとおっしゃってました。所属会社が変わるのに働く場所《自宅》は同じで、ディスプレイに登場する人が変わるというのは面白いです。

一方、リモートワークを長いこと続けたときの弊害の言語化が進んできたと思います。私も2年ほどフルリモートに近かったので体験してます。そしてオフィスに戻って半年経ちました。この、オフィスに集うということも、リモートワークと同じくらい意味を再定義するべきだと思っています。オフィスに集うことのメリットとは何でしょうか。

 

今日、こんな記事が話題になっていました。

 

research.sakura.ad.jp

さくらインターネット研究所では、研究所メンバーが地理的に分散して仕事していることと、研究所メンバーの専門性と参画プロジェクトが多様であることの2点を理由に、メンバー同士が物理的にも情報的にも孤立しやすい傾向にあります。孤立を避けるためには、特別な工夫が必要であると考え、メンバー間の結束を高め、よりよいコラボレーションを生むための施策をこの半年ほど取り組んできました。そこで、この記事では、コラボレーションを促進するための会をつくり、その会で独自に定義したコラボレーションの構造を表現する階層を提示し、その階層の基底部分の「同じ場にいる」と「互いを知る」ことに着目した施策を紹介します。これらの取り組みが、リモートワーク時代のチームビルディングの参考になれば幸いです。

 

そう、この「孤立」こそがポイントです。どうやって「同じ場所にいる」「互いを知る」を補完するかがリモートワークの課題です。

じゃあ、オフィスにいるとどうでしょう。同じ場所にいるは、本当に同じ場所にいるので解決します。さて、「互いを知る」はどうでしょう。

オフィスにいたって、互いを知ることはできません。いつも飲みに行くような時代でもないですし、もともと私は飲みに行かない人です。

でも、オフィスに戻ってわかったことがあるんです。フルリモートを年単位でやったから気づけました。

 

・会社の自分の部署以外の誰かが一生懸命仕事をしていて、そしてその声が聞こうとしなくても耳に入ってくる

・自分の部署以外の人が、みんなまとまって仕事をしているわけじゃない。個々の人は、限られた人としか話していない

・異なる部署間のコラボレーションはあるが、いたって事務的であり、仲がいいわけじゃない

 

これが何を示すかというと、会社の中で、個人は限られたコミュニティーにしか属していないという事実です。その寄せ集まりが会社です。そして半年も会社にいると、他の社員の大まかな人間関係や仕事のスタイルがわかってきます。

そして、そうやって、私自身も見られたり聞かれているんだと思います。私という人間が(仕事の内容はよくわからないけれど)一生懸命仕事をしていて、結果を出すために真摯にメンバーと助け合って仕事をしている、という風に見られていると思います。

こうやって、オフィスにいると、小さいユニットがたくさん会社にあって、それぞれがほぼ独立しながらも会社という大きい組織が運用されていることが理解できます。そして、きっと部署異動や新しい仕事などで遠くの人と仕事をすることになっても、きっと一緒になって仕事ができそうだな、という感覚が沸いてきます。というか、沸いています。みんな全員が仲がいいわけじゃない、しかし、ゆるやかにつながっている、と言う事実がわかりました。だから、私が孤立しているわけではありません。その一部なだけです。

 

一方のリモートワーク。自分のコミュニティーとしかWeb会議上で会えません。上に書いたような風景や音声、その他動作の情報が全く入って来ません。したがって、自分以外の知らない社員がどこで何をしているかもわからず、自分が実は大部分の社員に対して孤立しているんじゃないかという感覚になってきます。

そして、自分が仕事をしている姿も他の社員には見せられませんから、自分がどれだけ真摯に取り組んでいるかという情報がなかなか会社組織へ伝わりません。

 

ここまで認識できるようになってくると、フルリモートのデメリットがどうこうより、オフィスワークのメリットの大きさを感じます。そもそもフルオフィスワークの必要はないわけで、仕事内容や予定により柔軟に使い分ければいいものと思います。ただ、デジタルツールがオフィスに集うことをどう代替しようとしても、これは無理なんじゃないかと今の時点では私はそう判断します。

 

ただ一方で、スポットの仕事というか、どんどん現場が変わるようなタイプの場合はリモートワークは機能すると思います。なぜなら、人間関係の構築はゆるやかで一時的なもので、仕事自体が中心になりやすく、あまり孤立感を生まないからです。

問題は、さくらインターネットの事例もそうですが、自社でビジネスをしていて、いつも同じメンバーと仕事をするような環境だと、会わないデメリットがどんどん気持ちを侵食していくんじゃないかな、と思います。久しぶりに会って見ると、知らない人同士で仲がいい様子を見ると、さらに孤立感を深めるような。

そういう場合は、やっぱり直接会う回数を増やすしか方法はないんだと思いますね。

人の心の領域、デジタルではかなえられないことはあるのでしょう。