orangeitems’s diary

40代ITエンジニアが毎日何か書くブログ

会社の成長が止まるとき

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会社も創業当初は、いろんな事業に手を出すと思うんですよね。

それはもう創業者のエネルギーに依るところがあって、普通の会社員には考えられないぐらいの活力がある。だって自分の会社ですから。自分の人生と同一です。だから創業者って、起きている間はずっと会社のことを考えてる。あれをやってみたらどうか、これはどうだろう。だから、創業当初の会社ってほんと忙しい。人を集めてからも、創業者の思いつきでどんどん仕事は増え成長していく。むしろそういったパワーがないと会社なんてうまく立ち上がりません。

そこから成長する会社はどれか一つが大当たりします。ほかのいろんな事業が霞むほど一本大当たりする。その一本を育ててると、また何本かが当たりだす。

そうやって会社が100人ぐらいになると、事業が十本ぐらいあるものの、ヒットしているのは数本になります。それ以外は鳴かず飛ばずで、むしろ赤字決算を続けるものも出てきます。

そして選択と集中を始めるのが常です。儲かっている事業に人材を集中し、儲からない事業は途中で辞めてしまう。その結果、儲かっている事業はそこから少しまた伸び始めます。

さて、問題はこの地点です。選択した事業はいつしかピークを迎えます。いやピークなんてないんだと言い張っても、どこかで飽和点が来ます。選択して集中したそれがピークを迎えると途端に会社は活気がなくなります。だって拠り所が無くなったら他に逃げ場がないのですから。

しかも成功体験がやっかいです。選択して集中して成功すると、また選択と集中を行うとしますが、もう選択してしまったのですから選択肢がないのです。成功しかしたくない、失敗したくない、と思った結果、失敗もできないですが成功もできなくなります。また、中心事業だけに集中してしまったために、それ以外の事業を立ち上げようとする人材もいなくなります。ずっとこれをやっていればいいんだ、そこから外れてはいけないと言う社内のムードも問題になります。

こうやって会社の誕生からピークアウトまでを考えると、一番の問題は何でしょうか。それは会社スタート時に、たくさんの事業をやろうと息巻いていた創業者のエネルギーが無くなっていることです。会社の構成員が、役人化してしまい、自分が長らくやってきた仕事以外の発想をしなくなります。創業者が人生をかけてやっていた会社が、いつのまにか役人に支配され、ある決まった分野の仕事しかやれなくなっているのです。

だから、実は会社組織が未来に向けて継続するために一番必要なのは、新規事業を常に立ち上げようとすること。そして失敗しても罰せず、また何度もやり直せる土壌です。それをやるために一方で、基盤として一本の軸となる事業を持つことが必要です。失敗に耐えられる体力を持つことが重要です。

会社設立当初は創業者のエネルギーに依存しますが、成長するにしたがって社長の影響力は限られますから、会社の仕組みとして新規事業が生み出されることが必要です。

成功しなければいけない、選択と集中、こんなことを社長が言い始めたら実は会社の終わりの始まりだと思っています。「うちの会社は・・するのが仕事」という固定観念こそが成長をストップさせ、そのうち衰退へと向かわせるのです。

コロナ禍然り、社会の変化・変動は大きく、軸だと思っていた事業がたちまちうまく行かなくなることなんて普通です。一方で、変動に合わせた事業というものも存在し、それをいつでも狙っていくことを、会社の仕組みとして持っていないと、昔当たった事業にいつまでもしがみつくだけの衰退企業になってしまいます。

長く続いた企業には必ずこんなカラクリがやってきます。選択と集中、ってやった企業は一瞬業績は良くなるんですよ。だって不採算事業を止めるのですから利益がかさ上げされます。しかし集中することで特定事業への依存度が高まり、そしてその事業が何らかの原因でうまく行かなくなった時に変化の伸びしろを失っています。社内には、リストラの際に社員に心の傷が残り、失敗が許されない文化が醸成されてしまっている。だから新規事業立ち上げのようなリスクのある仕事に誰も積極的に参加せず、変化に乏しく、衰退していくだけの会社ができあがってしまうのですね。