orangeitems’s diary

40代ITエンジニアが毎日何か書くブログ

生っぽさがウケるからくり

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これは賛成、と思う文をご紹介。

 

note.com

最近よく思うことなんですが、「それっぽいもの」がウケなくなってきたなーという話です。

 

私は音楽番組を良く観るのですが、特に最近思うのは「口パク」のパフォーマンスがとても減っているということです。下手でもいいから、ちゃんと歌おうというアーティストが増えています。

これはなぜか。無観客や観客が声を出せないステージが増えて、パフォーマンス自体の情報量がテレビを通じてであっても増加したからじゃないかと思っています。過去は、観客をたくさん入れて大騒ぎしている様子をライブで映すことが多くて、その場合は歌は二の次でダンスだけトチらないようにという姿勢が多かったように思います。

去年末の紅白歌合戦も無観客で、パフォーマンス自体を撮りきるNHKの姿勢も明確で、これだと下手に口パクすると観ている方にバレてしまうという側面もあります。また、演者の方も、無観客なのに口パクだと、何のために演じているかわからなくなる面もあることでしょう。物理的には誰も見ていないところで、フェイクの歌入れだけしたら本物の部分がごっそりないことになります。

コロナ禍前は、パフォーマンスそのものより熱烈なファンの反応まで映像に取り込むことで、こんなに人気がある人達だということを強調する雰囲気がありました。コロナ禍後は素材自体の生っぽさをできるだけ切り取り、お茶の間に届けるということへのモチベーションが増加したのではないか、と考えます。

上記の流れは、観客も入れられなくてしようがないから、という受動的な理由だったのが始まりでしたが、結果として副次的に、「上手じゃなくても生っぽいコンテンツの方がウケる」ということを発見することになりました。昔は、少しでもテレビで間違えると炎上のもとのようになっていましたが、むしろ人間だから間違えるよね、また本人たちの持ち味もそのまま出るということから、良い影響もあったのではと思っています。

昨今は「まとめサイト」のようなものも下火になり、自分でコンテンツを作り出せないと排除される流れが加速しているように思います。魅力あるマスター情報に対して、劣化コピーのようなものを量産して目を惹かせるような手法は、全く通用しなくなってきました。コロナ禍で外出やリアルコミュニケーションがままならない状況で、コンテンツのデジタル化が進みましたが、「まがい物」の検出や排除が自動で進むようになってきたように思います。デジタルは作成の生産性も非常に高いので、「デジタルごみ」のような無用なものもたくさん生み出してしまう傾向にあります。過去は、コンテンツ提供基盤が無尽蔵に並べていたので悪貨が良貨を駆逐するような場面はあったのですが、今やオリジナル情報が自動でリストアップされるようなロジックは確立されています。

そうなると、ここはやはり、完成度よりもオリジナル情報を生み出すことに集中したことがいいということになり、冒頭の「生っぽさ」がウケるということにつながるのではないか、と思います。

そういえばこの話、去年の夏ごろに気が付いていたかもしれないな。

 

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