orangeitems’s diary

クラウドで働くインフラエンジニアの日々の感想です(ほぼ毎日更新)。

グレーゾーンが拡大し倫理が失われていく仕組み

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拡大するグレーゾーン

ここ数十年で、何とかハラスメントという言葉を多く耳にするようになっていませんか。こういうことをやるとダメ、禁止、という制度設計がかなり進んだようになりました。さて、そのような状況で我々は生きやすくなったと感じますか。いや、あれもダメこれもダメでかえって窮屈になった。何もしないほうがマシじゃないか。そんな声もあります。しかし世の中を見ますと、ビジネスでも政治でも全てを細かく規定してしまったばっかりに、むしろグレーゾーンが拡大しあえてそのエリアを狙ってしたたかに利益を得ることが半ば常識化してしまったように見えます。

 

具体例

この説明では抽象的なので具体例を挙げましょう。最近のニュースを見てください。政治の世界でいろいろな不祥事が発生しています。それぞれ首相は「責任を痛感しています」とは言いますが結局国会が始まってしまえば触れずじまい。法的には問題がないで突き通し倫理的には謝っておしまい。グレーゾーンにおいてはまずは何をしてもよく、その上でもし周辺から有害である旨を追及されると、そこで手を止めて一度謝罪したうえでそれまでやってきたことについては既成事実化してしまう。

この前イランとアメリカが戦争寸前まで行きましたが、これも、戦争が黒、平和が白だとするとグレーゾーンの戦いです。双方で戦争はしたくないと言っています。グレーゾーンの中でできるだけ自由に振る舞い、倫理的にギリギリまで止めない。グレーゾーンにおいては倫理的に外部から咎められるぎりぎりまで勝負を続ける。これは最近のアメリカにおける手法のようにも見えます。中国との貿易戦争でも然り。いろんな手法はグレーゾーンのギリギリを狙ってきています。しかし終末的な結果とならないように高度に硬軟の政策を繰り返し、結果として一次合意まで取り付けているのですから見事と言えば見事です。

ビジネスの世界にしても、仮想通貨を巡る状況がまさにグレーゾーンでした。現在では法規制が進みがんじがらめになっていますけれども、規制が始まるまでにシェアを取ったところが最終的に市場の勝ち馬になっています。グレーゾーンはいつまでもグレーゾーンではなく実害が出始めたところで白黒が付けられます。白黒付いてからシェアをひっくり返すのは至難の業です。グレーゾーンの風紀は、参加者の倫理観で決まります。本当に実害が出るまでが勝負と言った具合で、仁義なき戦いが熾烈に繰り広げられています。

最近話題になった循環取引だって、明るみに出たころにはどこかで破綻が起こっているのですが、それまではグレーゾーンの世界です。一旦売上目標や利益目標を当年でクリアできれば来年つじつまを合わせよう。明るみになっているのは破綻した例ですが、実は氷山の一角何だと思います。循環取引とはいかないものの、検収時期を調整して恣意的に売上や利益を調整するなんてことは日常茶飯事の世界ではないかな、と想像します。

もっと身近な例で考えると何とかハラスメント。あれはダメこれはダメの一方で、ギリギリOKがどこか考え、いろんな人がそこを突こうとしています。具体例は挙げませんが、できるだけ証拠を残さずにやり遂げる。最近揉めている例はだいたいがこの手の手法のように思います。もし問題となっても、「法的に問題はない」「責任を痛感している」「今後は誤解が無いように気を付ける」で逃げられます。そう、マクロでもミクロでもグレーゾーンでの戦い方と撤退方法はよく似ているのです。

 

一番損する人は誰か

一番損をする人、それは「まじめな人」です。グレーゾーンには決して踏み込まず、決まりを守って生きる。グレーゾーンの達人のような人が近づいてきて、倫理的に許されないような仕打ちを受けたり利用されたりする。まじめな人が仮に被害を訴えても、逃げられるだけ。結局はグレーゾーンで被害を受けたからと言っても、まともに相手は取り合いません。

世の中は、会社は公明正大で清く正しい。こんな認知をしている人がいたら、それは歪んでいると言いたい。どうにも世の中は、グレーゾーンでギリギリのことをすることが勝つ方法だと信じられているし、撤退の方法まで洗練されている。この状況で清く正しいなんて言っている人が、グレーゾーンに踏み込んだ途端「大丈夫だろう」と言ってやったことが致命傷になりかねない。たいていの成功者と思われる人はグレーゾーンの達人であり、かつ最近のトレンドを知り尽くしている。マズいと思ったらどうすれば逃げられるかを熟知している。

これらのことは、世界を見ても、国内を見ても、そして会社を見ても、電車に乗っていても、自宅にいても思うことです。

現代はグレーゾーンを巡る戦いが熾烈になっている。そして一番損をしているのはまじめな人である。この仮説は本当に救いようがないくらい身も蓋もない話なのですが、明らかに人間が欲望を隠さなくなったなあと言う感想です。

世の中の闇と呼ばれていた部分が、地上に噴き出しているようなそんな様子です。