はじめに
RPAがどんどん大企業や官公庁、公共機関に入り始めています。
ネットメディアにも毎日のようにRPA導入事例が掲載されています。
2019年上半期を中心にまとめてみました。
WinActor
ヤマトグループ
複数のRPAツールを検討した結果、「純国産で操作性がよく、導入事例も多い」「全国をカバーするサポート体制の充実」「世界各国の支店でも活用できる」「バージョンアップを含めてサービスラインアップの展開が充実している」といった理由から、NTTデータが販売する「WinActor」を選定したという。
金融庁
金融庁は2019年6月7日、同庁の職員がRPAツールを使った開発を体験するRPA研修を開催した。職員20人が庁内で採用しているNTTデータのRPAツール、WinActorに初めて触れた。このような研修をするのは中央省庁では金融庁が初めてだという。今後は地方拠点である財務局でもRPAの説明会を開催し、現場職員の協力を得ながらRPAの開発案件を発掘していく。
太田市
群馬県太田市とNTT東日本 群馬支店は6月10日、RPA(ロボティックプロセスオートメーション)を活用した業務効率化に関する実証実験を共同で行うと発表した。実施期間は、2019年6月11日から11月30日まで。
両者によると多くの市役所では、申請における書類の処理や、システムの利用に伴うデータの転記・再入力といった作業が多くあり、その大半は職員の手作業で行われているという。
メタルワン
とはいえ現場の業務担当者がRPAに注目してくれるとは限らない。そこでメタルワンは業務担当者のRPAへの関心を高めるために、社内でロボットコンテストを開いた。第1回のコンテストは2017年8~11月に開催した。参加者には8月に1カ月かけて、同社が採用したRPAツール「WinActor」の使い方などの研修を受講させた。そして9月から3カ月の期間でソフトロボを開発させ、優秀者を表彰した。「開発期間を区切ることで、忙しい社員もRPA開発に集中してもらえるようにした」(業務改革・DI室の安藤友紀氏)。
東京都
検証対象として、東京都の主税局、オリンピック・パラリンピック準備局、収用委員会事務局、総務局、水道局の窓口・事業系業務、内部事務系業務のうち、RPAの活用効果が高いと想定された19業務を選定。都職員がRPAソリューション「WinActor」でシナリオの作成と実行を行った。
実証実験の結果、RPAの活用により、平均で79.6%、最大で100%の業務時間の縮減効果が見込まれることを確認したという。対象業務の年間縮減時間(見込)は合計約284時間とのこと。
千葉市
NTT東日本は5月28日、千葉市の税業務をフィールドとし、AI-OCRによる実帳票の読取精度、AI-OCR/RPAによる業務効率化の効果を検証したことを発表した。
実証実験では、AI insideが商品化したAI-OCR「DXSuite」とNTTアドバンステクノロジが提供するRPAツール「WinActor」を利用。
横浜市
横浜市とNTT、NTTデータ、クニエは3月18日、2018年7月に締結した包括連携協定に基づき、「RPAの有効性検証に関する共同実験」を実施したと発表した。
今回、月報作成やデータの収集・入力など定型的な7業務の一部(事務作業)において、所管部署の職員がRPAソリューション「WinActor」によりシナリオを作成し、作業の自動化を試行した。
BizRobo!
慈恵大学
RPAテクノロジーズは2019年6月20日、慈恵大学が実施している研究「医師・病院業務等の働き方改革に関する研究:RPAの有効性の検討」に対して、同社のRPA(Robotic Process Automation)ツール「BizRobo!」を提供すると発表した。慈恵大学では、事務職員の業務負荷を軽減したり、医療の質を向上させたりするのにBizRobo!を活用した。
クララオンライン
クララオンラインでは昨年12月からRPAの導入を検討し、今年2月に、RPAテクノロジーズが提供しているRPAツール「BizRobo!」を利用することを決定した。「BizRobo!」を選んだ理由について、内田氏は「RPA製品を検証する際に、プリセールスの方がしっかりとフォローしてくれたことが決め手でした」と話す。
名古屋大学医学部附属病院
名古屋大学医学部附属病院は、RPAテクノロジーズの「BizRobo!」を導入し、院内の全事務部門で定型業務のRPA化を推進する。会議メールの自動送信や医師の勤務時間集計などの定型業務を自動化することで、職員がより付加価値の高い業務にシフトできる体制を整える。
住友林業
まずは2014年~2015年にかけて、BPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)チームでRPAを試験的に利用した。採用したRPAソフトは、RPAテクノロジーズの「BizRobo!」だ。使ってみた結果、エンドユーザーでもRPAロボットを開発できることが分かり、26業務で1カ月当たり180時間の作業時間を削減できた。
UiPath
別府市
大分県別府市は、RPA(ロボットによる業務自動化)ソフトウェア「UiPath」を本格導入した。2018年に行った実証実験では、職員が行う作業時間の85.2%、年間1078時間の削減効果を試算できた。導入および活用支援は、アジアクエストが担当する。UiPathが2019年6月21日に発表した。
茨城県
ICT戦略チームでは、UiPathを含む複数のRPAを複数の条件から検討。セキュリティ体制や、庁内で動く数百のシステムやツールとの連携のしやすさ、コストパフォーマンスなどの面から、UiPathが適していると判断したという。
「県民の生活を支えている以上、止まってしまっては困るシステムもあります。既に世界でさまざまなシステムに展開している大規模なベンダーから継続してサポートを受けられる安定感も重要でした」(戸澤氏)
多摩市
インテックは3月4日、多摩市とUiPathと共同でインテックが独自開発した項目認識AIを用いたOCRとRPAの組み合わせによる業務自動化の実証実験を開始した。実証期間は3月~7月まで、対象業務は住民税関連業務(課税課)、児童手当関連業務(子育て支援課)、保育園入所申請書入力業務(子育て支援課)となる。
損保ジャパン
約2万6000人の従業員を抱える「損保ジャパン日本興亜(以下、損保ジャパン)」もそんな企業の一つだ。2018年2月にUiPathの導入を発表し、年間40万時間以上の時間創出を目指すと宣言した。導入から約1年でどれだけの成果が挙がったのか。同社はUiPathのイベント「UiPathForward Japan 2019」でその進捗を発表した。
日本ニュートリション(伊藤忠グループ)
伊藤忠商事グループで飼料などを製造、販売する日本ニュートリション(JNC、港区)は、RPAツール「UiPath」を導入。請求、受注業務などを自動化し、自律的に継続できる体制を構築し、年間約985時間の削減を見込むという。導入を支援したエル・ティー・エス(LTS、新宿区)が発表した。
Blue Prism
荏原製作所
「RPAツールに関しては、『システムとの親和性』『ロボットの拡張性』『ロボットの信頼性』の3つの観点から『Blue Prism』を採用しました。Blue Prismは、多様なインタフェースを備えており、既存の社内システム群や営業支援ツールとの連携が容易です。また、統合管理も備えていますので、将来環境を拡張した際も野良ロボットが乱立するような事態を防げます。さらに、セキュリティ管理や監査証跡管理の機能も充実しており、売上・支払といった会計領域への適用も行えます。こうした点が決め手となりました」と籔内氏は話す。実際のプロジェクトは、Regrit Partnersなど外部2社の混成チームの支援を受けながら推進していったという。
NEC Software Robot Solution
愛知県
NECは4月23日、愛知県における行政事務の効率化に向けた実証実験に、RPA(Robotic Process Automation)ソリューションの提供を通じて参画し、職員による入力・確認などの作業時間を最大95%削減したと発表した。
総括
RPAソフトウェアは選択肢がたくさんあるのですが、メディア露出度を見る限りWinActorとUiPath、そしてBizRobo!の三強に思えます。そして、その後ろにBlue PrismとAutomation Anywareを追いかけているような状況かと思います。
日本企業は実績と導入パートナーが大好きですから、この図式はしばらく揺るがないだろうなと思います。ただし、技術革新等で市場がひっくり返ることはよくあることですからまだ勝負はこれからだとは思います。
中小企業はまだ全然入っていませんから、今後はスモールスタートの施策や始めやすい仕掛けが重要になろうと思います。営業を通さないでSaaSのように使える仕組みや、エントリーレベルの技術支援が重要だと思っています。
ぜひ、導入事例を各社が争って公開し、選択しやすい市場にしてほしいと願います。事例があると社内を通しやすいですからね。
また半年後、新しい記事をまとめていきたいと思います。
徹底解説RPAツール WinActor導入・応用完全ガイド 単行本 – 2019/4/25
RPAツールで業務改善! UiPath入門 基本編 単行本 – 2019/4/1