orangeitems’s diary

クラウドで働くインフラエンジニアの日々の感想です(ほぼ毎日更新)。

DXへ向かう前にRPAで時間稼ぎをした日本

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RPAが10万円給付を救う

うーん。

10万円給付の煩雑さを救っているのは、RPAだそうです。

 

xtech.nikkei.com

 火の車になっている自治体の現場を救え――。2020年4月末から5月にかけて、地方自治体におけるオフィスワークの効率化支援策を打ち出すIT企業が相次いでいる。

 支援策を打ち出しているのは、AI(人工知能)を組み込んだOCR(光学的文字認識)である「AI OCR」の技術を持つベンダーや、手順が決まったパソコン作業を自動化するRPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)のツールベンダーだ。地方自治体は新型コロナウイルス対策の一環で、住民や中小企業に支給する給付金や協力金の支給業務に追われている。

 

www.at-s.com

三島市は19日、1人10万円を支給する特別定額給付金の一部事務作業をロボットに代行させるソフトウエアツールの導入を始めた。添付資料の印刷や管理システムへの入力などが自動化され、職員による手作業と比べて40~60%程度の業務削減が見込まれるという。

 

ledge.ai

株式会社NTTデータは5月1日、「特別定額給付金」支給業務をする地方公共団体向けに、紙資料をデジタルデータ化するAI-OCRサービス、RPAソリューション、RPAソリューションのeラーニングを無償提供すると発表した。無償提供の期間は、給付金支給期間である2020年5月1日から2020年7月31日まで。

 

www.nikkei.com

新型コロナウイルス感染防止への対策として住民1人当たり一律10万円を給付する「特別定額給付金」の郵送による申請書について、総務省は光学式文字読み取り装置(OCR)を利用しやすい様式に変更する。27日までに自治体に通知した。国が示した実務様式が関係者による提案で変更されるのは珍しい。

 

で、政府も、この成功体験で味を占めたか、RPA界で人気の高いUiPath社と協力するそうです。

 

www.itmedia.co.jp

 RPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)ツールを手掛けるUiPath(東京都千代田区)は5月20日、内閣官房新型コロナウイルス感染症対策推進室と、感染症対策関連業務の人的負担の軽減を目的とした、RPAやAIなどの活用で協力すると発表した。

 

政府系だとNTTのWinActorかなと思ったので少し意外ではありました(まあ行政の現場ではWinActorはもう普通に使っているんでしょうけど)。

 

 

オンライン申請より郵送が優先に

とにかく、RPAが活躍している。

その結果、国産SIerが作ったマイナンバー関連の手続き方法より、手書きの申請書にしてくれという変な話になっています。

 

www.47news.jp

新型コロナウイルス対策として、国民1人10万円を配る「特別定額給付金」の申請方法を巡り、国が推奨するオンラインではなく、郵送で行うよう呼び掛ける自治体が相次いでいる。オンラインでの申請内容に不備が続出し、確認作業が重荷になっているためだ。給付まで時間がかかる可能性もあり、担当者らは「簡単に申請ができても、もらえるのが遅れたら本末転倒だ」と頭を抱える。

 

これが、日本の現状です。

マイナンバー制度でDXするのが本筋です。

でも、手作業をRPAで自動化するほうが、安全安心確実なのです。

2020年のITの現実をまざまざと見た気がします。

 

 

考察

DXの観点から言えば、行政の現場がアジャイルになっていて、10万円給付の件が明らかになった時点でスクラムを作り、簡単なアプリから作ってみて、限定された市区町村で限定利用。問題なければ全国に広げていく。そんな考え方でしょう。

でも、とかく行政のIT利用はそんなことにはなっていない。要件をまとめRFPを作り、大手SIerが入札し、そこからウォーターフォールで半年から数年かかるのが普通です。

そのやり方が悪いとはいいません。ただ、今回のように、国民にすぐに届けなければいけない!という状況だと明らかにスピード感に欠けます。

台湾がIT大臣の指揮のもとどんどんアプリでソリューションを打ち出し、素早い対応をしたことは有名ですよね。

明らかに、要で急なソリューションに、行政は弱い、ということです。あらかじめ決められたシナリオのもと、それをこなすという、平常時に特化したやりかたになっているのです。

さて、じゃあ、行政がアジャイルになればいいかというとそうではないとも思っています。アジャイルにおける成果物というものはどんどん調整を重ねて良くなっていきます。しかし、日本は一億二千万人に確実なサービスを届けなければいけない。少しの不具合でも大きな社会問題にまで発展してしまいます。SNSが発達している現状は特にその傾向が強いです。

従って、明確なプロセス管理ができる現状の古いやり方に対して、RPAで人の作業にフォーカスして自動化する。

ちゃんとシステム化について学んでいる人にとっては悪夢かもしれないのですが、今の日本にとってはこれが、僕らのDXとしか言いようのない現実があります。

また、アジャイル自体、現在のテレワーク優先な状況で確立できるのかという懸念もあります。スクラムが機能するのか。またアジャイルの前提となるインフラ基盤はKubernetesを核にコンテナによるDevOps、CI/CDとなりそうですが、これもまだ各ベンダーがしのぎを削っている状態です。割り切って使うのならいいのですが、数年後に主流であるか不明であり、たくさんのプロセスを載せていくには人間の体制面を含めて不安があります。

現状では、RPAによる、現状プロセスの自動化が最も手堅いソリューションであり、行政においてかなりの存在感を示したのは間違いありません。

その先の本当のDXに向かうためにはもう少し時間が必要で、とりあえずはRPAで時間稼ぎをする。これが今の日本の形だと思われます。