orangeitems’s diary

40代ITエンジニアが毎日何か書くブログ

管理権限をプロジェクトから取り上げてはいけない アメーバ経営の話

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プロジェクトマネジメントの話

朝から共感の嵐だったので記事にしておきます。

 

blog.tinect.jp

タイトルで先に書いてしまっていますが、この試みは失敗しました。
もうちょっと正確に言うと、有象無象の抵抗がなんとなく発生して、最終的には有耶無耶のままチーム自体が解散の憂き目に遭いました。

 

私も、

十年近く前の話ですが、システム開発の会社に勤めていたことがあります。
それ程有名な会社ではないのですが、一応独立系で、社員は4桁に届かないくらいで、SI案件とSES案件が大体半々くらい、自社業務と客先常駐も大体半々くらいという、まあよくある「昔ながらのシステム開発会社」だったと思います。

という記載と全く同じプロフィールを持つのでよくわかります。もしかしたら実は同じ会社ですれ違っているかもしれないぐらいです。別の部署が「某大きな銀行の三つのシステム合体不思議案件」も首を突っ込んでいたし・・。私はスキルパスが違っていてインフラまわりだったのですが雰囲気はよくわかります。

 

この件、複数のプロジェクトのプロジェクトマネジメント業務を切り出して、PMOのような部署を作り、一括管理しようとして失敗したというお話です。

そりゃあ、うまくいかないだろうなあ、そのあたりを考察します。

 

考察

私だってイヤですね~。プロジェクト外の人からアレがダメ、コレがダメ言われると何が嫌って、説明する言葉が通じないところです。しかも会議体なんぞ用意されてしまうと、その会議の時間の仕事もストップしてしまう。外野は黙ってろという乱暴な言葉はこのために用意されたのではないかと思ってしまいます。それなりに説明する気はあるけれども、説明を聞くことのできるスキルはやはり職位が上の人でないと話ができづらいものです。職位が上の人はそれなりに上である理由はあるものです。

さて、じゃあどうすればいいんだと。プロジェクトにおけるプロジェクトマネジメントに忙殺されてしまう問題。また、経営者からすると本当にヤバい案件は、最後の最後になって「実は・・こんな状況でして・・」と青い顔をしてPMが報告してきたり、もしくはお客様が営業に怒鳴り込んできてエスカレーションが上がる、こんなことがデスマーチの号砲だったりします。プロジェクトに任せっきりにすると後手後手に回ったり非生産的。プロジェクトから管理業務を引きはがしてPMOに集約すると、それもまた非生産的。詰んでいるのか?

この話、実は「アメーバ経営」がすごく良く効くと思うんですね。

 

www.kccs.co.jp

アメーバ経営は稲盛和夫の「会社経営とは一部の経営トップのみで行うものではなく、全社員が関わるものだとの考えに基づき、会社の組織をできるだけ細かく分割し、それぞれの組織の仕事の成果を分かりやすく示すことで全社員の経営参加を促す経営管理システムである」という考え方が貫かれています。

経営に関わるとは、経営者だけでなく社員も自分たちの収支を管理し、利益に対してしっかり責任を負うことを意味しており、全社員が利益管理に取り組みます。

アメーバ経営は会社組織を「アメーバ」と呼ばれる小集団組織に分け、各アメーバのリーダーが経営者のように小集団組織の経営を行います。
アメーバを構成するリーダーとメンバーは、自部門の利益を最大化させることを目標に創意工夫を行い、日々の仕事に取り組むようになります。

 

アメーバ経営自体は非常に有名なのですが、IT業界でのいわゆるプロジェクト運営においても非常に反映しやすい考え方のように思います。プロジェクト単体を小集団組織と捉え、そこでの収支管理をプロジェクトマネージャーが責任を持つことが重要です。今回うまくいかなかった、「責任を取り上げ管理部門に切りわける」こととは真逆です。

プロジェクト管理において重要なことは、進捗の進行率と、品質の確保にあると思います。これらを正確にこなしても利益が出ないのであれば営業段階で見積が間違っているということになりこれはまた別の話になります。

また、「いや、実はSESで時間精算だから、どんなに工数かけてもその分お金もらえるんだ。だから進捗なんかあんまり気にしなくていいよ」だったら、そもそもプロジェクト管理の責任は自社にはないでしょう。

あくまでもプロジェクトの進行責任が自社にあるとしたら、実際のところプロジェクト内部で責任を持って、進捗通りに終わらせるとともに品質を確保しなければいけません。もし手が足りないのであれば他のチームや協力会社にアウトソースしますし、その場合は原価が別にかかりますから、プロジェクト予算をにらみながら調整しなければいけません。

結局、プロジェクトと、経営って似ているんですね。だから会社から社長を取り上げたら会社にならないように、プロジェクトからマネジメント業務を取り上げたらいけません。

一方で、「実は炎上していて・・・」という状況に対するリスクマネジメントも重要です。実はこのコスト管理をプロジェクト内で責任を持たせると、複数のプロジェクト横ぐしで、問題が起こっているか明快になります。予想以上に原価が膨らんでいたり、手戻りで進捗が伸びないなど、一括管理できます。また、最近だとBacklogのような課題管理ツールが進化していて、横ぐしで品質低下の状況がわかります。これを行うべきは経営者層です。異常値への最速最適な対応こそ経営の肝だと思います。

プロジェクト内ではプロジェクト進行をITを利用して情報処理しながら、それらを横ぐしで分析することもまたITでできるようになってきています。これにAIの機能を加えて、複数のプロジェクト間でどう調整すればいいかアドバイスするようなことも将来はできるようになりそうです。詳しくは下の記事にて以前書きましたのでご確認ください。

 

www.orangeitems.com

 

まとめ

ということで、まとめます。

・プロジェクトからプロジェクトマネジメント権限を取り上げたらいけない

・「アメーバ経営」の思想が効く

・プロジェクト単位で収支管理し、プロジェクトマネージャーが責任を持とう

・複数のプロジェクトを横ぐしで管理することは重要。Backlogなどの課題管理ツールを使ったうえで、日々の異常なアウトプットを経営者層が注目すること。

・全体のプロジェクト群を管理するのは、将来的にはAIが活躍してくれる予想がある

ということです。

なお、アメーバ経営についてはマンガで京セラコミュニケーションシステム株式会社から出ているので参考にしてみてはいかがでしょうか。