大事なのは行動力じゃない
出世している人のインタビュー記事に、「やっぱり行動力が大事」というコメントが付いているのを見てひとこと。
行動力なんて二の次です。全然重要ではない。
仕事ができる人って行動力があるように見えるじゃないですか。
結果的にたくさんの重要な仕事をしているから、行動が速いのかなと周りは思いがち。
そうやって、ネットのいろんな誘い文句に踊らされて、転職を考えたり。投資を考えたり。副業を考えたり。行動力が大事という言葉でいろんな人が判断ミスをしているように見えます。まあ、私もそうやって失敗してきたクチでもありますが。
しかし、行動力があるように見える人は、単に情報処理能力が高いだけです。
情報処理能力が高いと、何をなすべきかを人よりものすごく速く判断します。かつ、今やスマートフォンやインターネットサービスなど、情報処理能力をブーストするツールがそろっている。
情弱と情強と言う言葉がありますが、情強は短い時間でたくさんの情報処理を頭の中で行って、ふさわしい行動を選ぶんです。ですから、行動が速くみえます。でもあてずっぽでなんでもかんでも手を出しているのではないのです。考えているからです。
行動力のある人は何が違うか
たくさんの人々は、失敗しないために成功事例を気にしますよね。アマゾンのレビューとかカカクコムの評価とか。食べログにホテル予約に・・。端的に言えば成功事例を重視するんです。日本人の特徴ともいえます。ですから成功事例がでそろうまでは、行動ができなくなる特徴があります。
一方情強は、他人がどうだったかという情報は置いておいて、様々な切り口からクエリーしてものごとを考えます。その情報ソースは様々ですが、基本はテキスト情報です。今さら紙の本かもしれませんし、電子書籍、メディア記事。インターネットにはたくさんの情報がカオスになっています。そこでも真実がわからなければ、実際にそこまで行ってみて自分で判断する。そんなことをやっているから行動力があるように見えるのですが、単に情報処理活動の一部なので、他人からなぜそのように言われるかはピンと来ていません。
成功する人は、普段からそんな思考ルーチンです。何かを常に情報処理しようと思っていて、いろんな問題意識を常に持っています。だからいざ、仕事となったときでも、様々な情報から最適な行動計画を瞬時に計算し、行動に移します。
事例を待たずして、持っている情報から判断し、自分が納得したら動き始められる。
勘違いしてはいけないこと
この成功する人の外形を見て、「ああ行動することって大事だな」と評価するのは危険がいっぱいです。そこから始めるのは危険。だから、芸能人などのアイコンが「この商品はいい!」って言うだけで大衆が流れて動くのです。情報処理をどれだけの人が放棄しているんだろう。
インスタ・Youtube、TikTokなど、非テキスト系の情報しか入手しない層がいるのも知っていて、その方達にインフルエンサーと言われる人が「行動力大事!」って煽られて右に左に行っているんじゃないかと、とても冷ややかに見ているんですね。
この世の中、「本を読め」ではないんです。「テキストを読め」だと思います。たくさんのテキストを吸収し、そして最後は「自分の頭で考える習慣」をつけること。
一年半前にわたしがブログを始めたときには、「今さらテキストメディアもね」と半信半疑でしたが意外とたくさんの人が個人ブログにまで足を延ばしてテキストを読んでいることがわかって、すこし感心しました。が、一方で非テキストメディアが若年層中心にバズっているのを見て、危惧をしているところです。
この世の中が、SNS経由で、広告やインフルエンサーに右往左往するようになったこの世の中。しかもそれを逆手に取ってアメリカの大統領選までに影響を及ぼすようになったのが現状です。今の政治もそれをわかっていて、大量のイメージ広告やサブリミナルな称賛記事をSNSに紛れ込ませているのは疑いのないところです。
大事なのは行動力ではありません。その行動の根本となる情報処理能力こそが重要です。情報処理能力を磨くために、たくさんのテキストに触れ、一人でも多く自分の頭で考え行動できる人が増えてほしい、そう思います。