orangeitems’s diary

40代ITエンジニアが毎日何か書くブログ

資格試験がどの程度転職に役に立つか

 

 

資格試験には大きく2種類ある。国が管轄している国家資格と、製品やサービスの開発元が管轄しているベンダー資格がある。

国家資格と言えばIT業界では情報処理技術者試験が強い。経済産業省が実施していて、古くは西暦1969年から実施されている由緒正しき試験だ。

ベンダー資格は、それこそ製品やサービスの数がたくさんあるのだから、多くの試験がある。その中でも人気があるのが、AWS関連やCISCO関連、過去はデータベースと言えばORACLE、また、マイクロソフトも多くの試験を備えている。

企業も社員教育や啓発、そして能力測定の一部として資格試験を活用していて、資格手当を創設している企業は多い。また、一定以上のジョブに対しては資格試験を義務付ける企業もある。

このように、資格試験とIT業界はとても密接な関係ではあるが、私は冒頭の通り、いざ採用活動となるとベンダー資格の有無はあまり重要視しない。

ベンダー資格の性質として、思考力よりも、理解しているか、に重きを置かれているように思う。ベンダー製品は常にアップデートされ続けるので、資格も更新しなければいけない。したがってベンダー資格には理解を証明する力はあるとは思うが、仕事とは理解が重要ではない、と思う。理解した上で思考し、顧客要件に合わせてアウトプットできるかのほうが重要だ。

理解するだけで言えば専門の学生のほうが強いような気もしていて、テストで実力を測るプロだと思う。しかし一般社会はテストじゃカバーできない。理解したことだけで仕事が成り立っていることは少なく、理解していないことも想像して、つなぎ合わせて形にしなければいけない性質がある。理解したことを職務経験として活かすことできたか、の方を見たい。

だから、職務経歴と取得ベンダー資格が乖離している場合、違和感をおぼえる。なぜこれを取ったのか。取ってどうしようと思ったのか。もしくは、転職することで何かしたいのか。何しろベンダー資格とは、経験に橋渡しするための手段であり、それそのものが仕事ができることにはならない、という持論である。

一方国家資格である情報処理技術者試験は、様々な応用技術を理解するための基礎知識が問われる試験であり、かつ午後の問題については思考力が問われる。記述式の問題もある。試験全体の思想として、業務にて行われる思考をシミュレートしてくる性質がある。したがって、いくらベンダーの応用技術を理解していても、情報処理技術者試験は別物だと考える人は多いしそのとおりだと思う。そして、いざ転職活動における資格試験の重さのようなものを考えると、職歴と同じくらい情報処理技術者試験の合格有無は意味を持つと思っている。これまで私が関わった人たちを振り返ってみても、試験に合格してきている人はそれなりに伸びている。

また、ベンダーの動きを長らく見て辟易しているのが、その受験料の高さと更新間隔の狭さ、である。資格試験自体が事業になっている。資格試験を盛り上げることで利潤が見えるが、それに乗っかった人がどれだけ恩恵を受けるかが今ひとつ頼りない。その資格を持っていれば独占業務ができるのだったらまだいいのだけど。名誉、以外になにかあるか。

ということで、もし日本限定で、社会一般に通じる資格といえば国家資格だということを言っておきたい。ベンダー資格はよりそのベンダーに依存したビジネスに強く関わる場合に限定されると覚えておいて欲しい。経験につなげることができないのであれば、取った後タンスの引き出しに長らく保管され、十年後あたりに懐かしく、この資格そういえば取ったな、というぐらいの話にしかならないのである(なった)。