orangeitems’s diary

40代ITエンジニアが毎日何か書くブログ

ITインフラは周回遅れでちょうどいい

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クラウド界がざわつく2つのニュース

Googleからとんでもないニュースが2つ出ていますね。

 

b.hatena.ne.jp

Googleはサンフランシスコでイベント「Google Cloud Next '19」を開催。4月9日(日本時間4月10日未明)に行ったオープニングキーノートで、MongoDB、Redis、Confluent、Elasticをはじめとするオープンソースソフトウェアベンダとの戦略的提携を発表しました。

提携相手はConfluent、DataStax、Elastic、InfluxData、MongoDB、Neo4j、Redis Labsの7社。

 

www.publickey1.jp

Googleはサンフランシスコでイベント「Google Cloud Next '19」を開催。4月9日(日本時間4月10日未明)に行ったオープニングキーノートで、Kubernetesをベースにアプリケーションのマルチクラウド対応を実現する新サービス「Anthos」の提供開始を発表しました。

 

考察

AWSが、New Normal(新しい標準)と言う言葉を使い始めたころから話はややこしくなったと思っています。

 

cloud.watch.impress.co.jp

 Cloud has become the new normal(クラウドは新しい標準になった)――。

 これは2014年11月に米国ラスベガスで行われたAWS(Amazon Web Services)の年次カンファレンス「AWS re:Invent 2014」で、同社シニアバイスプレジデントのアンディ・ジャシー(Andy Jassy)氏が発したメッセージだ。

 

クラウドは今後の標準だ、というだけならまだ穏やかなのですが、AWSの物の言いっぷりから見ると、クラウドとはAWSそのものです。AWSはNew Normalだ、というふうに業界に伝わり、非AWSはNo Normal(標準じゃない)であるかのような雰囲気が一気に広まったと感じていました。

クラウドを使うのはわかるけど、なぜAWSじゃないのか?、なんてマインドがユーザー企業に広まったのがこの頃でした。

ここにきて、Googleがマルチクラウドを推し進めたりIBMがRedHatを買収するなど、本当の標準とは開かれたものであるべきだと言う動きが活発になってきました。

オープンソース勢も、AWSに不満たらたらな状況で、このGoogleとの提携話です。

AWSからすれば、このGoogleやIBMが言うマルチクラウドの動きは、全く面白くないはずです。もし実現すればシェアを奪われるだけです。AWSだけで動くワークロードが多数存在することが成長の源泉だったのに。

この前、IBMがWatsonのコンテナをAWSでも動かせるようにするという発表をしていました。

 

www.nikkei.com

 

ついでに、Db2(IBMのRDBMS)もAmazon RDSに乗っけると。

 

www.atmarkit.co.jp

 

こうやって俯瞰していくと、ここから3年くらいで、どこのクラウド基盤でもワークロードを自由に動かし、移動できる。そんな世界を作るために大きな資本が動いていることを見透かすことができます。

 

Kubernetesが話題となっていますが、まだこのKubernetesだけでマルチクラウドを志向するのは力不足です。私も使って思いました。AWSではEKS、AzureではAKS、GoogleではKubernetes Engine、IBM CloudではIKS、いろんな派生が生まれそれぞれで使い方をおぼえなければいけません。また、オンプレミスやVMwareとの世界とは隔絶した技術ですので、コンテナにする?モノリシックにする?みたいな議論で二者択一を迫られ、一気に世の中はスローダウンしたように見受けられます。

使いやすかったら、急激に世界は動きますからね・・。一部の先進的な人が使ってみたけど、うーん、これは誰でも使いこなせる代物じゃないかな・・、なんて雰囲気です。

こんな記事が話題になるくらい。

 

yakst.com

 

今回のGoogleのAnthosの動きは、Kubernetesを使って本当にGoogleがやりたかったことになると思います。習得に時間と手間をかけなくてもマルチクラウドができること。

また、IBMはRedHatの力で同じようなマルチクラウドの仕組みをリリースするとは思いますが、両社のソフトウェア資産が豊富なためソフトウェアを押し出したアプローチをしてくるような気がしています。

GoogleやIBMなどシェアが劣っているクラウドベンダーは、どのクラウドでも動く、つまり基盤が平準化すればするほど、リバランスされてお得なのです。

 

個人的には

・・・と、こんな状況で非AWSな私は今後の動きが楽しみではあるのですが。シビアな見方もしておきます。

今すぐAnthosを商用環境に取り入れたり、社内環境に組み入れたりするのは時期尚早だと思います。

本当に市場が枯れて、動きがなくなってからぐらいでちょうどいいと思います。

新しい技術は発表は華々しいのですが、市場競争に負けた時はひっそりいなくなります。飛びつくとろくなことがありません。

もちろん研究段階として、いろいろと試してみて、とても優れたテクノロジーであれば次のステップに入るのもいいでしょう。その感覚が優れていれば、そのテクノロジーの第一人者となりリーダーとなることができます。AWSでもそんな人や会社がいらっしゃいますよね。

今のところ仕事で使うなら、クラウドもIaaS(仮想OS、ロードバランサー、ファイアウォール)まで。下記でも書いたのですが、サービス終了リスクが本当にいやらしい。

 

www.orangeitems.com

 

ソフトウェアの力は信じているのですけど、SaaSやPaaSは信用していない。

インフラ基盤と、ソフトウェアはあくまでも独立 / 分離すべきです。このインフラ基盤じゃないと動かないソフトウェア、なんて不健全。

したがって、ここから数年で、「アプリケーション / ソフトウェアがどのクラウドでもオンプレでも動く」を標榜するマルチクラウドがどんどん進化するとは思いますが、強い気持ちを持って、様子見としておきます。少なくともエンドユーザーを巻き込んではいけないかな、と。

それまで、IaaS屋を決め込みます。