orangeitems’s diary

40代ITエンジニアが毎日何か書くブログ

クラウドでソフトウェアをサービスとして利用するにあたって注意すべきこと

f:id:orangeitems:20190408231406j:plain

 

便利なクラウドサービス

世の中はクラウドサービスにあふれています。便利ですよね。クラウドサービスと言っても仮想サーバーなどを提供するIaaSは当然のことながら、最近ではSaaS(Software as a Service)が大流行りです。一時期PaaSとSaaSを分ける習慣があったものの、結局プラットフォームすらソフトウェアで動いていますから、SaaSの枠に全て入ってきたような気がしますね。

昔のインフラ設計は、OSにミドルウェアをインストールし、ネットワークを接続。そのうえでアプリケーションを構築するというスタイルばかりでした。しかし結局のところミドルウェアを使えさえすればいいので、クラウドのポータル画面からボタンを押していくと構築済みのOS+ミドルウェアが出来上がる。ユーザーはそのミドルウェアだけと使えばいい、という形態が出来上がりました。例えば、Amazon RDSでは、いろいろなデータベースソフトウェアを、OSから構築することなく利用できます。導入作業を取っ払ってサービスとして様々なソフトウェアが利用できる。これがクラウドサービスを利用する目的の一つにもなっているほどです。

 

クラウドサービスのリスク

さて、このクラウドサービス。便利なのですがリスクもあります。特に私が大きなリスクだと思うのが、「突然のサービス終了」です。

クラウド基盤が用意するいろいろなサービスを組み合わせて、俊敏にサービスを作ることができる。構築の時はバラ色なのです。しかししかし、ある日の一通のメールで愕然とします。サービスが終わるというのです。

例を挙げましょう。

 

NEC

jpn.nec.com

お問い合わせいただいたNEC Cloud Authentication (NCA)はサービス終了のため新規申し込みはできません。代替サービスとして以下を紹介します。大変ご迷惑をおかけしますが、なにとぞご理解のほどよろしくお願いいたします。ご不明点がございましたら、下記問合せ先へご連絡くださいますようお願い申し上げます。

 

Equinix

rss.ncloud.equinix.co.jp

平素はマネージドクラウドサービス Nシリーズをご利用いただきまして、誠にありがとうございます。

2018年4月19日にもご連絡差し上げている件となりますが、サービス終了日まで残り3ヶ月となりますので改めてご連絡差し上げます。
現在ご提供中の「クラウドストレージ」は、2019年1月25日をもってサービスを終了させていただくこととなりました。
これまで長らくご愛顧賜り、誠にありがとうございました。

 

IBM

www.ibm.com

サポート終了日について

新たにインスタンスをプロビジョニングすることはできません。

既存のインスタンスは、サポート終了日までは引き続きサポートされます。

サポート終了日:2018年9月28日

9月28日までは、これらのサービスを利用したすべての既存インスタンスはコマンドラインから利用することは可能です
サポート終了日後にはインスタンスは削除されます

 

Microsoft

blogs.technet.microsoft.com

Access Control Service (ACS) は、正式にサービスを終了いたします。現在ご利用中のお客様は、引き続き 2018 年 11 月 7 日までご利用いただけますが、それを過ぎると、ACS サービスが停止しすべての要求がエラーとなります。

今回は、ACS の終了に関する前回のブログ記事 (英語) の補足事項をお届けします。

 

 

サービス終了期限を明記すべきだ

冒頭で、PaaSとSaaSの棲み分けが曖昧になってきたと書きましたが、広義的には全てサービスとしてのソフトウェアと定義することができます。

パッケージソフトウェアの世界では、必ず「サポート期限」を明記するのが業界の慣習となっています。そして次のバージョンに上げれば、サポート期限が伸びる。あるいは製品終了とともに最後のバージョンとなる。したがって代替ソリューションを探す。このように構築時にサポート期限を見ながら使うソフトウェアを決めるものです。

例えば、Windows 7は2020年1月14日にサポートが切れることは有名ですよね。わざわざ今から導入する人はいません。このようにいろいろなソフトウェアはサポート期限をあらかじめ明記していて、自分が使うシステムの利用期限に合わせて設計時にコーディネートするわけです。

ところが、クラウドサービスと言ったらだらしなくて、前章のように良くて1年前、最悪のケースで数か月前にサービスを終了しますと言ってくるのです。

こんなの危なっかしくてやってられません。

 サービスインするときは華々しく永遠にホストするような雰囲気にしておいて、終わるときにはひっそりと、しかもユーザーにはあまり猶予も与えず。

ですから、私自身はIaaSしか信用していないんですよね。そこにミドルウェアを構築するのはあくまでも自分自身が実施すれば、他の基盤でも再構築できる。そのソフトウェアはサポート期間が明記されているので安心です。

Kubernetesですら、バージョンアップが激しいため、各クラウド基盤のマネージドKubernetesサービスもあまり信用していないところがあります。下位互換性を担保して、長期間動作保証してくれるというなら検討するんですけれども。今のコンテナが、5年後のKubernetesで動いているという感覚が持てないです。

クラウドベンダーの誘い文句に誘われて、最先端と思っていたサービスを使ってみたら、数年後に「サービス終了のお知らせ」が届いて残念なことにならないように気を付ける。それと同時に、クラウドベンダーはサービス終了期限を明記してほしいですね。ソフトウェア as a Serviceを名乗るなら、現在のソフトウェアの文化を継承してほしいものです。