orangeitems’s diary

40代ITエンジニアが毎日何か書くブログ

「欧州に広がるAmazon労働者の反乱」から見えるAmazonの窮地

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ストライキ頻発

ヨーロッパ各地でAmazon従業員がストライキを起こし始めているという話です。

hbol.jp

会社側はこれまで社員に昇給や労働条件の改善などを約束してきた。しかし、現実は逆に給与は凍結され、労働条件も悪化しているという。

 労働条件が年々悪化し、過酷な労働を強いられているとして4つの労働組合が音頭を取ってスト実施に賛成か反対かの投票をした結果、正社員の74%がスト敢行に賛成票を投じたことから、3月21日と22日の二日間48時間の全面スト>の実施を決めたのである。

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考察

別の記事で、ああ、これがAmazonの哲学だなあと思うことがありました。

www.businessinsider.jp

アマゾンはCustomer Obsession(カスタマー・オブセッション、顧客を中心に考えること)をモットーとしている。

 Amazonは極端に、顧客中心を貫く企業です。顧客を全てに優先します。米国顧客満足度指数(オンライン小売部門)では過去18年間にわたりトップを維持しているという記事もあります(参照記事)。

何かを優先にするということは、何かを後回しにするということになります。これは、取引先と従業員、および国家です。公正取引委員会に立ち入りを受けている件でも明らかになった通り、取引先には大変ドライな対応をしています。今回従業員にもストライキという形で反発されています。大きく見れば国家に対しても、タックスヘイヴンを使って税金逃れをすることで顧客に還元しようとしています

biz-journal.jp

このように、Amazonというのは徹底して顧客を優先し、それ以外のことを後回しすると見るといろんなことが同じ尺度で語ることができるようになります。

さて、こんなに極端に顧客優先を貫けば敵だらけになりそうなものですが、なぜ成長できたのでしょうか。これは非常に巧みな戦略があると思っています。実は、取引先であろうと従業員であろうと国家であろうと、同時に「みんな顧客」なのです。

どんなにAmazonは問題だと口では言っていても、何か物を買おうとするとまずはAmazonで検索します。プライムに入るといろんな便利なサービスも受けられます。そうやって素晴らしいカスタマーエクスペリエンス(顧客としての体験)を全ての人々に届けることにより、「まあ仕方ないよね」と言わせているという戦略だと思っています。

一方で、この戦略は、取引先も従業員も国家も疲弊させますし、限度を過ぎるとそれぞれに致命傷を与えます。破壊的と言われるゆえんでもあります。そして限度を超え始めています。取引先・従業員・国家が集まって反Amazon勢力となったとき、果たしてAmazonはこのモットーを貫けるのかが問題になると思います。今年のG20では、アマゾンに対する課税も論議に上がるとされています。

www.nikkei.com

20カ国・地域(G20)は、米アマゾン・ドット・コムのような電子商取引業者に対する課税強化案を検討する。

 

これまでの画一的な顧客優先主義が、全面的に窮地に立たされているように思います。

・取引業者への協力金 → 公正取引委員会の立ち入り
・従業員の環境問題 → ヨーロッパでのストライキ続発
・タックスヘイブンでの税金逃れ → G20の議題

今後のニュースを興味深く見ています。