orangeitems’s diary

クラウドで働くインフラエンジニアの日々の感想です(ほぼ毎日更新)。

人手不足倒産の傾向と対策を考える

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人手不足倒産

今日の日経新聞に人手不足倒産の話題がありました。

 

www.nikkei.com

人手不足を原因とする倒産が高水準で推移している。2019年1~7月に累計200件を超え、通年では過去最高だった18年を上回る可能性がある。有効求人倍率が約45年ぶりの水準で推移する中、介護など労働集約型のサービス業などの中小企業が人手を確保できない。従業員の退職もあり廃業に追い込まれている。10月以降は各地で最低賃金の引き上げが予定され、経営の重荷になりそうだ。

 

記事を読んでいると、ひとことに人手不足倒産と言ってもいくつか種類があるようです。

・従業員退職型
・求人難型
・人件費高騰型
・後継者難型

字面だけ見ていても今一つ違いがつかめないので、これらが具体的にどんなケースを示すのかを考えていきたいと思います。

 

分類と傾向

まず、人手不足倒産のデータをまとめているのが商工リサーチですから、商工リサーチが出している直近のレポートを確認します。

 

www.tsr-net.co.jp

 2019年7月の「人手不足」関連倒産は36件(前年同月比14.2%減、前年同月42件)で、2カ月ぶりに前年同月を下回った。
 内訳は、最多は代表者や幹部役員の死亡、入院、引退などの「後継者難」が25件(前年同月32件)。次いで、幹部や中核社員の独立、転職などの退職から事業継続に支障が生じた「従業員退職」が5件(同1件)で5倍増した。また、人手確保が困難で事業継続に支障が生じた「求人難」が4件(同5件)。この他、賃金等のコストアップで収益が悪化した「人件費高騰」は2件(同4件)だった。

 

ここに具体例があります。

・従業員退職型~幹部や中核社員の独立、転職などの退職から事業継続に支障が生じた
・求人難型~人手確保が困難で事業継続に支障が生じた
・人件費高騰型~賃金等のコストアップで収益が悪化した
・後継者難型~代表者や幹部役員の死亡、入院、引退

ということになります。

 

また、先月の記事には割合が表にまとめられています。

 

www.tsr-net.co.jp

 内訳は、代表者や幹部役員の死亡、病気入院、引退などによる「後継者難」型が109件(前年同期146件)、人手確保が困難で事業継続に支障が生じた「求人難」型が47件(同19件)、中核社員の独立、転職などで事業継続に支障が生じた「従業員退職」型が20件(同10件)、賃金等の人件費アップから収益が悪化した「人件費高騰」型が15件(同10件)。「求人難」型は2.4倍増(前年同期比147.3%増)と、増加率が最大だった。

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つまり、人手不足倒産とひとことで言っても半分以上は経営者の後継がいないということ。ここは勘違いしてはいけないということです。一方でその割合は減少傾向にあり、一方でそれ以外の割合が急増しています。本当に従業員の人手が足りないということです。後継者不足は大企業がM&Aに動いていて、無くなっては困る企業が解決してくれそうな気がします。

 

www.nikkei.com

帝国データバンク広島支店がまとめたM&A(合併・買収)に対する企業の意識調査によると、中国5県の企業のうち3割が「今後5年以内にM&Aに関わる可能性がある」と答えた。後継者不足が深刻になる中で、技術や取引先といった経営基盤を守るため、M&Aが事業承継の選択肢になっているようだ。

 

実際にデータとして、後継者不足による人手不足倒産は前年比で減っているので、今後も減少していく可能性があります。

一方で、今後間違いなく増えていくのが求人難による人手不足倒産です。これまでの労働条件で求人を出しても人が取れないのです。人がいないから仕事が取れない。仕事が取れないから売り上げが上がらない。その結果資金繰りができなくなり事業が継続できなくなる。

データ的に見るとこの状況が顕在化しているとはまだ言えませんが、下半期に入ってその傾向は増加しています。今後、非正規社員の労働条件の見直しや最低時給アップなどイベント目白押しなのでいずれ大きな社会問題になることが必至だと思われます。

 

対策

基本的には高齢者が人手不足を今は支えていますが、高齢者はいつまでも労働できるわけではありません。したがってここ十年で状況がガラっと変わる可能性があります。

そのときに最も困るのは、人がいないと継続できない産業でしょう。RPAやAIなどで人の仕事が代替できるのはわかっていますが事務作業中心です。人間が実際に動かないとどうにもならない仕事も世の中にはたくさんあります。私もIT業界にいると麻痺しがちになるので気を付けなければいけないと思います。介護・教育・医療・飲食サービスなどすでに人手不足の兆候が見られている業界もあります。

先日、損保ジャパンが事務作業をRPAで大幅に軽減し、余った人材を介護事業へ移転することを発表し大きな話題となりましたが・・。

 

business.nikkei.com

この時点では、タイトルだけに反応した人が多かったのか「4000人も切るのか?」という嘆き声ばかりだったが、この報道とほぼ同時に公開された時事ドットコムでは「損保ジャパン、4000人削減=ITで効率化、介護分野などに配転」と題し、「余った従業員は介護などを手掛けるグループ企業に配置転換する」と、“余った”というかなりトゲのある言葉にSNSは反応。批判は一気に「余った人は介護へ」に集中した。

 

大きな目で見ると、これは必要な施策なのかもしれないなとも思います。

事務作業に携わる人々をRPAにより削減、この人々を人手不足産業へ、これからのトレンドになるかもしれません。