orangeitems’s diary

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若宮正子さんが国連本部で演説した意義

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国連での若宮さんの演説が話題

神奈川県藤沢市にお住いの82歳になる若宮正子さんが、国連本部で演説したことが話題になっています。

www.tokyo-np.co.jp

高齢になってからスマートフォン向けのゲームアプリを開発したことで知られる若宮正子さん(82)=神奈川県藤沢市=が2日、高齢者とデジタル技術をテーマにした国連での会議で基調講演した。若宮さんは自分の経験を交え、デジタル技術を活用すれば高齢者もやりたいことができると思えるようになると訴えた。

 若宮さんは英語で講演。物忘れをしがちな高齢者にカレンダーのアプリが便利であることや、離れて暮らす家族や友達とのやりとりにビデオ通話が役立つことなど、高齢者から見たデジタル技術の利点を列挙した。

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この会議について、何の会議だったのかを深掘りしたいと思い、調査しました。

 

会議の主催

若宮さんをご招待した期間は、国連の事務局の一つである「経済社会局(DESA)」傘下の、社会政策開発部という部門です。この部門の役割について、役に立つ記事があります。この部門にお勤めになった田頭麻樹子さんのインタビューです。

国連フォーラム:UN FORUM

社会における弱者を含め、すべての人を内包(inclusive)する社会を作るというという概念に基づいています。すべての人が参加し、彼らの意見が社会に反映さる社会を作ることが、結果的には、紛争予防や平和構築の第一歩になるという考え方です。

今回の会議は、「第56回社会開発会議 (原題:Commission of Social Development)」の中の1つの発表、「なぜデジタルスキルは高齢者にとって必須なのか?(原題:Why digital skills critical for older persons?)」です。こちらに若宮さんが招待されたのです。

 

会議のアジェンダ

こちらに、会議のアジェンダがありましたので添付します(英語)。

http://www.un.org/webcast/pdfs/180102pm-olderperson-digital.pdf

とはいえ、英語では日本人の理解が進みませんので、日本語にしておきます。

 

>>>

 

会議のタイトル:

なぜデジタルスキルは高齢者にとって必須なのか?

 

背景:

すべての国で、人口の高齢者の数と割合が増加しています。最新の世界人口高齢化報告書(UNDESA)によると、60歳以上の世界人口は2017年に9億6,200万人に達し、1980年以来2倍以上に増加しています。高齢者の数は2050年に再び倍増すると予想されており、21億人に達すると予測されています。革新と技術は、デジタル排除に最も脆弱な高齢者の経済的、社会的関与と健康を変革する可能性があります。

「すべての年代の社会」の基盤を促進するマドリッドの高齢化行動計画(MIPAA)は、技術力が高齢者に力を与え、高齢者の完全な参加と参加を求める特別な機会を提示していることを認識した社会です。技術を使って人を集め、それによって疎外感、孤独感、年齢差別の削減に貢献することができます。高齢者が技術的変化にアクセスし、参加し、技術的変化に適応できるようにするための措置がとられるべきです。

2015年9月に世界の首脳が歴史的な国連首脳会議で採択した「持続可能な発展のための2030年の課題」と「持続可能な開発目標(SDGs)」は、貧困を根絶し、すべての人に共通の繁栄を達成することを目指しています。 2030年の課題は、情報通信技術とグローバルな相互接続の普及が人の進歩を加速し、デジタル格差を克服し、知識社会を発展させる巨大な可能性と、医学やエネルギーといった多様な分野における科学技術の革新とです。

アルゼンチンのブエノスアイレスで、2017年10月9日から20日にかけて開催された「持続可能な開発目標のためのICT(ICT4SDGs)」をテーマに開催された世界電気通信開発会議で採択されたブエノスアイレス宣言は、デジタルリテラシーとICTスキル、女性や少女、障害者、特定のニーズを持つ人々を含め、すべての人々が知識と人間開発に貢献できる包括的で平等で質の高い教育を促進するために、アプリケーションとサービスを強化すべきです。

今日、私たちはスマートフォンや人工知能などのデジタル技術の時代に生きています。私たちの仕事、生活の質、健康、環境がすべてこれらの技術によって変革されている世界です。この進歩にもかかわらず、多くの高齢者は遅れをとっており、社会、文化、経済、政治的な生活に完全に参加できないような障壁に直面しています政府は、すべてのステークホルダーと協力して、高齢者のためのデジタル教育に投資し、あらゆる社会の誰もがデジタル技術を習得できるようにする必要があります。

実際には高齢者はデジタル排除に対して脆弱であり、革新的技術の潜在能力を利用する可能性はほとんどありません。 AARPインターナショナルの「老化準備と競争力レポート」と題した最近の報告によれば、トルコとメキシコでは65歳以上の人々の約90%がインターネットを一度も使用していない。中国では85%以上、ブラジルでは75%以上です。米国では、65歳以上の人々の30%以上がオンラインではありません。これは、デジタルリテラシーを促進し、高齢者のための技術主導の製品とサービスを開発する必要性を明確に示しています。

国連経済社会理事会(UNDESA)の社会政策開発部(DSPD)は、日本の常任理事国、早稲田大学、高齢化委員会と協力して、高齢者のためのデジタルスキルに関するサイドイベント。このイベントでは、高齢者が社会に参加し、公的および私的サービスへのアクセスを向上させるために、デジタル技術が不可欠な理由を探る予定です。技術へのアクセス不足は、開発の主流から老人を疎外させ、経済的および社会的役割を弱め、伝統的な支援の源を弱める可能性があります。

 

ガイドの質問:

1. 高齢者がデジタルスキルを習得できるよう、生涯学習と継続教育にどのように投資できますか?
2. 高齢者は、どのようにして技術革新と技術にアクセスして利益を逃すことができますか?
3. 高齢者は革新的技術を使って貧困撲滅、社会の幸福と繁栄にどのように貢献できるでしょうか?
4. 私たちは、高齢者が日常生活の技術的要求に対応できるように、ユーザーフレンドリーな情報をどのように開発し、普及させることができますか?

 

まとめ

82歳の若宮さんが国連に招待された理由は、高齢者を含む全ての世代がデジタルにアクセスし学ぶようにしないと、高齢者の意見が世界に反映されないようになり、平和が実現されない、という問題意識が動機となっています。

これから、日本もどんどん高齢者層の人口が増えてきます。

下記でそのようなことを述べたばかりでした。

「パワーカップルは結局貧乏人蹴落として自分の子を保育園に入れたいの?」を読んで思うこと - orangeitems’s diary

高齢者はデジタルにアクセスできないというのは、正直「思い込み」であって、私も生涯、バリバリのデジタル第一線でいたいなと思ったニュースでした。