orangeitems’s diary

クラウド専任の40代インフラエンジニアが書くブログ。新規事業マネージャー。20世紀末の就職氷河期スタート時にIT業界に文系未経験で入りこみそのまま生き残った人。

DXは余裕がある会社じゃないとできない

 

どの会社も、お金を稼いでいる事業があって、その事業を回している社員がいて、まわっている。事業が行われている場所を現場と言って、いろんな仕事の要素、タスクがある。それぞれのタスクは依存しあっていて、ワークフローになっている。

人だけで事業になることはあまりなくて、物を仕入れたり、加工したり、受け渡したり。物理的なことじゃない場合もありサービスと呼ばれる。客が現場に来て、お金を支払って帰るんだけど、物理的には何も変化しない場合もある。また、最近はデジタル技術でいろんなことを自動化するので、人が中心だった現場はどんどんデジタルがまわすようにもなっている。人とデジタルは今うまくせめぎ合っているけれど、全部デジタルになったら人の働く場所はなくなる、という人だっている。いや、いた。今はそんなこと言う人は減っている気がする。

こういう、会社という現象の中で、現場が直接事業改善できるかって、私は違うと思う。今まさに客が来るかもしれない現場の中で改善しようって言ったって、現場のワークフローがどうしても優先されてしまう。

牛丼屋をやって、牛丼屋のオペレーション改善をしようって会議を、店舗の中で店員が話し合いながら仕事したってうまくいくわけないじゃないか。

だから、事業をわかっているけれども現場の責任がない、ワークフローから外れている人からなるチームを作り、ノイズのない環境で働くことが前提となる。

そのチームは、事業が目指すところの売上や利益の達成を、月単位の短い期間には求められない。数年単位ではもちろん効果達成は求められるが軸が違う。したがって、広い視野に立ちビジョンを構築し、そのために必要なメソッドをかき集める。

さて、この時にこのチームに、デジタルに対する知識が無ければ、何も浮かばない。現実的なデジタル利用・デジタル投資のプロセスを立案できない。現場を知っているが、それをデジタル利用したらこんなに便利、の絵が書けない。

今、大企業が一生懸命デジタル分野へのリスキリングを進めているが、まず第一のターゲットがこの経営企画の分野に所属する人たちに、である。彼らが内製でデジタル実装するというわけじゃない。もちろんコンサルやSIerの手を借りるのであるが、彼らが話す言葉を持たないと、会議もままならない。

一方で、いくら企画部門がデジタル化を試みても、今度は事業側の、現場の人たちがデジタルについていけないと混乱してしまう。だから初歩の初歩を現場に学ばせる。これが第二のリスキリング対象。

こんな感じで大企業が回っていると思うが、この絵を踏まえると、絶対に現場単独ではDXはできないのである。現場が機能し全員の稼働が高いことと、これからどうするかを考えることがいつもぶつかる。そしてデジタル化するための隙間がないまま、ベンダーに言われるまま、ボケたソリューションを買ってしまい、これが我が社のDX、となってしまうのがオチであるが、そんな事例はたくさんあるという事実である。

だからこそ、中小企業のDXがなかなか進まない。手が余っているヤツがいれば、現場を手伝えの世界が多い。人手が圧倒的に足らないから、考える隙間がない。できる人ほど現場にいる。かつその人が考えた仕組みだからこそ、第三者が変えにくい。

どこかで、現場を誰かに託し、DXなり改善なりだけを考えるポストを作る必要がある。それには余裕が必要だ。そうやってDXを考える必要がある。「ながらDX」ほどうまくいかないものはない。