orangeitems’s diary

40代ITエンジニアが毎日何か書くブログ

オープンソースフリーライドが通用した10年前

 

オープンソースがまだ華やかだった頃と言えば2010年辺りか。

2010年ごろは、CentOS5からCentOS6あたりに切り替わったころで、もうOSと言えばこれだった。だってタダなんだもん。しかも実質Red Hat Enterprize Linuxと同じ機能・品質なんだからこれで顧客提案したら、顧客も喜ぶ。なんせタダだから。

しかもCentOSを入れてしまえば、中にWebサーバーやらDBサーバーやら付いてて、しかも堅牢に動く。ハードウェアさえ手に入れてしまえば、ソフトウェアみんなタダで、何かあってもアップデートは降りてくるし、こんなの最高じゃん、ってノリだったよ、当時は。

お金があって、慎重なお客様だけRed Hat Enterprize Linuxにしてたね。もちろん有償サポートを受けられるのはいいことだけど、ちゃんと動いていればサポートすらいらないもので。

結構、それでオープンソースを引っ張りまくってソフトウェアを無料にして、その分安くしながらシステム構築した人がたくさんいるだろう。そしてまだ現役で動いているものもあると思う。CentOS7のサポートが2024年6末まであるからね。

しかしその現状も、ひどいね。

以前から言われていたけど、オープンソースコミュニティーに対して1円も出さずに、また貢献もせずに、その成果物をパクって自分の作品の一部にしてるってこと。つまりフリーライド、と言われることをかなりの人がやってきたことで、今オープンソースの世界は大きく変わりつつある。

最近「BSLライセンス」ってのが有名になりつつあって、ね。

 

cloud.watch.impress.co.jp

 Dadgar氏は「自由にソースコードが利用できるようにすることで、開発者が自由にダウンロードし、調査し、自分たちの問題を解決するのが容易になる」という信念から、製品をオープンソースにすることを決めた。それによってクラウドプロバイダーらとの密な提携が可能になり、共同顧客やパートナーにメリットをもたらしたと、振り返った。

 だが、その一方で、「実質的な貢献をせずに、純粋なOSSモデル、OSSプロジェクトでのコミュニティの作業をうまく利用するベンダーも存在する」と述べ、「オープンソースはイノベーションを複製し、既存の流通チャネルを通じて販売することへの障壁を減じてきた」としながら、「商用オープンソースモデルは進化する必要がある」と、今回のライセンス変更の理由を説明した。

 

この記事だとあいまいだけど、オープンソースベンダーもとにかく野放図にしないぞ、という意図は読み取れる。

BSLの色んな記事を読むと、やりたいことはAWSのようなクラウドベンダーが、オープンソースコミュニティーに何の見返りもなく自社サービスに取り込んで、自社のエンドユーザーにお金を取って使わせることを止めさせたいように見える。

オープンソースコミュニティーの不利益となる企業には明確に使わせんぞ、ということである。

例のCentOS8の突然の終了や、AlmaやRockyの混乱などを見ても、もうオープンソースで昔のようにフリーライドしようとしても、色んな条件でできなくなりつつある世の中のように見える。

ま、そりゃそうだろう、って。

今までがおかしかったよね、作った人がいる成果物を、横からタダでそのまま持って行って、お金儲けする人がいるってのは・・。

 

だから、これから・・きっとソフトウェアの値段も円安でものすごく高いとは思うけど、だからと言ってオープンソースで無料で・・なんて発想は始めから止めたほうがいい。どのオープンソースだって最近は色々な制約が入っている。

企業ユースだと、無償版はコミュニティー版で商用利用に大幅な制限あり。ちゃんと使うなら有償版を買って保守を結んで・・みたいなプロダクトも多くなってきた。それなら、初めから有償ソフトウェアと並べて比較した方がいい。それがよっぽど健全だと思う。価値とお金がセットじゃないと、作らされた方が一方的に損をするだけだからね。