orangeitems’s diary

クラウドで働くインフラエンジニアの日々の感想です(ほぼ毎日更新)。

「もうタダ働きはしない」という思いへの考察

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オープンソースの開発者が企てた一件、なかなか興味深くて。

 

www.itmedia.co.jp

 オープンソースのライブラリ「colors.js」と「faker.js」の開発者であるマラック・スクワイアーズ氏が、それらの最新バージョンに無限ループ処理を仕込むなど、意図的な改ざんを加えたバージョンをリリースしていたことが分かった。

(中略)

 マラック氏は2020年10月26日に「アパートが火災に遭い、全財産を失った」とツイートをしている。11月には、全米の総収入上位500社のリスト「Fortune 500s」の企業とその他の中小企業に対して「もうただ働きで支援をするつもりはない。これを機に、私に6桁ドルの年間契約書を送るか、プロジェクトを分岐させて他の人にやってもらうかしてほしい」と表明していた。

 

確かに、タダ働きはしたくないですよね。

目の前で、何千万回もダウンロードされているのに、自分にはお金が入ってこないと。それで、何かバグでもあれば自分が修正しなきゃいけない。むしろバグがあることに批判まである、なんて。

例えばこのブログも、読んでる人はタダです。そして私がこうやって更新したとして、何にも得られなかったら、こりゃタダ働きなのかもしれません。ただ、私の場合は一応GoogleアドセンスやAmazonアソシエイトのリンクを貼ってますから、いくばくかの収入にはなりますから、タダ働きとは言えないですね。

バズったらそれなりにお金も増えるし、モチベーションを保てるからこそ続けていられます。

しかし、オープンソースの場合はそうはいきません。

建てつけとしては、オープンソースは開発物そのものは無料だけど、それに対するメンテナンスやサポートの方に価値が発生するので、それを商売にするというのが一般的なモデルだと思います。

かなりの大企業も、オープンソースを自社のプロダクトに取り込んで、サポート込みで売ってたりします。そういう企業は儲かった場合、オープンソースの管理団体に援助することで開発者に還元します。

ですから、オープンソースとは2つの側面があって、

①ソフトウェア企業が支援するオープンソースプロジェクトが作成したもの

②個人が独自に作成したもの

この2つは別物と考えた方が良いと思います。

なお「①」であれば全部が経済的にうまく行く、なんてこともありません。開発者が、自分が作ったオープンソースに対してサポートする企業を、自ら作ることがあります。それにも関わらず、第三者の企業がフリーライド的に利用しサポートも引き受けてしまったために、オープンソースは広がれど、サポートを受注できない。なんてこともあります。具体的な例は割愛しますが。

「②」についてはこれは、なかなか支援が受けるのは厳しいものがあります。GitHubにもビットコインのウォレットが置いてあって、支援したい人はこちらへ、なんてことが書かれているのを見たことがあります。でも、誰も支援しようとしないから、今回のようなことが起きたというわけですよね。

「①」に関してはビジネス寄りなので、「②」について思いを馳せてみます。

結構、バズること自体は、開発者にとって刺激的なわけです。私はGitHubでこんなにアクセスされるライブラリーを作ったんだぞ、と言うと一部の転職活動には有利でしょう。ただ運用するとなれば、もっと地味な活動が必要です。日々日々、アップデートや修正をかけていかねばならず、バズったからこそいろんな要望も飛び込んできます。

この辺りで心折れるでしょう。何でこんなことやってるんだっけ、と。

こういう話の流れって、日々日常でもあります。世の中にはタダ働きみたいなタスクがいっぱい落ちています。ボランティアや社会活動などの言葉で括られることが多いです。お金抜きで、何か目的を果たすために行動を起こすこと全般です。

お金が発生しないことでかなりの自由を得ます。お金をもらっているわけでもないので責務も発生しません。好きなことをする第一歩としては良いでしょう。なかなか、実績もないうちからお金を発生させて責任を負うのはこちらもリスクがあります。

ただ、始めたその方法をずっと、ず~っと続けるのは、これは結局価値が生まれた後、それを捨て続けるのと何ら変わらなくなります。タダ働きの所以です。価値はあるのに対価がない。

掛け算を、a x bとするとき、aは客数です。bは対価です。いくらaを増やしたところで、bが0なら、いつまで経っても0のままです。

ですから、楽しみでバズるまではいい。しかし、そのフレームのまま続けるのはやっぱりタダ働きになると思います。

まずはタダでやって手応えを得るのは良い。しかし、そこからどうやって最終的にマネタイズするかというのは、これは曖昧であってもはじめのうちからイメージを作っていかないと、どこまで行っても0に近い結果になると考えます。

今回のようなマラック氏のやり方は、今まで作って来た価値に対してもったいないな、と思う反面、誰にでもある意味、ワーキングプア的な状況になることはありえるんじゃないかな、と思います。そうやってタダ働きしている人、世の中にたくさんいますからね。仮にバズったとして、そのとき考えればいいや、くらいに思っているのかもしれませんが、意外とその後のマネタイズ、大変なので、むしろ始めるときに考えておくべきだと思うんですけどね。