orangeitems’s diary

40代ITエンジニアが毎日何か書くブログ

コスト削減の次に来ること

 

最近の経済記事を見ていると「コスト削減」が踊っている。これまでは成長のための投資や仕組み作りに奔走していたように見える。ところが金利が高くなって安くお金が調達できないので、その分今まで築き上げて来たビジネスモデルを見直し無駄を徹底的に省く。簡単なところだとレイオフなのだけど、人員削減だけではなく無駄な事業を止めて成長している場所に配置転換したり、仕入れをより安価な企業に切り替えたり、アウトソーシングしていた事業を取りやめたりと、試行錯誤して利益を創出した、というのが2023年の状況なのだと思う。

 

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米テクノロジー大手の業績が回復傾向にある。アップルなど5社の2023年7〜9月期の純利益はそろって増益を確保した。人員削減を中心とするコスト削減が寄与した。5社合計の時価総額は直近底値の22年末に比べ5割上昇し、約9兆1000億ドル(約1370兆円)まで回復した。

 

コスト削減による利益確保は、私もやったことがあるが結構楽しい。いろんなことを問題視し、削ったり変えたりする。自分は権限があるな、なんて勘違いする瞬間である。昔、政治の世界で「仕分け」というのが流行ったけど、なぜうまく行かなかったか。それは、削り過ぎるからだ。削った時は確かに利益が生まれるのだけど、その次に利益を生む仕組み自体を削ってしまう。まだ芽が出る前でコストがかかっていた事柄を次々と切り捨ててしまうと、結果として未来の利益を削ってしまうことになる。

コスト削減する中で、負の感情が社員や関係者の中に生まれ、会社はわかってない、今は良いが未来はないぞ、と利益を引き換えに雰囲気を悪くしてしまう。

 

私自身一度それで失敗のような経験をしたことがあるし、その反省した。コストを削減するようなことをそもそも生まないこと。小さな改善を繰り返すことにより大きな改善(コスト削減)をしなくても済むように日々心掛けた。放置を長い時間続けることこそが、コスト削減の機会を作り出す。細かく細かく日々変えて常に最適化していくことの連続を文化で生み出せば、そこにいるメンバー達はそれが文化だと思うようになる。無駄につながる企画はそもそも通さない。緩いことを次々とやって成功するものだけ残すと言う戦略は、状況が変わると次々と潰さざるをえないから、そもそもやらないほうがマシ、である。

 

さて、この「コスト削減」が踊ってしまったこともあり、次は革新的な事業を行うための伸びしろのようなものも削減され、いよいよ新しい動きが減り事業が保守的になり、価格戦略や販売戦略ばかりが前面に押し出されるような気もする。そうなると、これまでの魅力的なサービスの一部が削られたり整理されたりして、また利益を生み出そうとするから、たいていここからジリ貧に向かうのが私の感覚である。

いよいよ人間界が、「もう成長するネタがない!」となったときには不況となるのが定説だけど、果たしてAIは救世主なのか。それともブームで過ぎてしまうのか。ギリギリの状況が透けて見える中、ひとまず共通項として見えたのが「コスト削減」だった。ということは、各社今、コスト削減がんばってるんだろうね。円安で物価高、ということで。