orangeitems’s diary

クラウドで働くインフラエンジニアの日々の感想です(ほぼ毎日更新)。

コロナ下の奇妙な祭りが終わる日も近い

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会社員として売上や利益の数字合わせを長年やっているとわかるのですが、とても利益が出ているとき、もしくは出そうなときにそのまま計上するのは賢くありません。なぜかというと、まず、利益はそもそも課税されます。すべてが手元に残りません。また、今年度で過大に利益を出すと、じゃあ来年度も!と変に期待をされハードルを上げることになります。したがって、利益のうちいくらかは研究投資や設備投資、マーケティング費用などにまわし、あえてお金を使って利益を下げるのが常とう手段です。どぶに金を捨てるのではなく、将来の利益につながるかもしれない消費を行います。例えば大量に広告を打ってブランド力を上げれば、来年度は何も活動しなくても受注が増えるかもしれません。現在の主力商品の次世代開発にお金をたくさん使うことで、来年稼いでくれる商品ができるかもしれません。税金でそのまま取られるよりよっぽどマシ、という戦略です。Amazonが長いこと利益をあまり出さず投資に廻し続けたのは有名な話です。

さて、コロナが始まる前は、この「過剰な利益を打ち消すための投資」によって、たくさんの研究開発がIT各社で行われ、その成果によって急激にIT分野が進化してきた、と見ています。明らかに儲からないだろ、みたいなプロジェクトが乱立したのですが、無駄に終わったかというとそんなことはなく、むしろ成長エンジンとして成立していたと見ています。たくさんのベンチャー企業がアメリカで生まれていたのは同じ理由で、社内だけではお金を使いきれないので、社外に目を向け未来に利益を生む赤字企業にお金を注ぎ込むためでした。

しかし、コロナは起きました。各社はどうしたか。利益は目減りします。したがって、これまでの無駄な支出を抑えるようになります。原資であった過剰な利益が無くなるのですから当然です。再度まとめてみると、

・研究開発にかかる費用(人件費、不動産)
・設備投資(ハードウェア)
・ソフトウェア費用、サブスクリプション費用
・他企業への出資

昨今、いくつかの企業が四半期決算を出していますが、利益を順調に出しています。コロナ下でも強い!、なんてもてはやされてきましたが私は中身は随分無理をしていると思っています。これまでかかってきた上記を削って出しているのです。自社の評価を落とさないために。ですから、コロナ状況下でも利益が継続されるというので、一部の企業の評価が相対的に向上した、というのが、現在発生している「奇妙な祭り」の本質だと思っています。

しかし、残念ながら、この奇妙な祭りは一過性だと思っています。今出している数字は相当に無理をして各社が捻出しています。かつ、出費を控えた結果は時間差があります。この先1年分のような形で購入するものが多いので、いきなり出費を減らすのではなく遅れてやってくるからです。読者も、自社が研究開発プロジェクトを凍結したり、次年度にリスケしたり、ソフトウェア保守を打ち切ったり、削減したり・・なんて事象に遭遇しているのではないでしょうか。MicrosoftがAzureの成長率が市場の予想を下回り売られていることも一つの事象の現われだと考えています。

 

www.bloomberg.co.jp

米マイクロソフトの4-6月(第4四半期)決算では、クラウドサービス「Azure(アジュール)」部門の売上高の伸びが市場予想を下回った。新型コロナウイルスの流行で企業がインターネットサービスへの依存度を高める中で、同事業の高成長が続くとの見通しが鈍った。

 

クラウドサービスは、いつでも契約できるために需要増を掴みやすいのですが、逆に需要減も掴みやすい。特に中小企業はコロナの長期化に悩まされており、本業自身が伸び悩んでいるので、固定費を減らすことに躍起です。

 

コロナ後の株式市場をけん引してきたハイテク株も、結局はこれまでのバッファとなっていた投資部分を大きく削ったことにより利益を出しているだけで、遅れてやってくるユーザー側の固定費削減の波をかぶれば本業の減速は避けられないのではないか、と考えています。私が今懸念しているのは、ITの進化が本当に今止まっていることです。何かよくわからない新技術が数年後に市場を席巻する、なんてことを十年ほどIT業界は続けています。しかし、そのキーとなる技術が今年に入って全く現れていません。当然のことながら研究開発できない状況になっているから、ですが、2020年のうちはまだこれまでやってきた貯金があると思います。しかし、貯金はもうすぐ底をつくのではないか。どこもかしこも余裕がなくなるだろう。過剰部分があれば瞬く間にリストラされていくのではないか。

今後、DXのような新しい分野への積極的な投資は進まず、原価削減のような消極的な投資の方が好まれるようになるのではないか。そして技術の足踏みが始まりそうだという予想をしています。