orangeitems’s diary

40代ITエンジニアが毎日何か書くブログ

仕事をあえて任せない判断 パワハラの加害者にならないために

 

新しい部下が来ると皆うれしいもんだから、張り切っちゃうよね。

教材を用意したり、時間を作って指導したり、こまめに進捗を聴いて把握したり。来た当初は部下も緊張感があるし、立ち上がりの仕事は簡単だし、うまくいく。受け入れ側も夢を見ちゃうから、ついつい期待しちゃう。

1か月くらい経った頃かな、こりゃおかしいぞ、と。お願いしたことがうまくできていない。これは伝え方が悪かったのかな、と悩みだす。あれだけ時間を使ったのにできないということは、もう一度同じ指導をしなければいけないのかな。一回目より念入りに、例えば自分がやっている姿を見せて、部下に把握させる。どうだ、これならわかったろう。

ここで改善するならまだいいが、それでも改善しないパターンはある。

むしろ、任せた業務がことごとく穴だらけで、部下の周りのメンバーや、最悪は取引先・顧客までが負担になってくる。その場合指導役たる自分自身の責任になってくる。どうしてあの部下は仕事ができないんだろう、もしかして指導方法が悪いんじゃないか。周りがそう言わなくても指導役たる自分は悩みを抱えることになる。自分はちゃんと仕事をしているのに、このままだと後進を育てられないヤツ、というレッテルを貼られてしまうかもしれない。

 

こういった、「できない部下」の指導役、に対するマネジメントは相当難しい。本当に部下が悪いのか。指導役が悪いのか。上段の書き方だと、部下ができないように見えるが、本当にそうなのかは実際なかなかわかりにくい。だからと言って指導役を変えることをすぐにやると、指導役が自信を無くす。ああ、自分がダメだったって判断されたんだ、って。もしくは、新しい指導役に「あいつはできないぞ」という圧力をかけてくる。人間社会は難しい。基本的に、指導役の変更はしないほうがいい。いいことが無さ過ぎる。

「できない部下」は、全く別部署に異動させても、たいてい騒ぎを起こす。結局は再現性がある。極論言えば採用した人の見る目がない。なのに指導役にされるというのは災害レベルに近しい。自分で採用したわけでもないのに育てろと言う命題を賜るわけだから。

そういう意味では、当初の「張り切り」こそがリスクである。まったくできる可能性もないのに、期待を投げかけたら、部下は受け止めきれずにエラーを起こしまくるだけなのである。

まずはごくごく簡単な仕事から。その結果を見て、徐々に出力を上げていく方法を取ることだ。それですら、ちゃんとできないことがある。それぐらい個人差は大きいと思う。簡単に、仕事は任せてはならない。

 

こういったできない部下を指導するケースに出会ったときに、冷静さを保つのは非常に重要だ。

できない、のであれば、どれぐらいできないかを定量化しておく必要がある。なぜなら、第三者に「この部下は異様に仕事ができない」というエスカレーションをするときに、エビデンスが必ず必要になるからだ。

かといって、エスカレーションしても対処してくれない場合もある。引き取り部署もないから、なんとか君の部署で見てくれ、と。

その場合は、エスカレーション先に報告をしながら、最低限出来る仕事だけを延々と与え続けるしかない。それでもできないのであれば、もはやギブアップするしかないが、部下にギブアップしてはならない。上司に宣言するしかないだろう。できないものはできないのだから。

これらのプロセスの中で、できない部下をどうにか変えようとして、声を荒げる、無視する、悪い態度をする、などのかけらでも見せたら、パワハラ扱いをされる。しかも告発するのはこの「部下」である。

自分は一生懸命に指導したのに、できないのは部下なのに、悪い者扱いされ、会社の総務部門から聴き取りを受ける時点で、心は折れるのである。

 

もちろん「できる部下」もいるので、全てを決めつけてはならない。心構えこそが大事である。仕事として対処しないと、思っても見ない状況で加害者に仕立て上げられてしまうかもしれないのだから。