orangeitems’s diary

40代ITエンジニアが毎日何か書くブログ

仕事をどんどん部下に引き継いだ後に起こること

 

組織を拡大するためには、トップの仕事はどんどん部下に引き継いで行くことが必要不可欠である。そうしないと受けた仕事が増えれば増えるほどトップが仕事の処理に埋もれて、品質は落ちるし、部下に仕事は降りないしでいいことがないからだ。単に難しいまま仕事を下したら部下も、技術的な問題で受けきれないかもしれない。部下でも理解できる形に監督、指導しながら、問題のない量を引き継ぐ。引継ぎするだけの部下の数を用意することと、引き継いだ後も丸投げにせず報告を聴きコントロールができるようにすること。そうやってビジネスは成長し、組織が大きくなっていく。

仕事の中心の人が引継ぎに積極的に取り組み、どんどん部下(味方)を得ながら、自分じゃなくても仕事がこなせる人を確保していく。自分が引き継いでいたのがそのうち、教育係や教育体制みたいなものを作り、自分が直接指導しなくても人材が成長する仕掛けを作っていく。

その後、トップは、部下たちを組織化し独立して会社に助けをほとんど求めなくても、自力で事業をまわせるようにする。きちんとマネージャーなりリーダーなりをアサインして、細かい問題や現実の運用ならトップに意見のお伺いをする必要も無い。そうなると、トップがするべきは、いくつか作った部下たちのチームの日々の成績とにらめっこするのが仕事になる。もし成長が落ち込むような事由があるなら、会社の主要人物と相談し、対応を決めていく。

そうやって組織は、会社は大きくなっていくのだが、ここで考えるべきことは、自分自身はどんどん部下に仕事を引き継いでいった結果、現場にはほぼノータッチでよくなる、ということだ。まぁ、トップが社内をうろうろして社員レベルにちょっかいを出しているような企業はほぼ大きくならない。「社員いわく、トップは毎日何やってるんやろ」、ぐらいの組織の方が、トップに依存することなく組織が成長しやすい。トップはむしろ、失敗の予想を常にしていて、穴がないかじっと見つめることの方が仕事となる。みんなうまくやれよ、とは思うがいつも落ち着かないのは、自分が手掛けてやる仕事ではないからである。

本当に部下連中が成長しきったとすると、トップはやることが無くなる。教えることももうない。部下たちで全部まわせる。そのときトップは単なる承認マシーンになってしまうのだろうか。現場の仕事はトップがほとんど絡まないのであれば、決済事項に承認を押すぐらいしかなくなる。

部下たちを信頼しています、と、ノールック承認ばかり続けていると、そのうち仕事をしていないことがどんどん部下や会社にバレていく。あのポジション、もういらないんじゃないですか、と自分が知らないところで策略が練られているのかもしれない。

働かないオジサン、と言う言葉がたまにささやかれるが、案外この引継ぎ、のタイミングで醸成される役割なのかも・・と背筋が凍ることがある。部下を育て、組織を大きくするはいいが、し終えたことでお役御免。結局は自分の退場する道を自分で作って頂け、となったらいけない。単に引き継ぐだけでは、自分の仕事が空洞化してしまう。過去の功績なんて持って3年なので、何もしないポジションというのは自分を危険にさらす。

部下の引継ぎに並行しながら、自分しかできない役割を自分で育てる必要がある。部下に追いつかれないぐらいの高度な判断を常に示し部下に信頼される必要がある。

一方で、引継ぎを遅らせて自分に属人化する仕事を守り、自分が処分されないようにするのは私は「ダサい」と思っている。自分のめんどうくらい、自分が見切れないとね。上に立ったとしても油断しないことだ。会社を出るその時まで。