orangeitems’s diary

40代ITエンジニアが毎日何か書くブログ

脱マイクロマネジメントの勘所

 

マイクロマネジメントとは何だろうか。

部下が3人いるとする。全員未熟だ。いろんなことを指導して一人前にしなければいけない。それぞれ習熟度は違う。同じことを3人に伝えているとわかっていたり、わかっていなかったり、わかっている振りをしたりで、何とも非効率だ。しようがないので一人一人指導するも、同じことを何回も教えねばならず、自分の時間が取られるばかりだ。そのくせ、反応も悪い。

彼等は基本的にわかっていないので、彼らのやることを一つ一つ見て指摘する。ようやく様になって来たものの、今度は彼らが自主的に動かない。やれと言ったことはその通りやるが、それ以上はやらない。仕事が振ってくるのを待っているし、目の前に何か起きているのは明らかなのに反応せず、私の指示が来るのを待っている。教えたはずなのに。なぜやってくれないのか。

マネージャーはいつもいらいらしている。部下ができない仕事は全部自分にまわってくるし、部下も受け身。部下に細かい指示と指導をしつつ、マネージャーは自分にしかできない仕事をやらねばならない。これじゃいつまで経っても楽にならないし、指導しても響かない。もっと部下は私に提案して、仕事をより良くしていけば彼らももっと楽になるのに。必要なことは全部教えているのに、教えたことが身に付いていない。これじゃいつまで経っても自分は楽にならず、部下も育たない。なんとか私がまわしているが、私がいなくなったらどうなってしまうだろう。

マイクロマネジメントをする現場はたいてい、こんなことになっている。細かく管理するあまり部下は委縮し新しいことをすることが怖くなる。新しいことをやったところで、マネージャーから否定されるのがオチだ。マネージャーができるのはわかっているので、自分ごときが新しいアイデアを出したところで、もっと素晴らしいマネージャーの意見で上書きされてしまう。それなら何も言わないで従っておいた方がいい、そんな思考が蔓延する。また、マネージャーの言っていることが高度過ぎてわからん、というのもある。質問するにも自分のレベルが低すぎて、的を得ないだろうし、なんでそんなこともわかっていないのとまた、怒られるかもしれない。

 

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マイクロマネジメントについて、私はよくわかっている。なぜなら私こそ、マイクロマネジメントを数年やっていたからだ。マネージャーとして苦しんでいた。教育にたくさん時間をかけたし、フォローも人一倍やった。けれども結果は出なかった。

どうやって脱マイクロマネジメントをしたか。をまとめてみる。

 

①直接の教育はしない

有識者が、未熟者に指導するのは非効率が多い。何かを教えようとすると、教えるために必要な前提知識から教える羽目になる。いつまで経っても話が進まない。それより、そんな前提知識、自習して来いとますますストレスだけが溜まっていく。

未熟者への教育は、未熟者を脱したばかりの若手にやらせるのが良い。なぜかと言うと、人に教えることで自分自身も学ぶことが多いからだ。あやふやな部分があると教えられないので、復習になる。またわかっていない人の気持ちをまだ覚えているので、未熟者の気持ちがわかりやすい。

未熟者も、一つ上の先輩の方が気軽に質問ができるし、がんばれば追いつけるという感覚がある。

 

②有識者に指導する

ある程度育って、マネージャーと対等に会話ができる有識者を部下からピックアップし、彼、もしくは彼らと集中的に話をする。自分の言葉がダイレクトに伝わる人を味方にする。

分かっている人を組織に増やすことにより、自分が直接部下に指導しなくてよくなる。もし組織に有識者がいなければ、中途採用なり、他の部署、他の会社と提携するなり、外から人を引っ張ってくる必要がある。

高度な指示は、有識者にしか響かない。未熟者を手足のように動かすのではなく、有識者と重要事項を共有し、組織の方向性を幹部で決めていくことが重要だ。

 

③外部に教育を委託する

教育に対して必要な時間は、組織でかなりの重荷になる。教える方は時間を取られる。ビジネスそのものの情報は現場にしかないのでしようがないが、技術自体については本来は自習せい、とは言いたいがたいてい何を勉強していいかもわからず、自習しても効率が悪い。

外部に初期教育を請け負う会社はたくさんあるので、送り込んで委託してしまうのが良い。お金がかかるとは言うが、社内で教育したところでお金はかかる。であれば教育はお金で解決し、その浮いた時間をビジネスに使うと言うことが良い。

 

④マネジメントはたくさんの眼で

マネージャーがたくさんの部下を見る、という図式だと、2つの眼だけで部下全員の挙動を見なければいけなくなる。緻密さがなくなるし、思い込みの判断がどうしても多くなってしまう。

チームを複数編成してリーダーを立てたり、業務全体を俯瞰するサブマネージャーを別途置いたりして、冗長にマネジメントを配置すると、色んな人が組織の状態を考えるようになる。同じ組織を見ているのに、人によって見解が変わったりして面白い。これを定例会議で摺合せして、方向性を精緻にしていく。

トップのマネージャーは、全体の方向性だけ気にしていればよくなる。細かい活動は個々のメンバーに任せ、必要なことがあればすぐに連絡するエスカレーションルートを整備することが重要となる。

 

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今回は少し長くなってしまったが、脱マイクロマネジメントは、なかなか簡単にはいかない。やると宣言したところで、なかなか部下は付いてきまい。

辛抱強く組織作りをして、会話を重ねていくしかない。その醸成には、ぜひオフィスに集まって一緒に仕事をすることをお勧めする。文化を作るためには人々の意思統一が重要で、なかなかリモートでは以心伝心が難しい。

逆に、組織文化が醸成してしまえれば、リモートを一部取り入れてもスムーズに動く。一度脱マイクロマネジメントしてしまえれば、組織が自主性を持ち、自分の手を離れても成長していくのが実感できるはずである。