部下に、なぜこうしない。前も言ったじゃないか。
と首から下まで言葉が出かけることがたまにある。
昔なら、自由放出していた。その方が部下のためになると思っていた。そして自分のためにもなる、WIN-WINだ、と思っていた。
でもこれ、「親から勉強しろ」というのとあまり変わらないんだよね。勉強しなきゃいけないのはわかるけど、そんないちいち言うことないでしょ、みたいな話に展開しかねない。
それが親子ならまだ血のつながりで何とやらだけど、相手は他人である。会社がたまたま同じだった関係であり、一緒にいることを決めたのは自分たちではない。だからこそ、内心何を思っているかわからない。
結構、この状況は特に上司にとって、高度な状況なわけだ。
・注意して、嫌われてでも、部下の今後の成長に期待する
・注意しないで、嫌われないで、部下との関係を優先する。
これを、人を見て上だったり下だったりすると、それでも評判は悪くなる。あの上司は人によって対応を変えて、えこひいきしている、と言う状況は人間社会で最もめんどくさい一件だと思う。
私は、裏表がある自分自身が嫌なので、「注意して、嫌われてでも、部下の今後の成長に期待する」を選択してきた。それはそれでわかりやすくて、私が仮に上司がいるとしたらそうあって欲しいと思うのだけど、今の時代これでは通用しない、ということを何度か痛感している。
かといって、注意しない、でもない。
注意しないで飲み込んでばかりだと、上司としての組織を統制する仕事自体が脅かされる。部下のご機嫌ばかりうかがって上司が何もしない組織は、崩壊する。部下同士が調整できなくなる。部下同士に利害関係があるときに上司が判断する、ということが機能しなくなる。
注意するんだけれども、直接的にはしない、というかなり戦略的な方法を知り実施し始めたのはまだここ数年くらいだ。そうしないととても人間社会は動かせないのもよくわかった。
具体的な方法を上げていこう。
◆注意するなら
・注意したい部下以外の同僚が見ている場では、極力注意しない。
・1 on 1で注意するのも実は危険。会議室に呼ばれて直接指導を受けるのは、部下に取って結構ストレスになる。
・チャットのDMなど、こっそり伝えると良い。
◆それとなくわからせる
・全員に周知する形で知らせるが、誰に注意しているかはわからなくする。
・ルール・仕組みを変更する。結局は部下がそれをできないようにする。
◆見本を見せる
・同様の状況が発生した時に、代わりにやり方を見せる。その際、注意したい部下に対して一緒に作業すると指示し、確認をしてもらう。
こういった方法、かなりまどろっこしいのだけど、部下に直接指導するよりは何万倍もリスクを回避できている。
たまに、直接指導して欲しいっす!みたいな、昭和平成タイプの人もいるので、そういう人にはたんまり直接指導してあげればいいと思う。ただ、もうだんだんとそういうタイプの人は少数派になってきている。
地雷を踏む人が減りますように。