orangeitems’s diary

40代ITエンジニアが毎日何か書くブログ

甘やかすマネジメントが流行している

 

最近のコンプライアンス至上主義みたいな状況を考えると、世のマネージャーはきっと、いろんな武器を失ったと思う。叱責すればパワハラ。冗談を言えばセクハラ。価値観を語ればマタハラ。そのほかにもたくさんハラスメントは落ちているので、よくよく勉強したほうがいい。知れば知るほど、発言や行動は慎重になっていくはずだ。

現在のレギュレーションを踏まえていくと、きっと指導したり注意したり、ということについて、相手を傷つけないようにする前提がある。

「なんでこうしないんだ!」

はもう0点である。そもそも「!」は仕事にあんまり使うもんじゃない。

上司の「!」は、凶器にもなる。言わない方がましだ。

「なるほど、こうすると、もっとよくなるね。」

と伝えないといけない。

窮屈だが最も安全だ。安全を続けるしかマネージャーにはないのだ。世の高級官僚は失言で一発退場だが、一般市民も油断できない。安全を積み重ねることのほうが、部下を指導できるかどうかより、全然大事なのである。明日を生きて行かないといけないのだから。

体調を崩した部下がいた。無理をしたらいけない。完全に回復したらおいで。そうやって私は優しい言葉をかける。もちろん「忙しいから困るな。しょうがないな。」と言ったらもはやハラスメントの部類だろう。ただ、昔のマネジメントでは体調不良に厳しくて、多少熱があっても出社するだの、完全に治ってないけど仕事が溜まっているので休まないだの、ひどい状況だったのをおぼえている。いつの間にか時代は変わった。

ただ、結果として、体調を崩した部下はすぐ復帰した。私は本心から、数日休めばいいのにと思ったのだけど。部下の気持ちを量るに、忙しい時に迷惑をかけて休むことのほうが落ち着かない、とでも思ってくれたのだろう。きっと。その心がけ、えらい。教えられることでもない。その思考、尊敬する。

そう考えると、甘やかすマネジメントって、部下を甘やかすことにならないんだな、と。むしろ上から抑えつけるより、徹底的に信じて、裏切られて信じて。信じて信じて、ってやっていると、部下も「うーん、毎回裏切るのもつらいな」と、がんばってくれたり勉強したり、いろいろ期待に応えたいとがんばってくれるような気も、する。わからないけど。だから、もう、無制限に信じ続ける。

なぜ、こんな甘やかすマネジメントについて類推しなければいけないかというと、自分が甘やかされたことが一切ないからだ。他人にも、自分にも。むしろ、上司に甘やかすかどうかの判断を与えたら、恩を売ることになるので、常に仕事については自分に厳しくあろうとした。だから、自分がマネジメントをする立場に立つと、人にも厳しくあろうとして、過去失敗したこともある。いくら自分のポリシーって言ったって他人に要求するもんじゃない。だからもう、私は他人について、今の時流にも乗って、甘やかすマネジメントをするようにしている。そしたら、結果は悪くない。

他人から見たら、あの人は自分にストイックだけど、人には優しいよね、と現時点では見えていると思う。それは、過去の経験に学び、その結論にたどり着いただけであり、始めからそうしたわけじゃない。初めはハラスメントへの注意だったけど、そもそも人って、人に言われて強制的に動く性質にない。自主的に主体的に動く生き物だ。だから、他人からは、甘やかすぐらいでちょうどいいのかもな、特に身内に対しては。そんな結論に達している。