orangeitems’s diary

40代ITエンジニアが毎日何か書くブログ

いやそこまで言語化できてないから

 

人を育てなきゃとは思うけど、じゃあ何を自分は知ってるんだと。自分が知っていることが教科書になってて、その教科書通り教えればいいんだったら、私から教わるより教科書読んだ方が速いよね。つまり教科書になんかなっていない。

システムなら設計図のようなものがあって、設計図の通り作ればシステムは再現できるんだけど、AIだとそうはいかない。同じものは二つと出来ない可能性もある面白い仕組みだけど、人間だって似たようなもの。私の設計図など存在しない。

いや一応、引き継ぎ書みたいなものを作れと言われたら作るけど、全部の知識を言語化できるかっていうとそりゃ無理だ。自分が何を知っているかは自分は知らない。人って面白いよ。だから、人は稀に自分を過小評価したり過大評価したりする。私だって転職する前は素人勉強で現場から学んできただけの自分が、他の立派な会社に転職しても通用するわけはないと思ったけど、それは違った。通用するところに行けば通用するので、もし今の自分の環境が気に入らないなら、トライだけはするもんだと思う。もしかしたら自分の知らない自分が高い評価を受けるフィールドがあるかもよ。

本人すら知らない本人の知識って何よ、ということだけど、色んなことが起きた時に、当たりを付ける力。それをどう切り分けて原因までたどり着き、そして何をするかまでを編み出す一貫したプロセスと、そのスピードと正確性。

そんなこと言ったって、これを一字一句言葉で伝えると「何それマウントですか」みたいな話になる。どうやってやるのか、それを。それがわかれば苦労しない。いろいろな経験や知識と、計算の仕方みたいなものの合成で、それって人に教えられるものなのか。

でも、今の仕事ははっきりとそれに依存しているし、他にできる人を作らないといずれ困るだろう。私が永遠にいることはありえないわけだし。

一番何がこの言語化できない知識を伝えられる機会になるかって、やっぱり、私が作業している姿をじっと見てもらうことなんだよね。ちゃんと言語化しながら仕事するけど。言葉も聴いてもらいながら、何を私が思ってどうしているかを見て欲しい。そうすると、ああこんな方法があるのか。こんな考え方があるのか。いちいち勉強になるはずだ。教科書を読むより動画で見た方がわかると言うのはそういうことだと思うが、実際にやっている人の思いを含めてプロセスを見ると、あまりにも未熟者とベテランには差があることに気が付くはずである。

一生懸命、走る練習をしていたのに、ベテランは自動車だ電車だバスだを駆使してたみたいなぎこちなさがある。たどり着くと言う目的は同じだけに、ちゃんとプロセスまで見て欲しいと思う。そして私がなぜこのプロセスを選んだのかにまで理由がある。

じゃあ、そういうのまとめて文書にしとけばもっと効率よく伝達できるのでは?、という話になるが、これがまた、問題が降ってこないと「この技術を私が知っている」ということを思い出せないし、いつ使うのかも伝えにくい。使うべき時に使っている自分を見せることを頻繁にやることが最も効率がいいんじゃないかと。

そう考えると、すし屋に弟子入りして、何年かは大将の仕事っぷりを後ろで見てるってのは、これはこれで似たような話だな、と思う。専門学校でカリキュラムに沿って学んで半年で卒業するみたいな話が合ったけど、あれはまさにIT業界でいう所の「ロースキル」なんだよね。

今、ロースキルに関してはもう十分。ロースキルに関しては人が多すぎる。必要なのはそこから先。ハイスキルがいない。この部分はどうしても、今回の話のように、見てもらって真似してもらってって話が結構大きい。

だから、もし現場にベテランの人がいて、技術が欲しいのであれば、グイグイ行って欲しい。ある程度はベテランの人も許容してくれると思うよ。