orangeitems’s diary

40代ITエンジニアが毎日何か書くブログ

仕事が遅い人を見ていて

 

仕事が遅いなあ、と思うことがある。

遅い人に「遅いよ」というのは逆効果だ。足の遅い人に、「足遅いよ!」と言ったら速くなるだろうか。一瞬速くはなるが、おそらく次見たら元に戻っているか、もしくは怒られるのを恐れ、萎縮し出し、さらに遅くなっているかもしれない。もしくは走ることそのものに絶望し、逃げ出す前かもしれない。

仕事が遅いと言ったって、正確にやってくれる。正確に仕事ができるなんて、素晴らしいじゃないか。正確性すら超えられない人はスピードうんぬんの話にならないから、第一段階はクリアしている。正しさは知っている。

正しさは超えているがスピードが出ない。これは、正しさを担保するためにかけている時間・手間のようなものが多すぎるのだと思う。達人が感覚で、ホイッとやってしまうようなことを、毎回複雑な手続きを導入してしまう。手順書を作る。誰かにレビューしてもらう。問題がないか検証する。実施する。この教科書的とも言える「正しさの導入法」が仕事を遅くしてしまうとしたら、いったい正しさとはどこにあるのだろう。

私は仕事が彼の何十倍も早いので、私がその仕事を引き取ってしまえば一時の平和は訪れるものの、次もその次も、彼は仕事から逃げ続けるのか。そんなことはあってはならない。私も不幸だし彼も不幸だ。だから、双方で話し合って、どうやったら仕事が速くなるか調整し、合意し、行動しなければいけない。

ただ、きっとここでやるべきは、彼の足を鍛えて何倍も速く走れるようにすることではない。人をもっと増やして、仕組みとして仕事を速くする方法を皆で考えないといけない。彼のスキルアップに強くプレッシャーをかけたらきっと、「私はあなたではありません」ということになる。そりゃそうだ。経験年数も違うし、ね。そこで間違ってはいけない。

地道なスキルアップをしていく土壌は末永く作っていくとして、生産性を職場全体で上げていくためには、まず仕組みの見直しが重要。無駄なことが含まれているのに、大真面目にやっていることはあるかもしれない。それをベテランの目線で改善をうながしていかないといけない。後は人員の増強。一人の人物が急にスケールアップすることはないと仮定し、スケールアウト、つまり仕事に対する人数を増やすことで、生産性を上げず生産能力を増やす方法を取らなければいけない。

なんとも冷めた見方ではあるが、ほとんどの「自分に仕事が集まってくる上司」は同じ思考をしているんじゃないだろうか。自分のスペアなんていないのである。そこで、部下に熱血指導したところで、きっと育たないのである。育ったとて、ずっといてくれるとも限らず、なんとも私の中の、部下指導に対する優先順位は完全に下がってしまった。むしろ、パワハラ扱いされる危険性のほうが高いし。

仕事が遅いなあと思ったときにやること。それは、遅い人を束ねて速くすることを考えることなのであった。