orangeitems’s diary

40代ITエンジニアが毎日何か書くブログ

退職したくなる人の気持ち

 

会社制度というのはよくできているもので、同じ業種で、同じような仕事で、同じような責任であれば、転職してもたいてい年収は変わらない。著しく同業他社の給与水準より低すぎる、ということであればそりゃ、やってらんないということで他社に移るだろう。他社の給与動向を経営者は日々観察していて、世の中より著しく良い待遇には絶対にせず、かといって悪いと言われると都合が悪い。常に平均を目指し、その上でメリハリと付けてできる人はより高い報酬を、できない人には生活できる最低限を、という具合である。会社の給与水準が高いのは気前がいいわけじゃなく、会社が社会的責任をより負っているので個々の社員の責任が増しているということだ。給与は、スキル水準だけではなく責任も含まれる。どんなに簡単なことをしても、間違えたら多大な損失をもたらすとすれば、強い責任が課される。給与もその分高くなって当然だ。

だから、転職したい、という動機を考察すると色々見えてくることがある。

 

①お金が理由

・業界水準よりも低い給与となっている。そのままスライドして同業他社に移れば給与が高くなる。

・スキルが高いのに、高い責任を任せてもらえない。他社に移ることで高い責任を得る可能性があり給与が高くなる。

 

②人間関係が理由

・他社にスライドすることで、今までの人間関係が断ち切れる。この会社の人々と一緒に仕事をしたくない。

・人間関係がリセットされる分、給与水準はしばらく下がる可能性があるが、リセットできるメリットを取る。

 

③仕事内容が理由

・今の仕事が嫌だ。今のスキルが生きるかどうかは別として、仕事内容を変えたい。

・給与水準が低くなっても構わない。もしくは他業種に移ると、今より責任は下がるが給与水準は同じという場合もある。

 

④仕事環境が理由

・オフィスが汚い。

・リモートでの仕事を許してくれない。

・会社のイベント等が苦痛で仕方がない。

・今の仕事内容、待遇で十分なので、環境を変えたい。

 

⑤プライベートが理由

・地元に帰りたい

・もっと家の近くの会社に移りたい

・家庭の事情でフルリモートで仕事をしたい。

・プライベート優先なので、給与より条件面が重要。

 

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ざっくり並べてみると、案外お金が理由になっているケースは存在感がない。冒頭の通り経営者側もアホじゃないので、薄給だと社員が逃げるのはじゅうじゅう承知している。また、福利厚生や会社環境も最近はかなり気を使う会社が増えている。というのも、社員に逃げられたり、もしくは給与水準を上げるよりはよっぽど安上がりだからだ。

若手とベテランでは理由もまた違うだろう。若手だと、まずは仕事の内容を知って悩む人が多いことだろう。社会人経験もない状況で、会社に入ってみて思っていた仕事とのギャップに悩む。特に下働きが多い20代は、ここで軌道修正しないと一生この路線を走ることになる、と思うに違いない。20代のうちに給料が多いの少ないの言っても、どこの会社もいきなり高額にはならないだろう。まだまだ「よちよち」なのであるから。若手には、迷いを持たないようにキャリア戦略を会社が明確に提示してあげると良い。ギャップがあるなら早目に吸い上げる。めんどうだと思うかもしれないが、相談を受けなければ、ある日勝手に辞表を出してくる。むしろ退職代行みたいに急に飛ぶこともあるのがこの世代だ。

30代を超えたら、次は会社の吟味が始まる。優秀な社員ほどここで辞めがちだと思う。もっと上のことをやっている会社に移らないと自分がここで頭打ちになるんじゃないか。もっとお金が欲しいのに、お金を得られるような責任がここにはない。そんな転職例は多いんじゃないかな。私だってこの動機で転職をしたからよくおぼえている。会社は、よりできる社員により高い目標を与えられるようなポスト作りや、高い目標作りが必要となる。ある日、ものすごくできる社員が出ていき窮地になるようなことがないようにしなければいけない。

後の理由は全年代で起こるだろう。人の数だけ不満はあるので、常に吸い上げて改善し続けないといけない。面白いことに、全ての理由をつぶすと、転職する動機がなくなり転職はなくなる。わざわざ、今が満足なのに移ろうとする人はいない。だからこそ、会社に退職の原因が落ちていないか、会社経営には日々の努力が必要である。お金は間接的な要因であり、仕事内容・環境・人間関係、全てに目を配る必要がある。

今後、人材不足が慢性化していく状況で、辞めさせないことの価値が相当に高くなる。辞めたくなる人の気持ちは、常に想像し、前もって対策していかないと、大いに苦労し後悔する羽目になる。