orangeitems’s diary

40代ITエンジニアが毎日何か書くブログ

サラリーマンにおける実力主義、の実力ってどういう意味やねん

 

サラリーマンの実力主義、って言いますけど実力って数値化できないものですよね。例えばここにある石を対岸に持っていく、みたいな定量化できるようなものであればまだいいです。石の重さやら個数やらで数値化できる。でも、サラリーマンの仕事ってまあいろんな種類があり、いろんなことをしているので、これはもう数値には基本できないと考えていいものだと思うんですよね。

それを、実力主義だって言って、実力という人が考えた抽象的な概念を作り出して、そこに言葉遊びで色々と定義を書き連ねて理論武装しているわけです。このお仕事をしている人はお幾ら、これは簡単だからお幾ら。それって何が根拠なんでしょうね。一番アテになるのは他社の給与ですが、民間において給与体系なんて把握できている人誰もいませんよ。何社も経験した人も、人事畑にでも居なければ本当の会社の給与体系なんてわかるはずもない。

平均給与が会社によって違うのはまだわかるんです。会社の売上・利益、バランスシートなど、数値化できていますから、その社会的責任に沿った社員の給与になって然るべきです。法外に社員がもらっていたら会社が続かないし、会社の利益に対して社員に公平に分配されていないと、やってられるかと辞めていく社員が増えます。

問題は、会社の中でどう分配するか。

とりあえず社会的に納得感のある金額にすることは大事で、それは何というか、実力、という言葉とは全く別のものですね。会社と社員の間でウィンウィンになる最適ラインを作り上げていく感じです。

会社「社会的にも立派な給与水準で雇用しているから、安心してわが社に居てね」

社員「働いた成果に対して、社会的に見て相当以上に頂いていると納得しています」

この納得感が人によって上下があるので、いつもネットニュースは隣の給与のことで、いつも誰かがもごもご言っています。

そんなに不満なら転職すればいい、それはそうですが、仕事を通じて身に付けた業務知識や、人間関係をある程度捨てて外に行かなければいけない、そしてエネルギーも半端なく必要とすれば、なかなか転職もリスクがある。だから、会社様よ頼むから、社会的に納得できる水準の給料をくれよ、ということになります。

ここまで書くとわかると思いますが、隣の会社の給与体系がわからないのに、納得感は社会的に見て、という言葉が出てきます。これは矛盾しています。だから人は隣の財布事情を推し量ろうとするのです。この業種は〇〇万円、みたいな記事が途切れないのは、ニーズがあるからです。自分は不満を持つべきなのかどうかすら、実はわかりようがないのです。

で、実は国が賃金の状況を取りまとめて統計にしています。この統計を見るのが最も正確なのです。

 

www.mhlw.go.jp

 

この結果見るとびっくりしますよ。ざっくり言って「ネットの記事に出ているほど他社ももらってないんだなぁ」と言うことがわかると思います。

なぜネットに、給料が高い話が出回るかと言うと、現職に不満を抱かせ転職動機を生み出すと得をする母集団があるということは間違いないです。転職が起きれば起きるほどお金が入ってくる会社もある。ではその会社は世間にどうやったら転職機会を増やし市場拡大できるか考えます。それはやはり、自社への不満を増大させるしかないですよね。

 

こうやって論理的に考えていくと、実力主義で決まる給与なんてウソっぱちだし、転職したくなるネット世論もまたウソが多い。本当のことはあるにはあるけど誰も語らないので見えなくなっています。あるにはあります。でも、基本的にもらっている人は自分がもらっているなんて絶対言いません。メリットが全くないですから。実力が測りにくい世の中で、もらっている事実は、妬みの温床にしかなりません。

結局のところ、

・たくさん儲かっている会社に所属する

・その会社の中で、(本当にしろ本当でないにしろ)実力があると、経営陣に思わせられる

この2つの条件が伴って、実力があるということになります。

一度、実力があると思われてそれなりの立場に着いたら、後は現職の成績が低下しないように慎重を期すことと、自分が実力があるアピールを忘れないこと、でしょうか。

サラリーマンになってわかりましたが、この世の中は結構雑に物事が決められていますので、その雑さを丁寧に読み砕き、攻略していくことが実力の秘訣です。わからない人にはわからない、と言い切れるぐらい、何ともわけのわからない理屈で人の実力って決められてしまっていると思います。