orangeitems’s diary

40代ITエンジニアが毎日何か書くブログ

生産性が良すぎるのも考えものよ

 

なんだか、私は仕事ができる。でも世界のどんな仕事でもできるというわけじゃなく、私がたまたま入り込んだ会社のこの仕事が、法外に向いてたというだけな気はする。

この仕事ができる、っていうと、「いいな〜」という感想かもしれないが、結構、難しい観点がある。

それは、簡単に、同じことができる人を見つけられないということだ。仕事のプロセスを標準化して、誰かに仕事を振る、というところまではできるから、指導者としてはとても向いていると思う。ただ、仕事って、何が仕事になるかわからない。どんな課題が振ってくるか誰も予想できない。それを、うまく瞬時にこなす、みたいなことは実は非常に標準化しにくいところでもある。それこそが、できる人がいるいないで、全然成果が異なるエリアでもある。烏合の衆が長時間会議している横で、一人で解決策を書いて関係者を黙らせるみたいな世界観がある。

もし事業として、会社として安定化したければ、できる人を基準にワークフローを考えるのはナンセンスだということだ。彼は仕事ができる、手が足りない。じゃあ、「中途採用で仕事ができる人を更に採ろう」という発想自体に実現性が全くない。

それって、給与の問題では?。安い給与水準で採用しているからという命題がこのところ常に語られてきたがそれは違うと思う。一部のアメリカ企業のバカ高い給与水準で成り立っていた話、今どうなっている?。胴元のシリコンバレー関連の銀行が相次ぎ破綻しているではないか。もともと基準がおかしかった。あの気味悪さは破綻の前からもわかっていた。なぜあの仕事内容であれだけもらえるのか、説明がつかなかった。説明がつかないものほど怖いものはない。自分の人生を賭けられるものではないという判断は正しかったと思う。

なぜ、できる人が雇えないかというと、できるからこそ転職する動機がないからだ。どこぞの現場でも、きっと重宝されているはずだ。転職したくない、を実現するために会社経営者はいろんな工夫をしている。できる人には、かなりの裁量が与えられていて、そして結果もかみあっているはずで、それなのに他社に転職しようとする動機は起きないと思う。

したがって、もともと、できる人を他社から奪い取ろうとするほうが無理ゲーであって、そして今の事業が、できる人で属人的に成り立っているのなら、案外その会社はピンチ何だと思う。だって、にんげんだもの。やーめた、ってこともあるよね。そのとき、できる人以外で事業を巻き取れるのか、それを常に経営者は考えないといけない、だろうね。

だから、できる人が事業を立ち上げたとしても、それがスケールアップしたときに、どこかで、できる人以外でも事業が安定的に推移するようにギアチェンジしなければいけない。じゃないと、単純に人を増やしても効果がないから。どんなに人を増やしても、大事なところはできる人が一人でやってる、という構造ができてしまう。

こうやって書いていても、こういう現場多そうだな、と思う。だって、IT関連特に思うけど、できる人の馬力って、それ以外の人を何百人かき集めてもかなわないから。そして、ずっと若いころから、地べたの現場で気まぐれなコンピューターと長年付き合ってきた人に多い。コンピュータの気持ちがわかるタイプの人。でも、人間、永遠に仕事ができるわけじゃないので、やっぱり、ライフサイクルみたいなものも考えないと、それは仕事ができるからといって、会社員としては責任を果たしていない気がする。自分だけ良ければ会社なんて、というのもちょっと違う。

一通り考えた上で、それでも、地道に後進を指導していくしかないな、なんて思う次第。自分自身はプログラムの束で成り立っているわけじゃないな、と思う瞬間だ。できる人を再生産する術ばかりは、私も持っていない。