orangeitems’s diary

40代ITエンジニアが毎日何か書くブログ

目的を叫べば人は動き出す

 

構成資料が更新されない、という悩みを持つ現場は多いと思う。

 

構成資料を更新しなさい!、と上司が口酸っぱく言っても、いざ資料が必要なシーンになると古かったり、もしくは存在しなかったりしてがっかりする。

更新されてないということが発覚するまで、更新されていることになっている。普段は平和で、ある日雷が落ちる。だからウチの運用はダメなんだよ、と上司は悩む。どうやれば更新されるのか。

もしかしたら、構成資料の読み方がわからないのかもしれない。上司はメンバーを集め、1つ1つの資料の意味や見方を教える。技術的に高度な知識が必要な場合それも併せて説明する。構成資料は量もあるので、時間をかけて何とか全部説明した。メンバーの理解も上がったろう。

しかし、結果は変わらない。ある日また構成資料の更新漏れが発覚した。

これは原因分析が間違っていたのかもしれない。メンバーは(何も言わないが)知識はあったのかもしれない。それより、「更新しなければいけない」という頭はあったのに、連日の忙しさで抜けてしまったのではないか。

そこで次に対策したのが、「構成文書は更新すること」という目標を立てたこと。作業の終わりには更新したかをメンバー間で確認するようにした。

つまり、更新しなければいけないというタスクが、きちんと履行されるようにメンバー間で牽制し合う。これならうまく行くはずだ。

ところが、しばらく時間が立つと品質が悪い時期に戻り始めた。なぜなのか。あれほどキャンペーンで更新の抜けがないように指導したのに、メンバーはなぜ忘れてしまうのか。忘れないように更新しないと帰宅できないようにしてやろうか。無理だけど。

 

この命題、昔から私を悩ませてきたのだけど、最近、解決したような気がしている。

最近は「構成資料を更新しないと、自分たちが困るんだ」ということをメンバーが言い始めた。そう、構成資料がなくても運用できるならそれでもいいんだけど、実際の動いているものを見なくても最新の取りまとめられた情報が欲しい、ということがよくある。

そう、それが構成資料の必要なシンプルな理由だ。

更新しろ、というシンプルな命令が必要だったのではない。資料を読み解く技術力の問題でもない。根本は、なぜ必要なのかがわかっていなかったということだ。

目的、である。

目的をわからないから、手が動かない。「指示されたからやらなくてはいけない」という動機でしか仕事をしていなかったということになる。

 

本当に最近思うのだが、目的が動機になっていると人の脳は記憶から抜けない。目的を達成したいという動機は人間の中で相当強い。目的が薄い動機、単に義務感だけでやらなければいけないことは、記憶からすぐ抜ける。ぽろぽろと。記憶に定着しない命令を何度も行ったところで「うっせえな」である。やろうと思ったのに、と。しかし、やったら自分が得になる、楽になる、という動機が発生する「目的」というやつは、人を簡単に動かすのである。

「構成資料なんて更新するし」

ということになる。黙っていても更新してくれる。だってしないと困るから。あると自分たちが助かるから。だから、自分たちが使わないような構成資料なんて作るだけ無駄であり、定期的に見直して省いていけばいい。目的志向だとそこまでやってくれるのである。

チームが動かないときは、目的の定着ができていないと思っていい。自分たちが主体だ、自律的にやろうと思っていればいるほど、目的を把握し始める。逆に主体的ではなく、言われたことだけやろうという思いで仕事をする人は、目的なんてどうでもいい。言われたことだけやって、時間になったら早く帰りたい、である。

とりあえずやるべきは、目的を叫び続けること。そして目的を達成するために必要な知識を次に教える。この関係で人を動かすのが最も効率的だな、と思っている。