何度か経験があることについて話す。
一度も会ったことがない、もしくは会ったとしても会話をしなかった、みたいな関係にてビジネスではつながっているという状況がある。
今では、電話やメールだけではなく、その他のデジタルツールでの連絡手段もあり、実際に物理的に会わなくても仕事ができる関係ってある。
ここ最近Web会議も普通になって、気づいてみれば、物理的に会わなくても仕事できるやんみたいな雰囲気もまだ多少はある。あるんだけど、残念ながらこの、会わないでつながっているという関係、あまりにも結びつける力としては脆弱だよね。そんな話。
10年前くらいに、たくさんのお客様に謝りに行くことがあった。辛い仕事だったなぁ。会っていただいてからの説明はバッチリなんだけど、でも謝りに行くだけあって、先方は基本よい気持ちじゃない。
説明が正しいかどうかじゃなくって、とりあえずお気持ちからしてマイナスなので、こういうときってお話の内容は実は二の次。
とりあえず、会いに行き、会いました、というのがポイント。もし本当に許さないと思うのなら、会わないという選択肢もあるから。会えただけで収穫。
で、実際に会えて、話をすると、そりゃ厳しい話もするんだけど案外優しかったりする。それは大変でしたね、今後もよろしくお願いします・・と。
私の方がもちろん、失礼な態度を取ったら火に油なんだけど、そんなことしない。誠実にお話ししていくことしかできない。
厳しい状況だけどちゃんと会いに行って、ちゃんと話をして、ちゃんと謝って。技術的にそんなに高度なことじゃないけど、この1度会いに行くというのがびっくりするほど大事なことなのである。
その後、どんな状況であれ、1度でも会いに行ったお客様は私への対応がすごく丸くなったように思う。そこから何度もお会いするようなことは起きなかったが、1度会っただけでも全然人って違うんだな、という感想というか教訓を持って今に至る。
ここ最近のコロナ禍で「会う」ということの意味が曖昧になってしまった。Web会議を否定しているのではなく、物理的に会うこともちゃんと話をしなければ会ったうちに入らない。マスクも良くないね。情報交換の量が限られる。会うとは、物理的に近い距離で、一定の時間以上空間を共有し、お互い目を見て会話をしたこと、を指すのだろう。それ以外の定義はゼロでいい。皆様、Web会議で会議した人たちの印象を何人覚えているだろうか。そんなのはゼロでいいのである。
この狭義の「会う」が、1度以上なのか。それとも0回なのか。
この差が、ビジネスの未来を大きく変えるということを経験している。
雑な表現で言えば、1度会ってちゃんと会話しておけば、その内容が特に平凡なものであったって、その後生きてくることが多いんだ、ということだ。
ビジネス上の関係ができて、あんまり長い時間経ってから会いに行くより、さっさとお会いして名刺交換をしたほうがいい。私も先日、たかだか名刺交換するために新幹線に乗って出張して帰ってきたことがある。生産性のかけらもないこの行動が、案外合理的だったりする。一度会うことがその後の大きな保険になる。
ひとまず会いに行く。多分に、どんなにデジタル化が進んでも鉄則何だと思う。もし何かうまく行っていないと思うのなら、一度も、もしくは長い間会っていないのではないかな?。