どの会社も、自社員の退職防止はミッションになっていると思う。人を採用するコストも年々上がっているので、退職させないのが最もお金の節約になる。
転職と言えば1度やったことがあるし、それはとても良い経験だったと思っているけれど、転職された方はうれしくはなかっただろうな。新卒から十数年いた会社だったし、これから・・って感じだったから。
転職した時の気持ちを思い出してみた。
これからのキャリアについてシェアする人が会社にいなかった
当時、35歳前後だったかな。たまたま、客先常駐した案件で、自社員が私一人だけだった。大会社の炎上プロジェクトに、協力会社として参入、という建てつけだったけど、私以外に自社員がいなかった。まるでホームステイのように、全く知らない環境で、周りに知っている人はいない。
当時は35歳定年説みたいな話があって、この業界では年齢を重ねてからは閑職においやられるという話も有名だったから、自分がどうしていくかについては、とても敏感だった。
そこで、上司とこれからのキャリアについてシェアし、この会社ではこういうふうな活躍をして欲しい、のような動機付けがされていれば違っただろうな。
私一人で、自分のキャリアについて深く考え始めてしまったので、とても客観的に考えた結果この会社を出るべきだと決断できた。
だから、社員を退職させないためには、キャリアについて上司と情報交換し、知ってもらい、方向性が会社の中に存在することを確かめる機会が重要だと思う。
社内で自分に期待してくれる人が見えない
私は、誰かのために働こう、というモチベーションが非常に高いと思う。誰か、が見えるうちは精一杯のパフォーマンスを示し、そして喜んでもらうのが好きだ。
客先常駐で、お客様に喜んでもらうのはできるのだけど、自分の社員との接点が薄くなり過ぎた。お客様が喜んだ結果、自社が喜ぶのかどうかが全く見えなかった。お客様も、喜んだとして、わざわざ自社の営業に「御社のXX君はとてもよくしていて、満足しているよ」とは言わないものである。連絡するときは、クレームか、増員や減員のときでしかなかった。
だったら、この会社でパフォーマンスを出したって、会社の誰が喜ぶかも見えないし、自分にとってがんばることの意義が見いだせないな、と言う結論に立った。
自分が結果を出すことが、自社の誰かのためになると、感じられる会社にいないといけないと思い、転職を決断したように思う。
年齢が上がると売りにくくなると言われた
何度かこのブログで言った気もするが、年下の営業に「年齢が高いと単金が高くなって売れにくくなる」と言われたことがある。
勉強して経験を積んで、いろんなことができるようになった挙句、「あんたは高い」というのは何事ぞと思い、会社のビジネスモデル自体に疑問を持ち、転職したくなった。
私の「もっと勉強をして経験をしてレベルの高いことをやっていきたい」、というのと、営業の「そうすると単金が高いからアサインできる仕事がなくなる」みたいな話って、どうやっても折り合わないと思った。
その営業担当も口が滑ったのだと思うが、まあ、本音のように感じた。口は禍いの元とはよく言ったものである。
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つまり、社員を退職させないためには、以下の努力はすべきだ。
・社員を孤立させないこと
・キャリアプランを、管理職とシェアし、その進捗について定期的に相談するようにする
・社員が会社に何を期待されているかを知ることができるようにし、その期待がかなえられたときは、会社から評価される仕組みがある
・自社内の複数のキャリアを整理して提示し、本人と会社の意向をすり合わせながら、成長と共にキャリアパスを作れる未来があることを認識させる。
なんとなく並べてみると、どの会社にもありそうな社員教育プランになるのだが、目的をよく考えてもらいたい。下手に手を抜くと、離職率は上がる。単なる教育の話ではないのである。人をつなぎとめるために必要不可欠な仕組みだ。