orangeitems’s diary

40代ITエンジニアが毎日何か書くブログ

客先常駐を辞めたくなった時のことを思い出す

 

客先常駐士。

そんな資格はないが、私は20代から30代の半ばまで、この仕事だった。

確かに、自分の会社の正社員でありながら、自社オフィスに自分の机がない時代が続いた。現在はフリーアドレス制の会社もあるが、違う。ないのだ。机がない。他社に常駐しているヤツには机などいらないではないか、って。

そういや、管理職になっても机が無かったのは笑ったな。何が経営に近い立場、だ。残業代も無かったのにさ、机もないなんてさ。昔の話だからいいや。

ちなみにその後転職した。客先常駐士を退職し、自社就業士となった。

在宅勤務も多くなった最近、自分の会社に自分の机はある。が自分はいない。パソコンだけがいつも動いている。在宅からリモートでアクセスして仕事する。

昔は机が無かったと嘆いていたのに、今は机がある。ただし依然として使っておらずパソコンだけが動いていると言うのだから皮肉な話だ。使えよ、机。

話を昔に戻す。

客先常駐でも、私は同じ現場に十年くらいいたので、おそらく常駐先からは気に入られていた。多分、私が変化を求めなければ今でも、あの会社で常駐していたんじゃないかな。協力会社が必ず必要な業態だし、あの仕事は無くなることはないし、そして活躍していたんだから終わるトリガーがない。

なぜ十年いた常駐先を辞めたかと言うと、同じ仕事の繰り返しではまずいと思ったから。転職できないキャリアパスはまずい。実は一度転職活動をしたがうまく行かなくて、だから、この常駐先を終わらせてほしいと会社にお願いしたら、その願いは通った。

そこから、2つくらいの常駐先を経て、そもそも、客先常駐と言う形が非常に、これからの未来を保障していないことに気が付いた。年齢にして30代半ばだった。

そのころ「SEの35歳定年説」ってのが流行ってね。その頃はもう私も、売上や経費の数字も見られるようになって、客先常駐のSEの相場も分かるようになってきたから、ピンと来たのね。

売れる常駐SEはとにかく単価が安い。単価が安いと何が良いかって、採用されやすいし、もし現場にフィットしなければチェンジされればいい。採用先の会社も常駐SEなんてガチャだと思ってるから、ダメならはい次ね、って一生やってる感じだった。当時の私から見たら。

で、ある程度経験を経たらもちろん単価も高くなるんだけど、単価が高い人が採用先が嫌がる(その頃は)。基本的なことができていればいいから安い人いれてよ。人数欲しいのと、あとはできる人は、やってりゃできるようになるでしょ。そんな具合だ。

なんでこんなひどい理論がまかり通ったかというと、2000年代のIT人材って、ロースキルの人ばかりだったから。高度な技術を持った人材がいな過ぎて、単金が高い人は警戒されたってことだね。それよりロースキルでポテンシャルのある人が、長く現場にいてくれるのが一番安心、みたいな雰囲気だった。

そうすると、何が起きるかと言うと、年齢に相応した高い単金がボトルネックになってくる。せっかく若い頃、たくさんお勉強して、いろんなことができるというのに、ロースキルの若手と入場に際して単金で争うようになってくる。

この話、15年前くらいの話であって、今はハイスキルの人で高い単金、でも取る時代だね。なぜかというと、この業界の歴史が長くなってきて、ハイスキルとロースキルの差が激しくなったこと。

ハイスキルの人、実力次第だが100人分のパワーを平気で出せちゃうのがわかってきたので、高くても来て!というタイプの客先常駐も今はかなり増えていると思う。

つまり今なら、35歳定年説なんて、簡単に否定できる。でもその当時は無理だったね。

今はむしろ少子化で、ロースキルの人すら減っている状況。ハイスキルってだけで、きっといろんな現場でモテモテなことだろう。

今なら、高い待遇なら、客先常駐に戻ってもいいのかもな・・なんて考えもちらほら。しかし現状では逆に、私は客先常駐条件で自社に協力会社を受け入れている。

そういえば、社会人人生の前半と後半で、立場が逆転しちゃってる。

客先常駐するか。させるか。

うーん、今になってみたら、給料高ければなんでもいいや、という気すらする。だって、自社で働きながら、自社という他社に常駐しているような気分にたまになるからね。若い頃の感覚ってずっと引きずっちゃうよ。自分の会社って気がしたこと、ないもん。

客先常駐士も自社就業士も、両方体験したけど、バラ色の場所、なんて、多分どこにもない。長所もあり短所もあるよ。