orangeitems’s diary

40代ITエンジニアが毎日何か書くブログ

数字を追いかけるなというけれど、数字しか自分を守ってくれない

 

数字を追いかけるのは虚しい、という論説をよく聴く。

 

cybozushiki.cybozu.co.jp

定量的な目標を設定し日々PDCAを回すことはしっかりやっているのに、メンバーが次々と辞めていったりチーム内の空気が悪いと感じたりするのであれば、それはビジョンに問題があるということなのかもしれません。進むべき方向性をしっかりと示し、メンバーに「なぜそれをやるのか?」を十分に納得させてうえで、さらにしっかりと数字を追っていく――そういうリーダーを目指したいものです。

 

私も同じ体験があって、めちゃくちゃ数字はいいのに、メンバーが辞めたり空気が悪くなったことがあります。

数字がいいだけじゃダメなんだな、と思ったものです。

一方で、数字が悪い部署を眺めていると、また違う世界があります。

抜本的な対策として、組織や人事的な変更が行われやすいです、たいてい所属長はやり玉に上がります。業績悪化に対する責任を取らされがちです。

人が数字を追うのはなぜかと言うと、所属長が身を守るためです。所属長が社内での地位を保つためには数字が必要です。具体的には売上と利益です。売上があってもビジネス効率が悪く利益が出ていなければ何のためにビジネスやってるの?、会社に貢献ないよね、という話になります。投資段階で利益がなかったとしても、進捗を見て、改善しているかも大事ですね。

いやらしいのは、この数字の議論について、どんな会議でもあからさまに経営が管理職を詰めないことです。淡々と業績が悪い話を所属長が、申し訳ありません、もっとがんばります、毎月言うのをただただ聴いているだけの会議。傍から見ていると、なぜもっと追求しないのか、と思いますが。ところがある日突然、人事異動が行われるのですが、その経緯などは当事者ではない限りさっぱりわかりません。

きっと、経営者は、究極的には、数字を出してくれない所属長を処分するしかやることがないんだろうなと思います。現場のことを一番知っているのは所属長ですから、あれこれ現場に口出ししてもほぼ改善しませんからね。とすれば、もう人を替えるしかない。

で、数字を作っていれば所属長は、自分を守れるのかという話です。

結論としては守られる、と私は思っています。部員が辞めようが、空気が悪かろうが、その本人は守られます。むしろ、経営は、所属長がまともで、部員が悪いと言うぐらい、守られます。そういうこと、ありますよね。メンバーは大量に辞めてでもマネージャーは守るということ。その後、組織改革が成功しさらに業績が伸びるパターンはいくらでもあります。

ただやっぱり、所属長としては、いくら数字が良くても空気が悪かったり部員が辞めたりするのは気分が良くないどころか、くじけそうになります。だから、数字もいいし、空気も良くしたいし、部員は辞めさせないという、理想を追い求めないといけないのが現実です。少し前までは、人が辞めたら中途採用して補充すればいいと思われていましたが、もはや、できる人は取り合いになっています。

数字を作ることと、組織を保つことの両方が求められるので、マネージャーの責任は昔より上がっていると感じることも。ただ、数字を持っていない人は相変わらずリスクのある状態です。まずは自分の身を守ることが大事。他人のことなど二の次。この感覚は今も昔も同じだと思います。どんなに経営がきれい事を言っても、ね。