orangeitems’s diary

40代ITエンジニアが毎日何か書くブログ

ここからの20年、日本に訪れる海外からの投資ブームを考える

 

第二次世界大戦後、日本に欧米から大量の投資がされた時代、それでバブルが起きたのは有名な話ですね。その頃に私は中高生だったのですが、テレビは「牛肉・オレンジ自由化」ってずっと繰り返し叫んでいて、牛肉やオレンジって自由じゃないのか、って子ども心に思ってました。

 

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1991(平成3)年4月1日、激しい日米経済摩擦を背景に牛肉、オレンジの輸入自由化がスタートし、都内のスーパーでも特別セールが行われた。段階的に関税率が引き下げられ、低価格の輸入牛肉が出回ると消費は増加、国内産の牛肉価格も値下がりした。オレンジも、果汁の輸入量が増加し生産農家に深刻な影響を与えた。

 

日米貿易摩擦、って当時もすごく社会問題化してて、今の中国とアメリカの関係ぐらいバチバチやり合ってました。

その結果、日本は投資対象として冷ややかに見られるようになり、日本の代わりに中国が選ばれ、中国にどんどん欧米から投資が集まるようになりましたね。日本も負けじと中国へ投資しました。

2000年以降の話です。かなり中国が景気が良くて年々急成長する一方で、日本はそこから20年間、世界経済の成長の外に置かれるようになって、世界でも珍しい長期のデフレ経済を経験することになってしまいました。

 

ここに来て、中国の経済規模が巨大化し、政治的なパワーが強大化するにしたがって、今度は欧米が中国を警戒するようになりました。過去の日米貿易摩擦がそのままスライドして米中貿易摩擦に発展しました。

それに加えてロシアとウクライナ間でも戦争が起き、西と東がにらみ合う構造が時間とともに明確化しています。中国もかなりあいまいな態度を示しつつ、明らかに欧米よりはロシア寄りの発言も目立ちます。

じゃあ中国に投資しないなら、ということでどこを起点にするよ、と。香港も中国化されつつある中、日本への再見直しが今起きていると理解しています。20年間ピクリともしなかった株価がじりじり上がっている状況。

これまで、長い間体験してこなかったことが、これから起こり得るということを明確に示していると私は思います。

今まではこうだったから、明日はこうだろう。そうやって過去の経験から未来を推論することができにくくなるということです。それって、AIが苦手なことなのかもしれませんね。

かのバブル崩壊のちょっと前までは、みんな永遠に、この好景気が続くと思っていました。今も、まだ去年までの低迷が明日からも続くと思い込んでいる人がたくさんいると思います。

当然です、20年続いたことですから。

 

今、いろんなものの価格が高くなっていますが、原材料価格の高騰ということで理由付けされています。深掘りしてみると、中国やロシアがこれまで安く譲ってくれていたエネルギーが手に入りにくくなっているというのが一つ。そして、中国の安い人件費で生産された完成品が高くなってきているのが一つ。つまり今まで安かったのは単に中国にお金が集まり、大量生産できる施設を中国が手に入れつつ、安い労働力を大量に抱えていた国内事情がうまくまわっていたからでしょう。

ところが、中国も成長して安い賃金が上振れし国際水準に近づいていくのと、海外との摩擦で、中国以外へ投資を移すケースが増えて行くのは間違いなさそうです。そうなると、安い価格の製品を生み出せなくなってしまうので、今は「値上がり」というより2000年以前の状況に戻っているだけのでは、と思います。

この20年、中国に依存し、安い大量生産品に囲まれて過ごし過ぎたせいで、日本人の金銭感覚が破格な安さに慣れ過ぎてしまったのではないでしょうか。

おそらくここから一直線に価格が高くなることは考えにくく、ある程度の適正価格まで上がったら止まると思います。あくまでも「適正価格に戻っている」と思われます。

 

その上で、中国にこれまで20年間奪われていた海外からの投資の揺り戻し。きっと中長期になることは間違いなく、今までの常識を切り替えないといけません。

今までいろいろな状況を経験していますが、今回ばかりは期待しています。

我慢の時期が長かった日本が、より良くなる方向へ向かいますように。