orangeitems’s diary

40代ITエンジニアが毎日何か書くブログ

価格と機能だけで技術を採用すると痛い目に遭う話

 

どの技術を採用するか、というのはどんな会社でも遭遇する問いだ。クラウド基盤、データベース、Webアプリケーションサーバーに、開発言語に、ネットワーク機器、会計ソフトに人事管理に・・。要素を挙げればきりがないが、それぞれ選択肢がある。

どれを選ぶか、の際に最も重要視されるのが「シェア(市場占有率)」だ。世間で一番使われているものを選ぶメリットは、何と言っても持続可能性だ。シェアナンバーワンの製品はベンダーも主力製品なので止められない。シェアを取るということは、他社も満足しているということだからハズレはない。

一方で、シェアナンバーワンは、まず価格が高い。選ばれることがわかっているのにわざわざ値段を下げる必要がない。そのブランドだけで売れていくのだから、基本、値段は高く設定するのが世の常だ。

その傍らに、「シェアナンバー2」もしくは新規投入製品がある。これらの特徴として、シェアナンバーワンを研究し、同じようなことができるとうたいがちだ。機能的には比較してもそん色ない。しかも、安い。同じこともできるのに安いなら、ウチを採用するのはアリでしょ、というノリで営業をかけてくる。

私も、この手の製品に手を出したことがある。

どうなったか。

この製品は市場で売れず、ニッチなポジションのまま商品名を変えて細々と販売を続けているらしい、ということを今調べてわかった。登場時は華々しかったんだけどもね。

この製品、とても運用するのに苦労した。

使っている人が少ないので、事例がインターネットにない。何か問題が起きたらサポートに問い合わせるが、ベンダーも売れていないものだからサポートにお金をかけていない。

営業資料には高機能と書いてあるが、使ってみると営業トークに反して劣っている点も多数あった。

実はこの製品を使うと判断したのも私だった。決め手は、シェアナンバーワンの製品と比べて初期費用が格安だったからだ。ベンダー自身は有名だったので信じて買ってみた・・が、大変な目に遭ってしまった。感覚で選択して大失敗した。

結局、手間がかかったということは、それだけ人件費がかかるということなので、この顛末を考えたら絶対、シェアナンバーワンの製品を採用するべきだったな、と今になってみたら思う。時すでに遅しだが。

どんな製品でも、市場投入時は広告含め営業費用をたんまりかけるので、その内容をうのみにすると、あたかもシェアナンバーワンを脅かすぐらい素晴らしい製品なのかと勘違いしてしまう。しかも、最近の広告手法は変化していて、インターネットで調べると称賛するメディア記事が出るようになっていて、それは営業戦略の一部。購買するように誘導するようになっている。

技術採用してみて、ダメならあきらめる、くらいの選択ならまだ試してみてもいいかもしれないが、本格採用するのは本当に慎重にすべきだと思う。採用してダメだったときに、戻せるのかどうかも含めて考えないといけない。

技術的負債、と言う言葉がある。劣った技術を採用してしまい、それがボトルネックになってビジネスにまで影響を及ぼす現象である。一度採用してしまうと、それを脱却することは大変コストもかかり、そして本来、無駄な作業である。新しいことができなくなる。移行を達成するまでの時間、移行に費やすことになる。

製品の選択時に、技術的負債の作り込みの9割は終わってしまう。怖い話である。