orangeitems’s diary

40代ITエンジニアが毎日何か書くブログ

客離れは静かに静かに進行する

 

10年前に作られたサイトが今年の担当者に引き継がれたが、とても使いにくくて中身がどうなっているかわからない。ある日、そのような相談を受けて私自ら調査して見た。とてもひどい物だった。

よくあるWordPressで作られたサイトだったが、作りが化石のようだった。ほとんど「手組み」の状態であり、WordPressを使っているにもかかわらず、ほとんどphpのソースをテキストエディターで書いて作っているようなものだった。

この作りだと、担当者がWordpressの管理画面でドキュメントを作れない。何か変更する度にファイルを直接編集しなければならず、ITに詳しくない人はさっぱりわからない。

10年前だったらまだ言い訳できる作りかもしれないが、2023年の今、この作りはまずいよな、と思う設計になっていた。

調査結果をその担当者に話したが、きっとこのサイトを保守していたベンダー、きっとここ1年の間に切られるんだと思う。10年来の顧客だったのにね。

10年あったのだったら、「今の技術を使うと、もっと便利に運用できますよ」という提案はできなかったのだろうか。何か提案するとヤブヘビになるとでも思っていたのだろうか。

構築当初は競合もなく、そして担当者側は素人だから、黙っていても保守契約を更新し続けてくれるだろうと安心しきっていたのか。

それでも10年放っておくという道理は通らない。世の中どんどん便利になっていく。その便利さを、つながっている間にアップデートし続けないと古い設計はいよいよ古くなっていく。

保守契約、今年で切るよ、という話を保守ベンダーにすると、「いえ待ってください、今当社ではこんなサービスを提供できますので、提案します」と言ってくるんだろうけど、順番がおかしい。ユーザーが契約停止を言い出す前に10年あったのだから、ね。

 

この話、他山の石となる。私も既存の顧客への情報提供や、今の技術に合わせたアップデートをサボったら同じ目に遭う。

日々、世の中の技術が便利になっていくのは間違いなく、そのキャッチアップを顧客に先んじて行っていくこと。そして、その情報をユーザーにいち早く届けること。

それは「サービスの一環」なのではなく、ユーザーをつなぎとめる切り札となる。常に競合がいて、その競合の方が使いやすい、選びたいとならないように、自サービスを磨き続ける必要がある。

また、競合のサービスを自ら試してみると良い。自社のサービスが劣っていると思ったら黄信号だ。どうにか取り入れられないのか、検討して見る。もしできるようならユーザーが使わないとしても、こういう機能が実装できますよ、ぐらいの情報提供なら費用も掛からないのでどんどんすべきだ。

保守を長期間継続していれば、何もしなくても不満さえ上がってこなければユーザーは逃げないと考えるのは油断そのもの。ユーザーは黙って不満を持ち、黙って頭をひねり、そして出ていくときは突然である。

また、むしろ、いろんな不満を伝えてくれるユーザーは、大事な存在だ。その修正を行えば満足することがわかっているのだから、情報としてはとても大事な、重要度の高い内容となる。

 

今回の私の調査は、ユーザー側に立った話だったけど、向こう岸(ベンダー)にいつも私はいるわけだ。ああこうやって勝手に不満を持って勝手に調査し、そして勝手に競合に相談して、気づいたころには手遅れになるのね、と痛感した一件だった。

気を付けて行こう。