orangeitems’s diary

40代ITエンジニアが毎日何か書くブログ

人を雇ったら利益が減る、という考え方がよくないワケ

 

人件費として、一か月もろもろ100万円かかるスタッフがいたとする。契約形態はなんでもいい。とにかく100万円/月。

このスタッフを1年間雇うと1200万円かかる。5年だと6000万円だ。大金だ。

もし、このスタッフを雇わず、補充もなくビジネスをまわせたら、1年で1200万円の利益になる。5年だと6000万円の利益だ。これも大金だ。

私の考え方は、後者の「人がいなかったら丸々利益になる」という方だった。それで利益の確保は実際できたし、正しいと思っていた。でも、今や考え方は変わった。その考え方は、目の前のことしか見えておらず、先のことが全く見えていない。

確かに、そのスタッフがいなくても仕事はまわせるかもしれない。現行メンバーだけで5年先を迎えられるかもしれない。しかし、5年後には、確実にそのスタッフはいないのである。

5年後に、この組織で5年経験を積んだスタッフがいるか。もしくは、現金6000万円が残り、そのスタッフはいないか。

5年後ビジネスが成長し、誰かにその事業を任せたいと思ったときに。5年経験のスタッフと5年間信頼関係を作っていたら、確実に強い味方になる。

それとも採用はあきらめて、目の前の6000万円を使って、相応の人材を中途採用するか。できるかもしれないが、ギャンブル性が高い。人事採用には失敗もある。そしてもう一つ言えることとして、信頼関係を作るには採用してから時間がかかる。すぐには戦力になれないので、育てて組織を整える間は、ビジネスを拡大できないかもしれない。

そんな状況になったら思うだろう。この6000万円、5年前に投資して、一人、できる人を育てて置いたらよかった・・と。

このロジックなのである。人を育てるにはお金と時間が必要だ。ビジネスが拡大する前に先回りして人を確保し、そして経験を積ませないと、ビジネスが成功したときに大いに困るのである。困ってから人を採用したって、すぐに戦力になるわけではない。

だから、人の採用や確保に関しては、特に事業が小さく成長率が高い間は、「投資」と思って人がダブつくくらいの方が良いと思っている。その間利益は圧迫されるが、それを経費と考えてはいけない。5年後、成長したビジネスを支える自組織をイメージしてほしい。そのために必要な人材を、そこまでに育てるんだと考えた時、人の採用を渋っている場合ではないのである。そうしないと、5年後に節約したそのお金を、リスクの高い中途採用や外注へベットしなければいけなくなるだけだ。失敗したら目も当てられない。人が少ない分仕事は大変だし、そして貯めたお金を減らすことになる。

採用した分は短期的に利益が減ることになるが、人間、減った数字を見るとリカバリーしたくなるものである。新しく仕事を取ってくるなどして、数字を整える。リカバリーできたら、増えた人件費が当たり前になり慣れてくる。

そうやってビジネスを大きくすることと、人材採用をリンクさせていくこと。これをやらねば、どこかでビジネスを支えるスタッフや自分自身が耐えられなくなり、「頼む、新しい仕事を取るのをしばらくやめてくれ」なんてセリフを営業部門に言わざるを得なくなる。人材採用は、将来のための投資なのだ。経費と思ったらいけない。