orangeitems’s diary

クラウドで働くインフラエンジニアの日々の感想です(ほぼ毎日更新)。

複数のベンダーから見積を取る相見積、やらない方が良い理由

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今日は下記のツイートに反響をいただいたので所見を述べておきます。

 

 

私自身は見積を取る立場になったこともあれば、取られる立場にもなったことがあります。IT業界では取る側をユーザー、取られる側をベンダーと呼びますね。

ユーザー側にいたときに、何回か上司から「見積は一社からではなく、数社から、つまり相見積を取りなさい」と指示されたことがあります。

この目的は、一社のみの見積では価格が高いのか、安いのかわからないからです。同じことをいろんな会社に頼んだとしても、価格の差はあります。できるだけいい条件で買いたいということでしょう。

 

しかし、私は、この相見積。やるべきではないという考えです。

ベンダー側に立つとわかるのですが、見積は概ね以下のように進めます。

 

①ユーザー側に見積のために必要な情報(要件)をヒアリングする。

②集めた情報を元に、技術部門が、実施した場合にかかるコストを試算する。

③営業部門が②で弾きだされたコストをもとに利益計算し、見積を含む最終的な提案資料を作成する。

④ユーザー側に提案資料をご説明し、最終調整を行う。

 

単純な要件であり、しかも何度も受けたことがあるのであれば提案資料もすぐ作成できます。しかしこの業界、毎回オーダーメイドです。受けた後に新しい要件が次々と発覚し受注した値段では全然折り合わない、なんてことになると危険なので、受注前に結構要件定義で行う部分まで技術者を借り出してまで根掘り葉掘り伺います。ですから、まともに見積を行うことは、イコール営業コストを持ち出すということにほかなりません。

この営業コスト、誰が支払うのでしょうか。それはユーザー側です。提案書にはもちろん「営業コスト」なんて書きませんよ。しかし、それも含めて会社が存続するためには売上の中に営業コストまで含まないと、受ければ受けるほど損をすることになってしまいます。営業コストまで価格に乗っかっているということをまず前提とします。

であれば、複数の会社に見積を取る相見積という文化は、営業コストを倍々にしていることがお分かりいただけるでしょうか。結局はユーザー側が損をするのです。いや、採用する会社以外の営業コストはユーザー側が支払うことはないじゃないか、と思われるかもしれません。これも全くの誤認です。業界全体の見積に対する採用率が落ちれば、結局業界全体の営業コストが上がるのです。それはユーザー側へと転嫁されます。損をするのはユーザーです。

また、この相見積を平気な顔で行い、ベンダー落選を繰り返すユーザー企業は、ベンダー側に徐々に嫌われることになります。採用率が低いユーザーだとわかれば、見積に手を抜きます。法外に高い見積を出し仮に万が一採用されてもいいようにします。正確性を下げる反面リスク費用を高く乗せ営業コストを抑えるのです。もしくは「弊社にはできません」と、早々にご提案を降りることになります。ユーザーにとって悪影響は大きいです。

見積は私は一社のベンダーからのみ取るべきだと思います。そしてその内容が要件を満たせないか、満たすに当たって値段が高いと判断される場合は、そこではじめて一度断り、そして次のベンダーを探すべきです。要件にベンダー側のソリューションが合わないのであればベンダーも納得できます。IT業界においては買い切りではなく、買った後も関係は継続します。ユーザーもベンダーも互いに礼を尽くし、お互いに成長ができている前向きな関係を結ぶべく、見積から関係を開始します。その段階で、他社も見てます。他社と比べます。なんて言われて、いい気持ちはしません。それでも商談ですからご契約いただこうと前向きに努力をするわけですが、ベンダーもユーザーの立ち振る舞いを観察します。無礼さが目立つ場合は契約するべきではないと判断するときもあります。契約してしまうといくらユーザー側に問題があっても、簡単に逃げられませんからね。

ベンダーも、ユーザーと信頼関係を深く結べた場合は、適度なマージンの中でできるだけいろんな付加価値を届けたいです。それは信頼して頂くことへの対価。一昔前に流行った「恩返し」です。何でも値引きすることが恩返しではなく、一定のコストの中でできるだけのことをする。

このような相互関係を整えることを優先するほうが、一回の取引で相見積まで持ち出して関係を悪化させるよりよっぽど、かかるコストが最適化すると思うのですがいかがでしょうか。